骨髄穿刺液のMay-Giemsa染色標本(別冊No. 8)を別に示す。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
画像には核が分葉・腎臓形を示す大型の異常前骨髄球が多数認められ、細胞質にはアウエル小体が束状に集積したファゴット細胞や、微細な顆粒が多数認められます。これらは急性前骨髄球性白血病(APL)に特徴的な所見です。APLはt(15;17)染色体転座によるPML-RARα融合遺伝子を特徴とし、播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併しやすいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 慢性骨髄性白血病は白血病細胞が主に成熟顆粒球系の細胞で構成され、画像のような異常前骨髄球は多数出現しません。正しくは:慢性骨髄性白血病では、主に好中球系細胞の分化成熟が認められ、骨髄での幼若顆粒球から成熟顆粒球までの幅広い段階の細胞が増加します。選びやすい理由:骨髄系細胞の異常という点で関連性を感じるかもしれませんが、慢性期と急性期では細胞形態が大きく異なります。混同注意:急性骨髄性白血病の形態学的特徴
- 2. 急性単球性白血病(M5)では、単芽球や前単球が優位に増加します。これらの細胞は腎臓形や脳溝状の核、豊富な細胞質を特徴としますが、画像のような目立った顆粒やファゴット細胞は通常認められません。正しくは:急性単球性白血病では、大型の単芽球や前単球が増加し、核はしばしば不規則な形を示し、細胞質には微細なアズール顆粒が散在することがありますが、本画像のような束状のアウエル小体(ファゴット細胞)は稀です。選びやすい理由:大型の細胞であるため、他の急性白血病と混同する可能性があります。混同注意:急性骨髄性白血病のM2型やM4型
- 3. 急性リンパ性白血病では、リンパ芽球が増加します。リンパ芽球は核小体が不明瞭で、細胞質は狭く、顆粒はほとんど見られません。アウエル小体も認められません。正しくは:急性リンパ性白血病では、小型から中型のリンパ芽球が骨髄を占拠し、核は円形、クロマチンは緻密、核小体は不明瞭で、細胞質は好塩基性で顆粒を欠きます。アウエル小体は認められません。選びやすい理由:急性白血病という点で、血液細胞の形態的異常があることに注目するかもしれませんが、細胞の系統が異なります。混同注意:急性骨髄性白血病の各サブタイプ
- 4. 正解。画像には、核の分葉・腎臓形や、細胞質にアウエル小体が束状に集積したファゴット細胞、微細な顆粒が多数認められる大型の異常前骨髄球が特徴的に見られます。これらは急性前骨髄球性白血病(APL)の典型的な形態学的特徴です。選びやすい理由:画像所見が疾患に直接的に結びつくため、正しい選択肢として選択しやすいです。
- 5. 大顆粒リンパ球性白血病は、T細胞性またはNK細胞性の成熟リンパ球が増殖する疾患であり、細胞質にアズール顆粒を多数含みますが、画像のような幼若な異常前骨髄球の増殖やファゴット細胞は認められません。正しくは:大顆粒リンパ球性白血病では、細胞質の豊富な大型リンパ球にアズール顆粒が多数認められますが、本画像のような幼若な骨髄系細胞の増殖や、束状のアウエル小体は認められません。選びやすい理由:「大顆粒」という言葉から、細胞質の顆粒に注目するかもしれませんが、顆粒の性質や細胞の系統が異なります。混同注意:細胞質の顆粒が目立つ他の血液疾患
国試ポイント
急性白血病の形態学的分類と特徴的な細胞所見、特に急性前骨髄球性白血病(APL)の診断的特徴(ファゴット細胞、微細顆粒)を識別できること。
混同注意
他の急性骨髄性白血病(AML)サブタイプ、特にM2(急性骨髄芽球性白血病、成熟を伴う)やM4(急性骨髄単球性白血病)との混同。M2ではアウエル小体は認められるが、束状に集積したファゴット細胞は稀であり、細胞質の顆粒もAPLほど豊富ではない場合が多いです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず大型の異常細胞が多数を占めているかを確認し、次に細胞質の顆粒の状態、特にファゴット細胞の有無、核の形態(分葉状、腎臓形)に着目して判断します。
関連知識
急性前骨髄球性白血病(APL)は、t(15;17)染色体転座が特徴的で、PML-RARα融合遺伝子が生じます。この融合遺伝子によって分化誘導療法であるATRA(全トランス型レチノイン酸)が効果的です。また、APLはDICを合併しやすい高リスクの白血病であり、早期診断と治療開始が重要です。FISH法やRT-PCR法によるPML-RARαの検出が確定診断に用いられます。