末梢血のMay-Giemsa染色標本(別冊No. 9)を別に示す。考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
巨赤芽球性貧血はビタミンB12または葉酸の欠乏によりDNA合成が障害され、血液細胞の成熟に異常が生じることで発症します。末梢血塗抹標本では、赤血球系細胞は大型化し(大球性貧血)、好中球は核の過分葉(5分葉以上)を示すことが特徴的です。下図の画像所見はこれらの特徴を明確に示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. サラセミアでは通常、小球性低色素性貧血が見られ、標本には標的赤血球や点状赤血球増加が見られますが、巨赤芽球性貧血のような大型赤血球や過分葉好中球は見られません。正しくは:サラセミアでは、ヘモグロビン合成異常による小球性低色素性貧血が特徴です。選びやすい理由:貧血の一種であるため、他の貧血と混同しやすいかもしれません。混同注意:他の種類の貧血、特に小球性貧血と混同される可能性があります。
- 2. 溶血性貧血では、赤血球の破壊が亢進し、球状赤血球、破砕赤血球、多染性赤血球の増加などが見られますが、大型赤血球や過分葉好中球は典型的ではありません。正しくは:溶血性貧血では、赤血球破壊亢進の所見が見られます(例:球状赤血球、破砕赤血球、網状赤血球増加)。選びやすい理由:様々な原因で貧血となるため、鑑別が難しいと感じるかもしれません。混同注意:他の種類の貧血、特に再生亢進を伴う貧血と混同される可能性があります。
- 3. 鉄芽球性貧血は鉄利用障害による貧血で、赤血球形態は通常、小球性低色素性を示し、骨髄では環状鉄芽球が特徴的ですが、末梢血で大型赤血球や過分葉好中球は典型的ではありません。正しくは:鉄芽球性貧血では、鉄利用障害による小球性低色素性貧血が特徴で、骨髄に環状鉄芽球が見られます。選びやすい理由:貧血の一種であるため、他の貧血と混同しやすいかもしれません。混同注意:他の種類の貧血、特に小球性貧血と混同される可能性があります。
- 4. 再生不良性貧血は骨髄の造血幹細胞不全により汎血球減少をきたす病態であり、末梢血では正球性正色素性貧血、網状赤血球の著しい減少、白血球・血小板の減少が見られます。巨赤芽球性貧血のような大型赤血球や過分葉好中球は認められません。正しくは:再生不良性貧血では、骨髄の造血不全により汎血球減少が見られます。選びやすい理由:重度の貧血を呈するため、他の重篤な貧血と混同しやすいかもしれません。混同注意:他の種類の貧血、特に骨髄機能不全を伴う貧血と混同される可能性があります。
- 5. 正解。巨赤芽球性貧血では、核と細胞質の成熟に不均衡が生じるため、末梢血塗抹標本において大型赤血球(大球性貧血)や、好中球の核が5分葉以上に分かれる過分葉好中球が特徴的な所見として認められます。これらの所見は下に示す画像で確認できます。正しくは:正答のため修正不要。選びやすい理由:典型的な大球性貧血の画像所見を理解していれば、比較的容易に選択できます。混同注意:他の種類の大球性貧血(例:骨髄異形成症候群の一部)との鑑別が必要になる場合もありますが、本問題の画像所見は巨赤芽球性貧血に非常に特徴的です。
国試ポイント
本問題は、末梢血塗抹標本における特定の細胞形態を視覚的に認識し、それが示す疾患を正確に診断する能力を問うものです。特に巨赤芽球性貧血に特徴的な『大球性赤血球』と『過分葉好中球』の組み合わせを識別できるかが重要となります。
混同注意
大球性貧血を示す疾患は他にもありますが、過分葉好中球が顕著に見られるのは巨赤芽球性貧血の非常に強い特徴です。他の大球性貧血(例:アルコール性肝障害、骨髄異形成症候群の一部、網状赤血球増多を伴う溶血性貧血)との鑑別を意識する必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の画像問題が出た場合、まず赤血球の大きさ(小球性、正球性、大球性)、色素の濃さ(低色素性、正色素性)、さらに白血球や血小板の形態や数に異常がないかを確認します。特に好中球の核の分葉数に着目し、過分葉の有無を判断することが鑑別のポイントとなります。
関連知識
巨赤芽球性貧血の原因(ビタミンB12欠乏、葉酸欠乏)、各ビタミンの生理作用と欠乏時の影響、そして病態生理(DNA合成障害による核と細胞質の成熟乖離)について理解しておくことが重要です。診断には、血清ビタミンB12値、葉酸値、メチルマロン酸、ホモシステインの測定が役立ちます。