右肋骨弓下横走査による超音波像(別冊No. 4)を別に示す。矢印が示すのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
下に示す超音波画像では、胆嚢内に高エコーの結石が認められ、その結石の深部(後方)に、超音波が透過せずエコーが描出されない黒い領域(無エコー域)が矢印で示されています。これは、結石が高音響インピーダンス物質であるため、超音波が強く反射または吸収され、その背後へ超音波が届かなくなるために生じる現象であり、「音響陰影(acoustic shadowing)」と診断されます。これは典型的な結石の所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。超音波が石灰化やガスなどの高音響インピーダンス物質に遮られ、その奥に超音波が透過せず、エコー信号が欠損して黒く(無エコー域として)描出される現象です。画像では、結石の下方に明らかな無エコー域が確認でき、これが音響陰影を示しています。
- 2. 鏡面現象(ミラーアーチファクト)は、肝臓と横隔膜、または横隔膜と肺の境界面のように、音響インピーダンス差が大きい平面状の構造で超音波が反射し、実際には存在しないはずの構造が鏡像のように描出される現象です。この画像で矢印が示すのはそのような現象ではありません。正しくは:この現象は、超音波が強く反射する構造物の後方に、超音波が到達しないために生じる無エコー領域であるため、「音響陰影」と解釈すべきです。選びやすい理由:アーチファクトの一種であるため、他のアーチファクトと混同しやすいかもしれません。混同注意:多重反射や後方エコー増強といった他のアーチファクトと混同する可能性があります。特に、反射によって生じる現象という点で鏡面現象と混同することもあり得ます。
- 3. 多重反射(リバーブレーションアーチファクト)は、超音波が異なる音響インピーダンスを持つ複数の層の間で繰り返し反射することで、実際には存在しない線状のエコーが等間隔に描出される現象です。画像で矢印が示すのはそのような縞状のエコーではありません。正しくは:この現象は、超音波が強く反射する構造物の後方に、超音波が到達しないために生じる無エコー領域であるため、「音響陰影」と解釈すべきです。選びやすい理由:アーチファクトの一種であるため、他のアーチファクトと混同しやすいかもしれません。混同注意:鏡面現象や後方エコー増強といった他のアーチファクト、特に消化管ガスなどによるエコーと混同する可能性があります。
- 4. サイドローブは、超音波ビームの主軸(メインローブ)の脇から漏れる副次的な超音波ビーム(サイドローブ)によって、本来は存在しないエコーが描出される現象です。画像で矢印が示すのは、メインローブの直下にある結石によるものであり、サイドローブによるアーチファクトではありません。正しくは:この現象は、超音波が強く反射する構造物の後方に、超音波が到達しないために生じる無エコー領域であるため、「音響陰影」と解釈すべきです。選びやすい理由:アーチファクトの一種であり、発生機序がやや複雑なため、知識が曖昧だと選びやすいかもしれません。混同注意:他の散乱性のアーチファクトや、超音波ビームの特性に関連する他の現象と混同する可能性があります。
- 5. 後方エコー増強は、超音波が低減衰組織(液体貯留など)を通過する際に、その奥の組織からのエコーが相対的に強く描出される現象です。画像では、結石の下方にエコーの欠損が見られており、エコーが増強しているわけではありません。正しくは:この現象は、超音波が強く反射する構造物の後方に、超音波が到達しないために生じる無エコー領域であるため、「音響陰影」と解釈すべきです。選びやすい理由:嚢胞性病変などで見られる現象であり、アーチファクトとして知識があるため、選びやすいかもしれません。特に、音響陰影とは対照的な現象であるため、混同しやすいです。混同注意:音響陰影とは逆の現象であるため、特に区別が重要です。両者はしばしばセットで問われます。
国試ポイント
超音波診断における基本的なアーチファクト、特に音響陰影、後方エコー増強、多重反射、鏡面現象などの概念とその代表的な画像所見を理解しているかが問われます。これらのアーチファクトは、正常構造や病変の描出に影響を与えるため、正しく識別できることが臨床検査技師には必須です。特に、胆石や腎結石など石灰化病変にみられる音響陰影と、嚢胞性病変などにみられる後方エコー増強は、しばしば対比して問われます。
混同注意
後方エコー増強、多重反射、鏡面現象、サイドローブといった他の超音波アーチファクト。特に、音響陰影と後方エコー増強は、超音波の透過性の違いによって生じる対照的な現象であり、混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
同様の画像問題が出た場合、まず画像中の所見がどのような特性を持つか(高エコーか、低エコーか、無エコーか、その背後に何が起きているか)を詳細に観察します。特に、病変の深部にエコーが減弱しているのか、増強しているのか、それとも全くないのか、という点に着目して判断します。また、画像中の病変が何であるかを特定することで、それに伴う典型的なアーチファクトを推測します。
関連知識
超音波の物理特性(反射、吸収、散乱、減衰)、音響インピーダンス。胆石症、腎結石症などの石灰化病変。肝嚢胞、腎嚢胞などの液体貯留性病変。