末梢血液のMay-Giemsa染色標本(別冊No. 9)を別に示す。考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
下に示すMay-Giemsa染色標本で観察される末梢血中の異型リンパ球は、核が花弁状あるいはクローバー型に深く切れ込んでいる特徴を示しています。この特異的な細胞形態は、成人T細胞白血病(ATL)に非常に特徴的な所見です。ATLはヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染によって引き起こされるT細胞性リンパ性腫瘍であり、特に九州地方に多く見られます。
選択肢ごとの解説
- 1. 血球貪食症候群では、マクロファージが他の血球を貪食している像が特徴的ですが、成人T細胞白血病の所見とは異なります。正しくは:この画像では、核が深く切れ込み、核小体が明瞭な異型リンパ球が特徴的であり、血球貪食像ではありません。選びやすい理由:画像所見が珍しいことから、珍しい疾患を連想する可能性はありますが、形態は全く異なります。混同注意:Langerhans細胞組織球症など、組織球系の疾患と混同する可能性がありますが、細胞形態が異なります。
- 2. Hodgkinリンパ腫の診断に重要なのはReed-Sternberg細胞ですが、これはリンパ節生検などで見られる特徴的な巨細胞であり、末梢血に通常は現れず、本画像で示されている細胞とは異なります。正しくは:本画像は異型リンパ球の末梢血塗抹像であり、Reed-Sternberg細胞を特徴とするHodgkinリンパ腫の所見ではありません。選びやすい理由:リンパ系悪性腫瘍である点は共通していますが、末梢血の形態学的特徴は異なります。混同注意:B細胞性リンパ腫やT細胞性リンパ腫など、他のリンパ腫と混同する可能性がありますが、細胞形態で区別されます。
- 3. 正解。成人T細胞白血病の特徴的な所見として、末梢血中に「花弁状核」や「クローバー型核」と呼ばれる、深く切れ込みの入った核を持つ異型リンパ球が出現することが挙げられます。本画像では、その特徴が明確に観察できます。正しくは:記載の通り、画像で観察される「花弁状核」や「クローバー型核」を持つ異型リンパ球は、成人T細胞白血病の診断に極めて特徴的です。選びやすい理由:特異的な形態であるため、知識があれば比較的容易に選択できます。混同注意:他のリンパ系腫瘍細胞と混同する可能性もありますが、ATLに特有の核の形状が鑑別のポイントとなります。
- 4. ヘアリー細胞白血病では、細胞質に繊毛状の突起を持つ「ヘアリー細胞」が特徴的ですが、本画像に示されている細胞は、核の形態異常が主であり、細胞質の突起は顕著ではありません。正しくは:画像では花弁状の核を持つ細胞が観察され、これはヘアリー細胞白血病の細胞質に繊毛状突起を持つヘアリー細胞とは異なります。選びやすい理由:これもリンパ系白血病の一種であり、珍しい形態を示すため選択肢として考えられるかもしれませんが、形態的特徴は異なります。混同注意:他のB細胞性白血病と混同する可能性がありますが、ヘアリー細胞特有の細胞質突起の有無が鑑別点です。
- 5. 慢性リンパ性白血病では、小型で成熟したリンパ球が増加し、核クロマチンが凝集し、核小体が不明瞭なことが一般的です。本画像に示されている細胞は、核が深く切れ込み、核小体が明瞭である点でCLLの細胞とは異なります。正しくは:画像に示される細胞は、CLLに見られる小型成熟リンパ球とは異なり、核の深い切れ込みと明瞭な核小体を持つ異型リンパ球です。選びやすい理由:最も一般的な白血病の一つであり、リンパ球が増加する疾患であるため、誤って選択する可能性があります。混同注意:急性リンパ性白血病 (ALL) やその他のリンパ腫など、リンパ球が増加する他の疾患と混同しやすいですが、各疾患に特有の形態学的特徴があります。
国試ポイント
血液塗抹標本の形態学的特徴から疾患を鑑別する能力が問われています。特に、特徴的な細胞形態(本問ではATLの「花弁状核細胞」)を正確に認識できるかが重要です。各疾患の診断に決定的な細胞形態の知識が求められます。
混同注意
急性リンパ性白血病(ALL)や慢性リンパ性白血病(CLL)などの他のリンパ系悪性腫瘍、または伝染性単核球症などの非腫瘍性疾患における異型リンパ球と混同しやすいですが、ATLの細胞は核の深い切れ込みが特徴です。ヘアリー細胞白血病の細胞質突起を持つ細胞とも鑑別が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず提示された画像中の細胞の核の形態、細胞質の特徴、細胞の大きさなどを詳細に観察します。特に核の切れ込み、核小体の明瞭さ、クロマチンの凝集度合い、細胞質内の顆粒の有無などに注目し、特徴的な所見を見つけ出すことが重要です。次に、その所見に最も合致する疾患を選択します。
関連知識
成人T細胞白血病(ATL)はHTLV-1感染と関連し、日本では九州・沖縄地方に患者が多いです。臨床病型には、くすぶり型、慢性型、リンパ腫型、急性型があり、予後不良な疾患として知られています。診断には末梢血塗抹、フローサイトメトリーによる細胞表面抗原解析、HTLV-1抗体検査などが用いられます。治療には化学療法や、最近ではモガムリズマブなどの抗CCR4抗体療法も用いられます。