血漿カルシウム高値かつPTH低値となる疾患はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
悪性腫瘍の骨転移や腫瘍によるPTHrPの産生は、骨からのカルシウム放出を促進し、血漿カルシウム濃度を上昇させます。この高カルシウム血症は、負のフィードバック機構により副甲状腺からのPTH分泌を抑制するため、PTH濃度は低値となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 慢性腎臓病では、活性型ビタミンDの産生低下やリンの排泄障害により、血漿カルシウムは低値または正常範囲内、PTHは高値となることが一般的です。これは二次性副甲状腺機能亢進症として知られます。正しくは:慢性腎臓病では、血漿カルシウムは低値または正常、PTHは高値を示すことが多いです。選びやすい理由:カルシウムやリンの代謝異常が関わるため、選択肢として考慮されるかもしれませんが、本問題の条件とは逆のパターンを示します。混同注意:原発性副甲状腺機能亢進症や悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症とは異なる病態です。
- 2. 正解。悪性腫瘍が骨に転移すると、骨が破壊され、そこからカルシウムが血中に放出されるため血漿カルシウム値が高くなります。この高カルシウム血症はPTHの分泌を抑制するため、PTH値は低値となります。腫瘍が分泌するPTHrP(副甲状腺ホルモン関連ペプチド)によっても高カルシウム血症が引き起こされますが、この場合もPTH自体は抑制されます。
- 3. ビタミンDが欠乏すると、腸管からのカルシウム吸収が低下し、血漿カルシウム値は低値になります。この低カルシウム血症を代償しようとしてPTHの分泌が促進されるため、PTH値は高値となります。正しくは:ビタミンD欠乏症では、血漿カルシウムは低値、PTHは高値を示すことが多いです。選びやすい理由:カルシウム代謝に関わるため、一見関係があるように思えますが、血漿カルシウムは低値を示すため問題の条件とは異なります。混同注意:高カルシウム血症を引き起こす他の疾患と混同されがちです。
- 4. 偽性副甲状腺機能低下症は、PTHは正常または高値にもかかわらず、その受容体異常により標的臓器がPTHに反応できない状態です。このため、血漿カルシウムは低値、PTHは高値となります。正しくは:偽性副甲状腺機能低下症では、血漿カルシウムは低値、PTHは高値を示します。選びやすい理由:「副甲状腺機能低下症」という名前からPTHが低いと誤解するかもしれませんが、これはPTHの作用が効かない状態です。混同注意:真性副甲状腺機能低下症(PTH低値、Ca低値)と混同しやすいです。
- 5. 原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺自体に異常がありPTHが過剰に分泌される病態です。そのため、血漿カルシウムは高値となりますが、PTHも高値または不適切に正常範囲内となります。本問題の条件である『PTH低値』とは異なります。正しくは:原発性副甲状腺機能亢進症では、血漿カルシウムは高値、PTHも高値または不適切に正常範囲内を示します。選びやすい理由:高カルシウム血症の代表的な原因の一つであるため、混同しやすいです。混同注意:PTHrPによる高カルシウム血症(PTH低値)と混同しやすいですが、こちらはPTHが高値または正常範囲内です。
国試ポイント
血漿カルシウムとPTHの変動パターンから、主要なカルシウム代謝異常症を鑑別できるかどうかが問われています。特に、高カルシウム血症の原因として、PTH高値によるもの(原発性副甲腺機能亢進症)と、PTH低値によるもの(悪性腫瘍関連、ビタミンD過剰など)を区別する知識が重要です。
混同注意
原発性副甲状腺機能亢進症(Ca高値、PTH高値)と悪性腫瘍による高カルシウム血症(Ca高値、PTH低値)の鑑別がよく問われます。また、偽性副甲状腺機能低下症(Ca低値、PTH高値)や真性副甲状腺機能低下症(Ca低値、PTH低値)との区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず血漿カルシウムが高値か低値かを確認し、次にPTHがその血漿カルシウム値に対して適切に反応しているか(高値か低値か)を確認することで、病態を絞り込むことができます。
関連知識
副甲状腺ホルモン(PTH)の生理作用、ビタミンDの代謝と作用、骨代謝、腎臓におけるカルシウム・リン再吸収のメカニズム、PTHrP(副甲状腺ホルモン関連ペプチド)の病態生理。