動脈のH-E染色標本(別冊No. 5)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
動脈壁にH-E染色で濃い青紫色から黒色に染まる顆粒状または不定形の沈着物が見られる場合、これは石灰沈着(石灰化)の典型的な組織学的所見です。石灰は塩基性色素(ヘマトキシリン)に強く染まる性質があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。H-E染色において、石灰沈着は濃い青紫色から黒色に染まり、顆粒状または不定形の沈着物として観察されます。この画像では、血管壁にその特徴的な所見が見られます。
- 2. ムコイド変性は粘液物質の蓄積であり、H-E染色では淡い青色に染まるか、染まりにくい領域として観察されますが、画像のような濃い青黒色の顆粒状沈着物としては見られません。正しくは:ムコイド変性は主に基底物質の増加により、淡青色に染まる粘液状の物質として観察されます。選びやすい理由:血管の病変としてムコイド変性も起こりうるため、区別が難しいと感じるかもしれません。混同注意:フィブリノイド変性やアミロイド沈着など、他の血管変性との混同。
- 3. 類線維素(フィブリノイド)沈着は、血管壁に血漿成分が沈着したもので、H-E染色では均一な好酸性(ピンク色)に染まる物質として観察されます。画像のような濃い青黒色の顆粒状沈着物とは異なります。正しくは:類線維素沈着は、血管壁に好酸性の均一な物質として観察されます。選びやすい理由:血管病変でよく見られるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:硝子様変性やアミロイド沈着など、好酸性に染まる他の物質との混同。
- 4. アミロイド沈着は特殊なタンパク質の蓄積であり、H-E染色では均一な好酸性の物質として観察されますが、画像のような濃い青黒色の顆粒状の沈着物ではありません。コンゴーレッド染色で特徴的な赤色に染まります。正しくは:アミロイド沈着は、H-E染色では好酸性を示し、コンゴーレッド染色で赤色に染まることで確認されます。選びやすい理由:全身性疾患で血管にも沈着することがあるため、一見するとそれらしいと感じるかもしれません。混同注意:類線維素沈着や硝子様変性など、好酸性に染まる他の血管病変との混同。
- 5. 硝子様物質(硝子様変性)は、均一で無構造の好酸性物質として観察されます。画像のような濃い青紫色に染まる顆粒状の物質とは異なります。正しくは:硝子様物質は、H-E染色で好酸性の均一な無構造の物質として観察されます。選びやすい理由:血管病変で頻繁に見られる変性であるため、選びやすいかもしれません。混同注意:類線維素沈着やアミロイド沈着など、好酸性に染まる他の物質との混同。
国試ポイント
H-E染色標本における各変性・沈着物の特徴的な染色性や形態を識別できるかどうかが問われています。特に、石灰はヘマトキシリンに強く染まることが重要です。
混同注意
ムコイド変性、類線維素沈着、アミロイド沈着、硝子様物質といった他の血管変性や沈着物のH-E染色での所見。
次に同じ論点が出たら
今後同様の画像問題が出題された場合は、まず染色方法(H-E染色が多い)を確認し、染色の濃淡(好塩基性か好酸性か)と形態(顆粒状、均一、線維状など)から鑑別します。特に青黒く染まる顆粒状病変は石灰を疑うポイントです。
関連知識
石灰沈着は、壊死組織における異栄養性石灰化や、血清カルシウム濃度が高い場合の転移性石灰化として起こります。血管壁の石灰化は動脈硬化の一因となります。その他の選択肢であるムコイド変性、類線維素沈着、アミロイド沈着、硝子様変性も血管病変でよく見られる組織学的変化であり、それぞれH-E染色での特徴的な所見を理解しておく必要があります。