癌抑制遺伝子はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
p53遺伝子は、細胞周期の監視、DNA損傷修復、アポトーシスの誘導など、細胞の遺伝的安定性を維持するための中心的な役割を果たすがん抑制遺伝子です。この遺伝子の機能不全は、多くのがん種で観察されます。
選択肢ごとの解説
- 1. ras遺伝子は代表的ながん原遺伝子(癌遺伝子)であり、細胞の増殖・分化・生存に関わるシグナル伝達を調節しています。変異によって恒常的に活性化すると、細胞の異常増殖を引き起こし、がん化を促進します。正しくは:ras遺伝子はがん原遺伝子である。選びやすい理由:遺伝子名であるため、がん抑制遺伝子と混同しやすいかもしれません。混同注意:がん原遺伝子とがん抑制遺伝子の機能や役割。
- 2. 正解。p53遺伝子は、DNA損傷や細胞ストレスに応答して細胞周期の停止、アポトーシス(細胞死)、DNA修復などを誘導することで、遺伝子の不安定性を防ぎ、がんの発生を抑制する重要な役割を持つがん抑制遺伝子です。'ゲノムの守護者'とも呼ばれます。
- 3. myc遺伝子は代表的ながん原遺伝子であり、細胞の増殖、分化、アポトーシスなどを制御する転写因子をコードしています。過剰発現や異常な活性化は細胞の無制限な増殖を引き起こし、がん化に寄与します。正しくは:myc遺伝子はがん原遺伝子である。選びやすい理由:細胞増殖に関わるため、一見すると抑制的に働くようにも思えるかもしれませんが、その機能は増殖促進です。混同注意:がん原遺伝子とがん抑制遺伝子の機能や役割。
- 4. erb-B2遺伝子(HER2としても知られる)は、がん原遺伝子であり、上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーに属するチロシンキナーゼ受容体をコードしています。この受容体が過剰発現すると、細胞の増殖シグナルが過剰に伝達され、乳がんなどの一部のがんの発症や悪性化に関与します。正しくは:erb-B2遺伝子はがん原遺伝子である。選びやすい理由:受容体名であるため、単に細胞のシグナル伝達に関わる遺伝子という漠然とした知識では判断がつきにくいかもしれません。混同注意:がん原遺伝子とがん抑制遺伝子の機能や役割。
- 5. β-cateninはWntシグナル経路の重要な構成要素であり、細胞の増殖や分化に関与します。通常は分解されますが、変異によって分解されなくなると細胞核に蓄積し、がん遺伝子として機能してがん化を促進します。正しくは:β-cateninはがん原遺伝子としても機能する(特に変異時)。選びやすい理由:細胞間の接着やシグナル伝達に関わるため、役割が多岐にわたり、一概にがん原遺伝子と認識しにくいかもしれません。混同注意:がん原遺伝子とがん抑制遺伝子の機能や役割。
国試ポイント
がん原遺伝子とがん抑制遺伝子の基本的な違いと、それぞれの代表的な遺伝子名を理解しているかどうかが問われる問題です。特にp53は「ゲノムの守護者」として非常に重要であり、よく出題されます。
混同注意
がん原遺伝子(proto-oncogene/oncogene)とがん抑制遺伝子(tumor suppressor gene)の機能が混同しやすいです。がん原遺伝子は通常は細胞の成長や増殖を促進しますが、変異するとがん化を促進する(アクセルの役割)。がん抑制遺伝子は細胞の増殖を抑制したり、DNA損傷を修復したりすることでがん化を防ぐ(ブレーキの役割)。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、遺伝子の名称を見て、それが細胞の増殖を促進する「がん原遺伝子」なのか、それとも抑制する「がん抑制遺伝子」なのかを正確に判断できるかを確認します。
関連知識
BRCA1/2(乳がん・卵巣がん抑制)、RB(網膜芽細胞腫抑制)、APC(家族性大腸腺腫症抑制)なども代表的ながん抑制遺伝子として知られています。がん原遺伝子としては、EGFR、HER2、ABL、MYC、RASなどが挙げられます。