細胞浮遊液の細胞数を算定した。Bürker-Türk計算盤(別冊No. 12)を別に示す。図中に赤字で示す数字は、赤点線で囲った各大区画にある細胞数である。検体は、希釈せず使用し、大区画の容積は0.1 μLとする。 細胞浮遊液の細胞数〔/μL〕はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Bürker-Türk計算盤の図から、数えられた細胞数は赤点線で囲まれた4つの大区画にそれぞれ8個、9個、10個、9個です。これらを合計すると8+9+10+9=36個となります。1つの大区画の容積は0.1μLとされているため、4つの大区画の合計容積は0.1μL×4=0.4μLです。したがって、細胞浮遊液の細胞数は、36個 ÷ 0.4μL = 90個/μL となります。検体は希釈せずに使用しているため、希釈倍率を考慮する必要はありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 細胞数を数える際には、計算盤の複数の大区画(通常5または9大区画)の合計細胞数を基に算出します。1つの大区画の細胞数だけでは、正しい浮遊液中の細胞濃度を反映しません。正しくは:全大区画の合計細胞数を容積で割る必要があります。選びやすい理由:もし『1つの大区画あたりの平均細胞数』を問われたと誤解すると、この選択肢を選んでしまう可能性があります。混同注意:『1大区画あたりの細胞数』と『浮遊液全体の細胞濃度』を混同している可能性があります。
- 2. 計算盤の容積の単位がμLの場合、計算された細胞数/μLの数値がそのまま答えとなります。この数値は細胞浮遊液の濃度を示すため、さらに10倍する必要はありません。正しくは:合計細胞数36個を合計容積0.4μLで割ると、90個/μLとなります。選びやすい理由:計算過程でどこか10倍するべきところを忘れたり、逆に不必要な10分の1の操作を行ったりすると、この数値になる可能性があります。混同注意:希釈倍率や計算盤の深さ(0.1mm)など、異なる要因が絡む計算を誤って適用している可能性があります。
- 3. 正解。細胞数を数える大区画は、通常4隅と中央の5大区画、または9大区画を用います。下図の計算盤では、中央を含めた合計4つの大区画と、それぞれに8、9、10、9個の細胞が確認できます。合計細胞数は8+9+10+9=36個です。各区画の容積が0.1μLなので、4大区画の合計容積は0.1μL×4=0.4μLです。したがって、細胞数/μLは36個 ÷ 0.4μL = 90個/μLとなります。正しくは:正しい計算式は、(合計細胞数) ÷ (合計容積) = 濃度 です。選びやすい理由:特にありません。正確に計算できれば正答にたどり着けます。
- 4. 大区画の容積が0.1μLであるため、細胞数/μLを計算する際に10倍にする操作は含まれていません。この選択肢は、不必要に10倍した値であり、誤りです。正しくは:合計細胞数36個を合計容積0.4μLで割ると、90個/μLとなります。選びやすい理由:計算盤の深さ(0.1mm)が容積計算に既に含まれているにも関わらず、さらに10を乗じてしまうなど、計算の途中で不要な乗算をしてしまうと、この選択肢を選んでしまう可能性があります。混同注意:計算盤の種類や、血液検査など他の分野での計算方法と混同している可能性があります。特に、深さ0.1mmを『10の-1乗』と解釈し、その逆数を乗じてしまう誤りなどです。
- 5. 4つの大区画の合計36個を合計容積0.4 μLで割ると90/μLであり、900/μLにはなりません。正しくは:解答は数値で示されるべきです。選びやすい理由:問題文の誤読や、問題形式の誤解がある場合に選びがちです。混同注意:問題文の構造や、国試の選択肢の形式を正しく理解していない場合に、このような選択肢に注意が向く可能性があります。
国試ポイント
血球計算盤を用いた細胞数算定の基本的な計算能力が問われます。特に、計算に用いる大区画の数、それぞれの容積、そして希釈倍率の適用(今回は希釈なし)を正確に理解しているかが重要です。計算盤の深さ(0.1mm)が容積0.1μLに含まれている点も理解しておく必要があります。
混同注意
計算に用いる大区画の数を誤る(例えば1大区画のみで判断する)、合計容積の計算を誤る(例えば0.1μLを1μLと誤解する、または不必要な乗算を行う)、あるいは希釈倍率の適用を誤る(今回は希釈なしなので不要)などが考えられます。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず『数えるべき大区画の数』『各区画の容積』『合計細胞数』『合計容積』『希釈倍率(もしあれば)』を正確に読み取り、焦らず計算式に代入することが重要です。
関連知識
血球計算盤にはBürker-Türkの他にFuchs-Rosenthal、Thoma、Neubauer改良型など様々な種類があり、それぞれ区画の大きさや深さが異なります。それぞれの計算盤での容積計算方法、および目的に応じた適切な計算盤の選択についても学習が必要です。また、細胞の種類(赤血球、白血球、血小板など)によって数え方が異なる場合があること、凝集の有無などの観察も重要です。