鉄欠乏性貧血および慢性炎症に伴う貧血で共通するのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
鉄欠乏性貧血は、体内の鉄貯蔵が枯渇し、ヘモグロビン合成に必要な鉄が不足することで起こる貧血です。一方、慢性炎症に伴う貧血は、炎症性サイトカインにより鉄の利用が障害され、貯蔵鉄は十分にあるにもかかわらず赤芽球への鉄供給が滞ることで起こる貧血です。これら両者で共通して見られるのは、ヘモグロビン合成が不十分となるため赤血球が小球性を示すこと(選択肢1)、および血漿中への鉄供給が不十分となり血清鉄が低値となること(選択肢2)です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。鉄欠乏性貧血ではヘモグロビン合成に必要な鉄が不足するため、赤血球は小さく(小球性)なり、色も薄く(低色素性)なる。慢性炎症に伴う貧血でも、鉄の利用障害によりヘモグロビン合成が不十分となることで、小球性・低色素性の貧血を呈することが多い。
- 2. 正解。鉄欠乏性貧血では、体内の鉄貯蔵が枯渇しているため、血清鉄は低値となる。慢性炎症に伴う貧血では、貯蔵鉄は十分にあるにもかかわらず、炎症性サイトカインの影響でマクロファージからの鉄放出が抑制され、血漿中への鉄供給が減少するため、血清鉄は低値となる。
- 3. 鉄欠乏性貧血は、体内の鉄自体が不足している状態であり、利用障害というよりは鉄供給不足が本質である。貯蔵鉄が枯渇しているため、利用する鉄がない。慢性炎症に伴う貧血では貯蔵鉄は十分にあるものの、その利用が障害される。したがって、これは共通の病態ではない。正しくは:鉄欠乏性貧血は鉄供給不足であり、慢性炎症性貧血は鉄の利用障害を認める。選びやすい理由:慢性炎症性貧血の特徴として鉄の利用障害があるため、両者に共通する点と誤解しやすい。混同注意:鉄欠乏性貧血と慢性炎症性貧血における鉄代謝の病態生理の根本的な違い。
- 4. 鉄欠乏性貧血では貯蔵鉄が枯渇するため血清フェリチンは低値を示す。しかし、慢性炎症に伴う貧血では、フェリチンは急性期反応物質でもあるため、炎症により産生が亢進し、血清フェリチンは正常~高値を示すことが多い。したがって、共通点ではない。正しくは:鉄欠乏性貧血で血清フェリチンが低値を示し、慢性炎症性貧血では正常~高値を示す。選びやすい理由:貧血であるため、漠然と鉄関連マーカーが全て低くなると考えてしまう。特に、鉄が不足する状態と混同しやすい。混同注意:フェリチンが鉄貯蔵量を示す指標であると同時に、炎症マーカーとしての側面も持つこと。
- 5. 鉄欠乏性貧血では、鉄が不足しているため、より多くの鉄を運搬しようとしてトランスフェリンの産生が亢進し、TIBCは高値となる。しかし、慢性炎症に伴う貧血では、炎症性サイトカインによりトランスフェリンの産生が抑制されるため、TIBCは低値または正常範囲内となることが多い。したがって、共通点ではない。正しくは:鉄欠乏性貧血で総鉄結合能 (TIBC) が高値を示し、慢性炎症性貧血では低値または正常範囲内を示す。選びやすい理由:鉄欠乏性貧血の典型的な所見であるTIBC高値が、貧血全般に共通すると誤解しやすい。混同注意:鉄欠乏性貧血と慢性炎症性貧血におけるトランスフェリンおよびTIBCの変動メカニズム。
国試ポイント
鉄欠乏性貧血と慢性炎症性貧血は、病態生理が異なるにもかかわらず共通する検査所見と、対照的な検査所見が存在するため、その鑑別点がよく問われます。特に血清フェリチンと総鉄結合能 (TIBC) の変動パターンは重要です。
混同注意
鉄欠乏性貧血と慢性炎症性貧血の鑑別点、特に血清フェリチン、TIBC、血清トランスフェリン受容体 (sTfR) の違い。また、鉄利用障害と鉄供給不足の概念が混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題された場合、鉄欠乏性貧血と慢性炎症性貧血の鑑別における血清トランスフェリン受容体 (sTfR) の有用性や、ヘプシジンの役割について問われる可能性があります。また、両者の治療法の違いについても注意が必要です。
関連知識
ヘプシジンと鉄代謝の調節、炎症性サイトカイン(IL-6など)が鉄代謝に与える影響、トランスフェリン、フェリチン、可溶性トランスフェリン受容体 (sTfR) の病態における意義。貧血の形態分類(小球性、正球性、大球性)も関連知識として重要です。