血液培養が陽性となったため、ボトル内容液のGram染色〈Huckerの変法〉と墨汁法を実施した。染色標本(別冊No. 10)を別に示す。推定される菌が形成するのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
グラム染色像では球状の酵母様真菌が染まっており、墨汁染色像ではその酵母様真菌の周囲に透明なハロー(莢膜)が認められる。この所見はクリプトコッカス属菌に特徴的であり、クリプトコッカスは病原性因子として多糖体の莢膜を形成する。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。グラム染色では球状の酵母様真菌が確認され、墨汁染色では菌体周囲に透明なハロー(莢膜)が明瞭に描出されている。この所見はクリプトコッカス属菌の同定に非常に重要であり、クリプトコッカスは病原性因子として多糖体の莢膜を形成するため、正しい。選びやすい理由:画像所見がクリプトコッカスの特徴である莢膜を明確に示しているため、迷うことなく選択できる。混同注意:他の酵母様真菌の形態と混同する可能性はあるが、墨汁染色での莢膜の有無が決定的な鑑別点となる。
- 2. 発芽管はカンジダ属菌の一部(主にCandida albicans)が血清中で形成する特徴的な構造であり、酵母から伸長する短く細い管状の構造を指す。本画像では発芽管は確認されない。正しくは:発芽管はカンジダ属菌(特にCandida albicans)に特徴的な構造である。選びやすい理由:カンジダも酵母様真菌であるため、真菌感染症の鑑別として発芽管の有無を考えることがある。混同注意:真性菌糸や偽菌糸、あるいはクリプトコッカスの莢膜と混同する可能性がある。
- 3. 真性菌糸は、細胞壁が平行で隔壁が規則的であるなど、カンジダ属菌以外の多くの真菌(例:アスペルギルス属菌など)が形成する構造である。本画像に写る菌は丸い酵母型であり、菌糸は認められない。正しくは:真性菌糸はアスペルギルス属菌などの糸状真菌が形成する構造であり、酵母型真菌とは異なる。選びやすい理由:一般的な真菌感染症では菌糸の形成が見られることがあるため。混同注意:偽菌糸や発芽管、あるいは酵母の集合と混同する可能性がある。
- 4. 厚膜胞子は、カンジダ属菌(特にCandida albicans)が低栄養培地などで形成する、厚い細胞壁を持つ抵抗性の胞子である。本画像には厚膜胞子の所見は認められない。正しくは:厚膜胞子はカンジダ属菌の一部が形成する抵抗性の胞子であり、クリプトコッカスでは形成されない。選びやすい理由:カンジダも酵母様真菌であり、真菌の特殊な構造として厚膜胞子を連想する可能性がある。混同注意:その他の真菌の胞子や、クリプトコッカスの莢膜と混同する可能性がある。
- 5. 分節胞子は、分節型真菌(例:Coccidioides immitis)が菌糸が分節して形成する胞子である。本画像では酵母型真菌が認められ、分節胞子の所見ではない。正しくは:分節胞子は主に分節型真菌が形成する構造であり、クリプトコッカスの形態とは異なる。選びやすい理由:真菌の胞子の一種として選択肢に挙げられているため。混同注意:その他の真菌の胞子や、酵母の出芽と混同する可能性がある。
国試ポイント
墨汁染色によるクリプトコッカス属菌の莢膜の同定、およびグラム染色での形態学的特徴の理解が求められる。
混同注意
クリプトコッカスとカンジダは形態が似るが、カンジダは莢膜を形成せず、墨汁染色ではハローを認めない。また、発芽管や偽菌糸を形成する点が異なる。
次に同じ論点が出たら
グラム染色で酵母様真菌が認められ、同時に墨汁染色で菌体周囲に透明なハローが認められた場合、クリプトコッカス属菌による感染症を強く疑い、選択肢1の「莢膜」を第一に判断する。
関連知識
クリプトコッカスは主に肺や中枢神経系に感染し、特に免疫不全患者で重症化しやすい。墨汁染色以外にも、抗原検査(クリプトコッカス抗原)も診断に用いられる。