Mycobacterium属の特徴について誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Mycobacterium leprae(らい菌)は、人工培地での培養が極めて困難であり、通常の細菌培地(小川培地を含む)では増殖しません。これはらい菌の大きな特徴の一つです。他の選択肢はすべて、それぞれの菌種の正しい特徴を述べています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。らい菌(M. leprae)は人工培地での培養が非常に困難で、in vitroでの発育は確認されていません。主にアルマジロやマウスの足底に接種して増殖させます。正しくは:らい菌(M. leprae)は小川培地では発育しません。選びやすい理由:他のマイコバクテリウム属菌(結核菌など)が小川培地で培養されるため、これも培養できると誤解しやすいです。混同注意:結核菌(M. tuberculosis)などの、小川培地で培養可能な他のマイコバクテリウム属菌と混同しやすいです。
- 2. M. fortuitumは迅速発育性抗酸菌(Rapidly Growing Mycobacteria: RGM)に分類され、培養開始から7日以内に肉眼で確認できるコロニーを形成します。正しくは:正しい記述のため、修正不要です。選びやすい理由:迅速発育性抗酸菌の特徴を知らないと、この選択肢が誤りであると誤解する可能性があります。混同注意:遅発育性抗酸菌(Slowly Growing Mycobacteria: SGM)と発育速度の基準を混同する可能性があります。
- 3. M. kansasiiは光発色菌(Photochromogen)に分類され、培養初期は無発色ですが、光を当てると黄色色素を産生します。したがって、光発色試験は陽性です。正しくは:正しい記述のため、修正不要です。選びやすい理由:発色性抗酸菌の分類(光発色菌、暗発色菌、非発色菌)の知識が曖昧だと、正誤を判断しにくい場合があります。混同注意:M. scrofulaceum(暗発色菌)やM. avium complex(非発色菌)など、他の発色特性を持つ抗酸菌と混同する可能性があります。
- 4. M. marinumは主に魚や水中環境に生息し、人間の皮膚感染症(水槽肉芽腫など)を引き起こします。その至適発育温度は人体の中心体温より低い30~32℃前後です。正しくは:正しい記述のため、修正不要です。選びやすい理由:多くの病原菌が37℃を至適発育温度とするため、30℃が誤りであると判断しがちです。混同注意:M. ulcerans(至適温度30℃前後)とM. marinumは類似の特性を持つため、混同しやすいですが、両者ともに正しい記述です。
- 5. 結核菌(M. tuberculosis)は小川培地で乾燥したカリフラワー状のR型コロニーを形成します。これは特に病原性の高い菌株に顕著に見られます。正しくは:正しい記述のため、修正不要です。選びやすい理由:他の細菌のコロニー形態の知識と混同し、R型コロニーの特徴を忘れていると正誤判断に迷うことがあります。混同注意:S型コロニー(平滑で湿潤な表面)を形成する菌種や、M. bovis BCG(S型コロニーを形成しやすい)との違いを混同する可能性があります。
国試ポイント
この問題は、マイコバクテリウム属菌、特に非定型抗酸菌(NTM)やらい菌に関する基本的な特徴(培養性、発育速度、光発色性、至適発育温度、コロニー形態)について、正確な知識があるかを問うものです。個々の菌種とそれに特有の性質を結びつけて理解していることが重要です。
混同注意
各マイコバクテリウム属菌の分類(迅速発育性、遅発育性、光発色菌、暗発色菌、非発色菌など)とその代表的な菌種、およびそれぞれが持つ独特の性質が混同されやすい。特に、らい菌の培養困難性は頻繁に問われるポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に類似問題が出題された場合は、まず「培養困難なマイコバクテリウム属菌はどれか」という観点と、「迅速発育性と遅発育性の区別」に着目し、次に「発色性(光発色、暗発色、非発色)の有無と代表菌種」を確認すると良いでしょう。また、至適温度が37℃以外である菌種にも注意が必要です。
関連知識
小川培地以外の培地(液体培地など)での培養特性、抗酸菌の染色法(チール・ネールゼン染色、蛍光抗酸菌染色)、抗酸菌症の疫学と治療法、分子生物学的検査法(LAMP法、PCR法など)についても関連知識として押さえておく必要があります。