血中濃度が低下するとテタニーを生じるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
低カルシウム血症は、神経細胞膜の興奮性を調整するカルシウムイオンが不足することにより、神経筋の閾値が低下し、軽微な刺激でも容易に活動電位が発生するため、筋肉の不随意かつ持続的な収縮であるテタニーを引き起こします。これは、臨床検査技師として理解しておくべき重要な病態生理です。
選択肢ごとの解説
- 1. ナトリウム濃度の低下(低ナトリウム血症)は、主に脳浮腫や神経細胞の興奮性変化により、頭痛、悪心、意識障害、痙攣などを引き起こしますが、特徴的なテタニーの直接的な原因とはなりません。正しくは:ナトリウム濃度の低下は、細胞外液の浸透圧低下による脳浮腫や神経症状(意識障害、痙攣)を主に引き起こします。選びやすい理由:電解質異常の中でも発生頻度が高く、痙攣などの神経症状を伴うため、テタニーと混同して選んでしまう可能性があります。混同注意:低カルシウム血症によるテタニーと、低ナトリウム血症による痙攣や意識障害といった神経症状を混同しやすいです。
- 2. 正解。血中カルシウム濃度が低下(低カルシウム血症)すると、神経細胞膜の興奮性閾値が低下し、神経筋の過剰な興奮性が生じます。これにより、筋肉が持続的に収縮するテタニー(手足のしびれ、こむら返り、筋痙攣など)が発生します。
- 3. 塩素濃度が低下(低塩素血症)しても、通常テタニーは直接引き起こされません。低塩素血症は、代謝性アルカローシスや低カリウム血症など他の電解質異常と併発することが多いです。正しくは:塩素濃度の低下は、主に酸塩基平衡の異常(代謝性アルカローシス)や細胞外液量の変動に関与します。選びやすい理由:ナトリウムと同様に主要な陰イオンであるため、他の電解質異常と同様に症状を引き起こすと誤解しやすいかもしれません。混同注意:他の電解質異常(特にナトリウムやカリウム)に伴う症状や、酸塩基平衡異常の症状と混同することがあります。
- 4. 炭酸水素イオンの低下は代謝性アシドーシスを引き起こしますが、直接的にテタニーを生じさせる主要な原因ではありません。代謝性アシドーシスでは、深大呼吸(クスマウル呼吸)、全身倦怠感、意識障害などが現れることがあります。正しくは:炭酸水素イオンの低下は代謝性アシドーシスを引き起こし、深い呼吸や意識レベルの低下などの症状を伴うことがあります。選びやすい理由:酸塩基平衡の異常は生体に重大な影響を及ぼすため、その症状として何らかの神経筋症状を想定してしまいやすいです。混同注意:電解質バランスの異常と酸塩基平衡の異常による症状を混同しやすいです。
- 5. リン酸水素イオンの低下(低リン血症)は、筋力低下、横紋筋融解症、呼吸不全、意識障害などを引き起こすことがありますが、テタニーは主要な症状ではありません。正しくは:リン酸水素イオンの低下は、細胞内のエネルギー代謝異常や神経機能の障害により、筋力低下や錯乱、意識障害などを引き起こすことがあります。選びやすい理由:カルシウムとリンは互いに密接に関連する電解質であるため、低リン血症もテタニーの原因になるのではないかと混同しやすいかもしれません。混同注意:低カルシウム血症と低リン血症の症状、特に筋症状を混同しやすいです。
国試ポイント
電解質異常とその結果として生じる特徴的な臨床症状に関する基本的な知識が問われる問題です。特に、カルシウム、カリウム、ナトリウムなどの主要な電解質の血中濃度変動が引き起こす代表的な症状(テタニー、不整脈、意識障害など)は頻出テーマです。
混同注意
低カルシウム血症によるテタニーと、他の電解質異常(例:低ナトリウム血症による痙攣)や、呼吸性アルカローシス(過換気症候群などにより血中の遊離カルシウムが減少してテタニーを誘発する)によるテタニーを混同しないよう注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出題された場合、テタニー以外の各電解質異常(ナトリウム、カリウム、リンなど)が引き起こす特徴的な症状を問われる可能性が高いです。また、テタニーの原因として低カルシウム血症以外の病態(例:呼吸性アルカローシス)も選択肢に含まれるかどうかが重要になります。
関連知識
カルシウムは、骨・歯の形成、血液凝固、神経伝達、筋収縮、ホルモン分泌など多岐にわたる生理的役割を担っています。血中カルシウム濃度の調節には、副甲状腺ホルモン(PTH)、活性型ビタミンD、カルシトニンが関与しており、これらのホルモンの異常も低カルシウム血症の原因となります。テタニーの兆候として、クヴォステック徴候(顔面神経の異常興奮)やトルーソー徴候(マンシェットによる手根痙攣)があります。