補体のC1成分について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
C1は複合体の一部であり、特にC1qのglobular headは加熱により容易に変性し、補体活性を失います。この性質は、血清検体を加熱することで補体活性を不活化する「非働化」の原理として臨床検査で利用されています。56℃、30分間の加熱でC1は失活します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。C1はタンパク質であり、特に抗原抗体複合体に結合したC1qは熱に非常に弱く、56℃で30分間加熱すると失活します。この性質は血清の非働化処理に応用されています。古典経路の活性化に不可欠な成分です。
- 2. C1自体は走化性因子として作用しません。走化性因子として主に機能するのは、C3a、C5a、およびC5b-6-7複合体などです。これらは炎症部位に好中球やマクロファージなどの免疫細胞を誘引します。正しくは:走化性因子として機能するのはC3a、C5a、C5b-6-7複合体などです。選びやすい理由:補体は免疫反応の様々な段階で重要な役割を果たすため、その機能の一つとして走化性が想起されるかもしれませんが、C1にはこの機能はありません。混同注意:C1の機能とC3aやC5aなどのアナフィラトキシン・走化性因子の機能を混同しやすいです。
- 3. C1は補体古典経路の初期段階を活性化する成分であり、副経路(代替経路)の活性化には直接関与しません。副経路はC3が自発的に加水分解されるか、異物表面に結合することで活性化が始まります。正しくは:C1は古典経路の活性化に関与します。選びやすい理由:補体経路には古典経路、副経路、レクチン経路があり、学生はそれぞれの開始分子を混同しやすいため、C1が副経路に関与する可能性を考えてしまうかもしれません。混同注意:C1が関与する古典経路と、C3bなどが中心となる副経路、そしてMBLなどが中心となるレクチン経路の開始因子・活性化機序を混同しやすいです。
- 4. C1の活性化にはカルシウムイオン(Ca)が必須です。C1q、C1r、C1sの3つのサブコンポーネントがCaイオンを介して結合し、C1複合体を形成することで機能を発揮します。Mgイオンは副経路(代替経路)のC3コンバターゼ(C3bBb)の安定化に必要とされます。正しくは:C1の活性化にはCaイオンが必須です。選びやすい理由:補体活性化には様々なイオンが関わるため、CaとMgのどちらが必要か迷う可能性があります。また、Mgが副経路で重要であるという知識から、誤って選択してしまうかもしれません。混同注意:CaイオンとMgイオンの役割を混同しやすいです。Caは古典経路、Mgは副経路で特に重要です。
- 5. 補体成分の中で最も血清濃度が高いのはC3です。C1はC3と比較して血清中の濃度がかなり低いです。正しくは:補体成分の中で血清中の濃度が最も高いのはC3です。選びやすい理由:C1は古典経路の開始成分として重要であるため、その重要性から高濃度であると誤解する可能性があります。混同注意:各補体成分の血清濃度に関する知識、特にC3が中心的な成分であり量も多いことを知らないと混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、補体古典経路の主要な開始成分であるC1の基本的な性質、特にその熱に対する感受性について問うています。また、他の補体成分の機能(走化性、経路の区別、必須イオン、血清濃度)との比較を通じて、各成分の役割を正確に理解しているかを確認する狙いがあります。
混同注意
C1の熱感受性と他の補体成分(例:C3、C4、C2)の熱安定性、C1が関与する経路(古典経路)と他の経路(副経路、レクチン経路)の開始因子、C1の活性化に必要なイオン(Ca)と他の経路で重要なイオン(Mg)を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、C1の熱感受性が臨床検査(非働化)にどう利用されるか、あるいはC1以外の補体成分(例:C3a, C5a)の具体的な生理活性、補体経路全体の概略と主要な構成要素の役割について深く問われる可能性があります。
関連知識
補体古典経路の活性化機序(抗原抗体複合体へのC1q結合、C1r, C1sの活性化)、補体各経路(古典、副、レクチン)の開始分子と活性化機序、主要な補体成分(C3a, C5aなど)の機能(アナフィラトキシン、走化性)、血清の非働化処理の目的と方法。