術中迅速診断における標本作製で使用するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
術中迅速診断では、凍結切片法が一般的ですが、検体を採取後、細胞や組織の形態を安定化させるために固定液が使用されることがあります。特に塗抹標本やスタンプ標本では固定が必須です。選択肢1の「固定液」は、検体の細胞構造を保ち、その後の染色や観察に適した状態にするために不可欠な試薬であるため、正しい選択肢となります。他の選択肢は、迅速診断の文脈では不適切か、主要な役割ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。術中迅速診断では、凍結切片法が一般的に用いられますが、検体を採取した直後に細胞や組織の形態を保つために固定液(例えば10%中性緩衝ホルマリンなど)で処理することがあります。特に、塗抹標本やスタンプ標本では固定液で固定し、染色することが一般的です。また、最終診断のための標本作製においても固定は必須の工程です。
- 2. スクロース(蔗糖)は組織化学的染色や酵素組織化学で、凍結保護剤や浸透圧調整剤として用いられることがありますが、標本作製における主要な試薬ではありません。特にルーチンな迅速診断の標本作製では直接的には使用されません。正しくは:凍結切片の作製で用いられるのはOCTコンパウンド(最適切断温度複合体)などの包埋剤です。選びやすい理由:糖類が細胞保護に関わるイメージから、間接的に関連する可能性を想起させるかもしれません。混同注意:組織保護剤や凍結保護剤の役割と混同しやすいかもしれません。
- 3. パラフィン包埋は、通常の病理診断における永久標本(固定、脱水、透徹、包埋、薄切、染色)作製に不可欠な工程ですが、術中迅速診断(凍結切片法)では迅速性を優先するためパラフィン包埋は行いません。正しくは:パラフィン包埋は通常診断における標本作製で使用されます。選びやすい理由:病理診断の標本作製に必須の材料であるため、選択肢として選びやすいかもしれません。混同注意:通常の永久標本作成プロセスと迅速診断のプロセスを混同しやすいです。
- 4. 水溶性封入剤は、水溶性の染色液を用いた標本や脂質を温存したい標本(凍結切片など)を封入する際に使用されますが、これは薄切後の最後の工程であり、標本の「作製」自体に直接使用される主要なものではありません。特に、包埋剤とは役割が異なります。正しくは:水溶性封入剤は染色後の最終的な封入に用いられます。選びやすい理由:「封入」という言葉から標本作成の一部を想起させますが、作製プロセス全体で最も重要とされるものではありません。混同注意:包埋剤や通常の封入剤(レジン系)と混同しやすいです。
- 5. ユング型ミクロトームは、通常のパラフィン包埋組織を薄切する際に用いられる古いタイプのミクロトームです。術中迅速診断で用いられるのは、凍結組織を薄切するためのクリオスタット(凍結ミクロトーム)です。正しくは:術中迅速診断ではクリオスタットを使用します。選びやすい理由:「ミクロトーム」という言葉から薄切機器であることを連想させ、標本作成に関連する器具であるため選びやすいかもしれません。混同注意:ミクロトームの種類(通常のミクロトームとクリオスタット)を混同しやすいです。
国試ポイント
術中迅速診断における標本作製の基本手順と使用される主要な試薬・器具を理解しているか問う問題です。特に、通常の病理組織検査との違いを把握しているかが重要です。
混同注意
術中迅速診断の過程と、通常の病理組織検査の過程で用いられる試薬や器具の違いを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、術中迅速診断と通常の病理組織検査の各工程(固定、脱水、透徹、包埋、薄切、染色、封入)で用いられる具体的な試薬や装置の違いに注目して判断する。
関連知識
凍結切片法、クリオスタット、OCTコンパウンド、HE染色、塗抹標本、スタンプ標本、10%中性緩衝ホルマリン。