汎血球減少症を呈するのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
汎血球減少症とは、赤血球、白血球、血小板のすべての血球系列が減少する状態を指します。巨赤芽球性貧血は、DNA合成障害により骨髄での無効造血が起こり、すべての血球前駆細胞が影響を受けるため汎血球減少症を呈します。再生不良性貧血は、骨髄の造血幹細胞の機能不全により、すべての血球産生が低下するため、汎血球減少症の代表的な疾患です。その他の選択肢は、主に赤血球系のみに影響を及ぼすか、あるいは汎血球減少症とは異なる病態を示します。
選択肢ごとの解説
- 1. 腎性貧血は、腎臓の機能低下によりエリスロポエチン産生が減少し、主に赤血球の産生が抑制されることで貧血を引き起こします。白血球や血小板の減少は通常見られないため、汎血球減少症には該当しません。正しくは:腎性貧血は主に赤血球系の異常であり、汎血球減少症ではありません。選びやすい理由:「貧血」という名称から血液疾患全般に影響があると思われがちですが、特異的に赤血球産生の減少が主因です。混同注意:他の血液疾患、特に造血器の広範な障害を伴う疾患と混同しやすいです。
- 2. 鉄欠乏性貧血は、体内の鉄分が不足することでヘモグロビン合成が障害され、主に赤血球の産生に影響を与える貧血です。白血球や血小板の減少は通常見られず、汎血球減少症ではありません。正しくは:鉄欠乏性貧血は赤血球系の異常が主であり、汎血球減少症には含まれません。選びやすい理由:最も一般的な貧血の一つであるため、幅広い血液疾患の知識の中で選択肢として意識されやすいですが、汎血球減少症とは異なります。混同注意:貧血という言葉から、全身の血球成分に影響があると誤解しやすいです。
- 3. 正解。巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12や葉酸の欠乏によりDNA合成が障害され、骨髄での細胞成熟が異常をきたす疾患です。赤血球だけでなく、白血球や血小板の前駆細胞も影響を受けるため、貧血、白血球減少、血小板減少を伴う汎血球減少症を呈することがあります。
- 4. 正解。再生不良性貧血は、骨髄の造血幹細胞が障害され、赤血球、白血球、血小板のすべての血球系列において産生が著しく低下する疾患です。これは汎血球減少症の最も典型的な原因の一つとして知られています。
- 5. 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は、自己抗体によって赤血球が破壊されることで生じる貧血です。主な病態は赤血球の破壊であり、通常、白血球や血小板の減少は伴いません。むしろ、溶血反応によって網状赤血球が増加することがあります。正しくは:自己免疫性溶血性貧血は、主に赤血球の破壊による貧血であり、汎血球減少症ではありません。選びやすい理由:「自己免疫性」という言葉から、全身の造血系に影響を及ぼす疾患と誤解されがちですが、標的は主に赤血球です。混同注意:自己免疫性血小板減少症(ITP)や自己免疫性好中球減少症など、他の自己免疫性血球減少症と混同しやすいです。
国試ポイント
汎血球減少症を引き起こす主要な疾患を識別できるかどうかが問われています。特に、再生不良性貧血と巨赤芽球性貧血は汎血球減少症の代表例として、常に覚えておく必要があります。各疾患の病態生理と、どの血球系に影響が出るかを正確に理解しているかが重要です。
混同注意
単一の血球系列のみが減少する貧血(例:鉄欠乏性貧血、腎性貧血)や、溶血性貧血と、汎血球減少症を混同しやすいです。また、自己免疫性疾患が必ずしも汎血球減少症を意味しない点も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各血球減少症の鑑別診断、具体的な検査所見(例:MCV、網状赤血球、骨髄穿刺所見)、および治療法(例:免疫抑制療法、ビタミン補充)について問われる可能性があります。
関連知識
貧血の種類と原因、造血器疾患の病態生理(特に骨髄の機能)、ビタミンB12と葉酸の代謝、自己免疫疾患のメカニズムについて学習することが重要です。