BRCA1/2の病的変異が検出されるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
BRCA1/2遺伝子の病的変異は、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の主要な原因遺伝子です。これらの遺伝子はDNA損傷修復に関与する腫瘍抑制遺伝子であり、機能喪失型変異が生じると乳がんや卵巣がんなどの発症リスクが著しく上昇します。他の選択肢はそれぞれ異なる遺伝子の病的変異によって引き起こされる遺伝性腫瘍症候群であり、BRCA1/2とは関連しません。
選択肢ごとの解説
- 1. リンチ症候群は、ミスマッチ修復遺伝子(MLH1, MSH2, MSH6, PMS2など)の病的変異によって引き起こされる遺伝性疾患です。大腸がんや子宮内膜がんなどの発症リスクが高まりますが、BRCA1/2とは関連しません。正しくは:ミスマッチ修復遺伝子の病的変異が検出される疾患である。選びやすい理由:複数の臓器にがんが発生する遺伝性腫瘍症候群であるため、他の遺伝性腫瘍と混同しやすい。混同注意:他の遺伝性腫瘍症候群、特にAPC遺伝子変異による家族性大腸腺腫症などと混同しやすい。
- 2. 家族性大腸腺腫症は、主にAPC遺伝子の病的変異によって引き起こされる遺伝性疾患です。大腸に多数の腺腫が発生し、高率に大腸がんへ進展します。BRCA1/2遺伝子変異とは異なります。正しくは:APC遺伝子の病的変異が検出される疾患である。選びやすい理由:これも消化器系に多発するがんの素因となる遺伝性疾患であるため、他の遺伝性腫瘍症候群と混同しやすい。混同注意:リンチ症候群や他の大腸がん関連遺伝子疾患と混同しやすい。
- 3. Li-Fraumeni症候群は、TP53遺伝子の病的変異によって引き起こされる遺伝性疾患です。乳がん、肉腫、脳腫瘍、副腎皮質がんなど、非常に幅広い種類のがんを若年で発症するリスクが高まります。BRCA1/2とは異なる遺伝子です。正しくは:TP53遺伝子の病的変異が検出される疾患である。選びやすい理由:乳がんのリスク上昇も含まれるため、BRCA1/2関連疾患と間違えやすい。また、複数の臓器にがんが発生する遺伝性腫瘍症候群であるため。混同注意:BRCA1/2関連の遺伝性乳がん卵巣がん症候群と、乳がんが症状に含まれる点で混同しやすい。
- 4. von Hippel-Lindau病は、VHL遺伝子の病的変異によって引き起こされる遺伝性疾患です。腎細胞がん、褐色細胞腫、中枢神経系血管芽腫、網膜血管腫などの発症リスクが高まります。BRCA1/2とは全く異なる遺伝子および疾患スペクトラムです。正しくは:VHL遺伝子の病的変異が検出される疾患である。選びやすい理由:これも複数の臓器に腫瘍が発生する遺伝性疾患であるため、他の遺伝性腫瘍症候群と区別がつきにくいかもしれない。混同注意:他の遺伝性腫瘍症候群全般と混同しやすい。
- 5. 正解。遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)は、BRCA1またはBRCA2遺伝子の生殖細胞系列に病的変異が存在することで発症する遺伝性疾患です。この変異を持つ人は、乳がん(特に若年発症やトリプルネガティブ乳がん)、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がんなどの発症リスクが有意に上昇します。BRCA1/2はDNAの損傷修復に関わる腫瘍抑制遺伝子であり、その機能が損なわれることでがんのリスクが高まります。
国試ポイント
主要な遺伝性腫瘍症候群と、それぞれに関連する原因遺伝子との組み合わせを正確に覚えているかを確認する問題です。特に、がんの種類と遺伝子の組み合わせ(例:乳がん・卵巣がん → BRCA1/2、大腸がん → APC/MMR遺伝子、広範ながん → TP53など)を理解していることが求められます。
混同注意
乳がんや他の複数のがん種と関連する遺伝性腫瘍症候群(例:Li-Fraumeni症候群、Cowden症候群など)と混同しやすいです。また、各疾患の原因遺伝子名(例:BRCA1/2, APC, MLH1, TP53, VHLなど)と疾患名が多岐にわたるため、それぞれがどの疾患と関連しているのかを整理して覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、遺伝性腫瘍症候群の他の主要な疾患(例:家族性大腸腺腫症、リンチ症候群、Li-Fraumeni症候群、von Hippel-Lindau病、多発性内分泌腫瘍症など)の原因遺伝子と、それらが関連する主ながん種を正確に識別できるかが問われるでしょう。また、遺伝子変異の種類(生殖細胞系列変異か体細胞変異か)、遺伝形式(常染色体優性遺伝がほとんど)、遺伝子機能(腫瘍抑制遺伝子か、がん遺伝子か)についても理解を深めておく必要があります。
関連知識
BRCA1/2遺伝子以外のHBOC関連遺伝子(PALB2, CHEK2, ATMなど)、遺伝カウンセリングの重要性、遺伝子検査の適用基準、がんサーベイランスとリスク低減手術(予防的乳房切除術、卵管卵巣摘出術など)。各遺伝性腫瘍症候群(リンチ症候群、家族性大腸腺腫症、Li-Fraumeni症候群、von Hippel-Lindau病など)の主な症状、原因遺伝子、遺伝形式、がんの発症リスク、サーベイランス内容。