動脈血ガス分析の所見を示す。 pH 7.33 PaCO₂ 60 Torr HCO₃⁻ 31 mEq/L 酸塩基平衡異常はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
提示された動脈血ガス分析結果では、pH 7.33(基準値7.35-7.45より低い)はアシドーシスを示唆します。PaCO2 60 Torr(基準値35-45 Torrより高い)は呼吸性の要因がアシドーシス方向に作用していることを示します。HCO3- 31 mEq/L(基準値22-26 mEq/Lより高い)は代謝性の要因がアルカローシス方向に作用していることを示唆しますが、pHが依然として酸性側であるため、これは原発性の呼吸性アシドーシスに対する腎臓による代謝性の代償と判断されます。したがって、最も適切な診断は呼吸性アシドーシスです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。pHが基準値より低く(酸性)、PaCO2が基準値より高く(呼吸性アシドーシス方向)、HCO3-が基準値より高い(代償性アルカリ増加方向)ことから、原発性の呼吸性アシドーシスに代謝性の代償が加わっている状態を示します。選択肢の中では、最も適切なのは「呼吸性アシドーシス」です。正しくは:正しい選択肢なので修正不要です。選びやすい理由:代償が働いているため、代謝性アルカローシスも頭をよぎるかもしれませんが、pHが酸性側にあるため原発はアシドーシスです。混同注意:代謝性アシドーシスはHCO3-が低下する状態で、代謝性アルカローシスはHCO3-が上昇する状態です。この場合はHCO3-が高いですが、PaCO2の上昇とpHの酸性化から、原発は呼吸性アシドーシスであることがわかります。
- 2. 混合性アシドーシスは呼吸性と代謝性の両方のアシドーシスが同時に存在する状態を指します。このデータではHCO3-が上昇しており、代謝性アシドーシスは認められません。正しくは:呼吸性アシドーシスに代謝性代償が起きている状態であるため、「混合性アシドーシス」とは診断されません。選びやすい理由:アシドーシスという言葉が含まれるため、迷うかもしれませんが、代謝性アシドーシスが存在しないため誤りです。混同注意:呼吸性アシドーシスに代謝性代償が起きている状態と、混合性アシドーシスは異なります。混合性アシドーシスでは、通常HCO3-も低下します。
- 3. 代謝性アシドーシスでは、原発的にHCO3-が低下します。提示されたデータではHCO3-が31 mEq/Lと基準値より上昇しているため、代謝性アシドーシスではありません。正しくは:HCO3-が上昇しているため、この診断は適切ではありません。選びやすい理由:アシドーシスという言葉が含まれるため、迷うかもしれませんが、HCO3-の値からこの診断は除外されます。混同注意:HCO3-の変動は代謝性要素を示します。上昇している場合は代謝性アルカローシスか、呼吸性アシドーシスへの代償です。
- 4. 呼吸性アルカローシスではpHが上昇(アルカリ性)し、PaCO2が低下します。提示されたデータではpHが低下(酸性)し、PaCO2が上昇しているため、呼吸性アルカローシスではありません。正しくは:pHの低下とPaCO2の上昇から、この診断は適切ではありません。選びやすい理由:PaCO2が異常値であることは共通しますが、方向性が逆であるため誤りです。混同注意:アルカローシスはpHが上昇する状態であり、アシドーシスと正反対です。PaCO2とHCO3-の異常値の方向性とpHの関係を正確に理解する必要があります。
- 5. 代謝性アルカローシスではpHが上昇(アルカリ性)し、HCO3-が上昇します。提示されたデータではpHが低下(酸性)しているため、原発性の代謝性アルカローシスではありません。HCO3-の上昇は呼吸性アシドーシスに対する代償として考えられます。正しくは:pHが酸性側であるため、原発性の代謝性アルカローシスではありません。選びやすい理由:HCO3-が上昇していることから代謝性アルカローシスを考えるかもしれませんが、pHが酸性であるため原発性の診断としては誤りです。混同注意:HCO3-の上昇は代謝性アルカローシスまたは呼吸性アシドーシスへの代償を示唆します。pHの値をみてどちらが原発か判断します。
国試ポイント
酸塩基平衡異常の診断では、まずpHの値でアシドーシスかアルカローシスかを判断し、次にPaCO2とHCO3-の変動方向を見て、どちらが原発性の異常でどちらが代償性であるかを判断することが重要です。特にpHが正常範囲外である場合、その異常が主にどちらの成分によるものかを特定します。
混同注意
呼吸性アシドーシスと代謝性代償、混合性アシドーシス、代謝性アルカローシスは似たような値を示すことがあり混同しやすいです。pHがどこに傾いているかで原発性の異常を判断し、PaCO2とHCO3-の方向性で代償か混合かを区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
この患者の背景情報(慢性呼吸器疾患の有無など)や他の電解質、腎機能のデータを確認することで、より詳細な病態生理を評価できます。
関連知識
酸塩基平衡の基準値:pH 7.35-7.45、PaCO2 35-45 Torr、HCO3- 22-26 mEq/L。アニオンギャップの計算も代謝性アシドーシスの鑑別に役立ちます。