細胞診検査材料で乾燥固定しないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
子宮頸部擦過検体は、主に婦人科領域の癌スクリーニングに用いられ、細胞の核の微細構造の評価が非常に重要です。乾燥させてしまうと細胞が収縮し、核のクロマチンパターンが変化してしまい、正確な診断を妨げるアーチファクトが発生します。そのため、塗抹後すぐに95%エタノールなどの固定液に浸漬するか、スプレー固定剤を用いて湿潤状態で固定する必要があります。これにより、細胞の形態が保たれ、特に核の構造を詳細に観察できるパパニコロウ染色に適した標本が作製されます。他の選択肢の検体は、一般的に乾燥固定が選択されることが多いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 髄液は細胞密度が低いことが多く、迅速な評価が必要な場合が多いため、乾燥固定が推奨されます。湿潤固定では細胞が膨潤し、核のクロマチン構造の評価が難しくなることがあります。正しくは:髄液は通常、乾燥固定が推奨されます。特に細胞数の少ない検体では、乾燥固定が細胞の視認性を高めます。選びやすい理由:体腔液であるため湿潤固定と誤解しやすいですが、細胞の変性を防ぎ診断能を上げるために乾燥固定が選ばれることが多いです。混同注意:他の体腔液(腹水、胸水)と混同し、すべて湿潤固定が必要だと考えてしまう可能性があります。
- 2. 腹水も体腔液の一種であり、細胞の変性を避けるため乾燥固定が推奨されます。細胞を空気乾燥させることで細胞が収縮し、核の構造が明瞭になることがあります。正しくは:腹水は一般的に乾燥固定が推奨されます。細胞変性を防ぎ、迅速なスクリーニングを可能にします。選びやすい理由:体腔液は全て湿潤固定と錯覚する可能性があります。混同注意:子宮頸部擦過検体のような粘液性の検体と混同し、その場で湿潤固定が必要だと考えてしまう可能性があります。
- 3. 気管支洗浄液は肺胞マクロファージや炎症性細胞などが含まれることが多く、これらの細胞の形態を評価するために乾燥固定が適切です。正しくは:気管支洗浄液は乾燥固定が一般的です。細胞の変性を抑え、診断に有用な形態を保ちます。選びやすい理由:液体検体であるため、細胞の変性を防ぐために湿潤固定が必要だと誤解することがあります。混同注意:喀痰検体と混同し、同じ処理(乾燥固定)をすると考えるかもしれませんが、気管支洗浄液も乾燥固定が主流です。
- 4. 正解。子宮頸部擦過検体は、パパニコロウ染色による詳細な細胞核の評価が重要であり、細胞の乾燥によるアーチファクト(人工的な変化)を避けるために湿潤固定(エタノール固定など)が必須です。乾燥すると核が収縮し、クロマチン構造が見えにくくなるため、誤診につながる可能性があります。
- 5. 生検スタンプ検体は、組織から直接細胞を採取するため、細胞の密度が高く、乾燥固定が適しています。これにより、迅速に細胞診断を行うことができます。正しくは:生検スタンプ検体は、乾燥固定が一般的です。迅速診断に適しており、細胞の形態を比較的良好に保ちます。選びやすい理由:組織から採取するため、組織診断のように湿潤固定が必要だと誤解しやすいです。混同注意:手術中の迅速診断を目的とする場合は乾燥固定が一般的ですが、一般の病理組織検査(HE染色など)と混同し、湿潤固定(ホルマリン固定)が必要だと考えてしまう可能性があります。
国試ポイント
細胞診検査における検体の適切な固定方法、特に乾燥固定と湿潤固定の使い分けとその理由について問われています。各検体(体腔液、擦過検体など)の特性と、診断目的(迅速診断、詳細な核評価など)に応じた固定法の知識が求められます。
混同注意
体腔液(髄液、腹水など)は液体検体であるため湿潤固定が必要と誤解しやすいですが、これらはしばしば乾燥固定で対応されます。一方で、子宮頸部擦過検体のような細胞診断で核の微細構造が重要な検体は湿潤固定が必須です。この区別が混乱しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず『核の微細構造の評価が特に重要か否か』を判断基準とします。核の評価が最重要であれば湿潤固定、それ以外(細胞の全体像、迅速診断など)であれば乾燥固定を考慮します。また、検体の粘稠性も固定法の選択に影響を与える場合があります。
関連知識
固定方法の種類(乾燥固定、湿潤固定、スプレー固定)、固定液の種類(エタノール、メタノール)、パパニコロウ染色とギムザ染色など、それぞれの染色法に適した固定方法。