特定の遺伝子配列を検出するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
FISH法は、蛍光プローブと相補的な特定の遺伝子配列が結合することを利用し、細胞核内の該当部位を直接蛍光として観察できるため、特定の遺伝子配列の検出に最適な方法です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。FISH法(Fluorescence In Situ Hybridization)は、蛍光標識したDNAプローブを用いて、細胞や組織中の特定の遺伝子配列や染色体異常を直接的に検出・可視化する分子細胞遺伝学的検査法です。そのため、特定の遺伝子配列の検出に適しています。
- 2. DOPA反応は、チロシナーゼという酵素の活性を検出する組織化学的染色法です。主にメラニン産生細胞の同定に用いられ、遺伝子配列そのものを検出するものではありません。正しくは:メラニン産生細胞におけるチロシナーゼ酵素の活性を検出します。選びやすい理由:「反応」という言葉から、生体内の特定の成分を検出する手法と漠然と捉えられがちですが、遺伝子配列の検出とは目的が異なります。混同注意:組織中の特定の酵素活性を検出する様々な組織化学的手法と混同しやすいです。
- 3. Feulgen反応は、DNA中のデオキシリボースを特異的に染色し、DNAの存在量や核の形態を評価する方法です。DNAを検出しますが、特定の遺伝子配列を識別する特異性はなく、DNA全体の検出に用いられます。正しくは:DNAを特異的に染色し、DNAの総量や核の形態を評価します。選びやすい理由:DNAを検出するため、遺伝子配列の検出と関連があると誤解されやすいですが、「特定の」配列を識別するものではありません。混同注意:DNAの総量を検出する核酸染色法(例:ヘマトキシリン染色)や、RNAを検出する染色法と混同する可能性があります。
- 4. ダイレクトファストスカーレット染色(Direct Fast Scarlet染色)は、アミロイドという異常タンパク質の沈着を検出するための特殊染色法です。遺伝子配列の検出とは全く関係ありません。正しくは:組織中のアミロイド沈着を検出します。選びやすい理由:「染色」という言葉から、組織や細胞の特定の成分を染め分ける一般的な手法の一つとして選んでしまう可能性があります。混同注意:アミロイド以外の特定の細胞成分や病変を検出する様々な組織染色法(例:コンゴーレッド染色、PAS染色など)と混同しやすいです。
- 5. メチルグリーン・ピロニン染色は、DNA(メチルグリーンで青緑色)とRNA(ピロニンで赤色)をそれぞれ異なる色で染め分ける核酸染色法です。細胞内の核酸の分布や量を評価しますが、特定の遺伝子配列を識別するものではありません。正しくは:DNAとRNAを異なる色で染め分け、細胞内の核酸の分布や量を評価します。選びやすい理由:DNAとRNAを染めるため、遺伝子に関する手法と誤解されやすいですが、Feulgen反応と同様に「特定の」遺伝子配列を識別するものではありません。混同注意:DNAのみを染めるFeulgen反応や、他の核酸染色法と混同しやすいです。
国試ポイント
この問題では、分子細胞遺伝学的検査法であるFISH法の原理と、組織化学的・細胞組織学的染色法の目的を区別する知識が問われています。特に、DNAを検出する染色法であっても「特定の遺伝子配列」を検出できるわけではないという点を理解しているかが重要です。
混同注意
遺伝子配列の総量を検出するFeulgen反応やメチルグリーン・ピロニン染色と、特定の配列を検出するFISH法との違い。また、PCR法やサザンブロット法など、他の遺伝子検出技術との区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、遺伝子検出技術の各手法(FISH法、PCR法、サザンブロット法、リアルタイムPCRなど)の原理、検出対象、特異性、応用例を正確に理解しているかを確認しましょう。また、様々な組織染色法が何を対象とし、どのような病態の診断に用いられるかについても復習が必要です。
関連知識
FISH法は、染色体異常(転座、欠失、増幅など)や遺伝子座の局在診断、がんの診断や予後予測に応用されます。他の選択肢の染色法は、それぞれチロシナーゼ活性の検出(DOPA反応)、DNAの可視化(Feulgen反応)、アミロイドの検出(ダイレクトファストスカーレット染色)、DNA/RNAの分別検出(メチルグリーン・ピロニン染色)という異なる目的で使用されます。