パラフィン包埋による標本作製時の工程で切り出しを行うのはいつか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
組織の固定が完了した後、病理診断に適した大きさ、厚さ、向きに組織片を切り整える作業を「切り出し(肉眼診断、grossing)」と呼びます。この工程により、固定液が組織の深部まで均一に浸透しやすくなり、その後の脱水、透明化、パラフィン浸透といった各処理が適切に行われるようになります。また、診断上重要な病変部を確実にブロックに含める目的もあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 切り出しは組織の変性を防ぎ、均一な固定を促すために、通常は固定後に行われます。固定前に行うと、自己融解や腐敗が進みやすくなります。正しくは:適切な固定が完了した後に行われます。選びやすい理由:新鮮な組織のうちに作業する方が良いと誤解する可能性があるため。混同注意:生体から採取直後の新鮮な状態での検査(迅速診断など)と、通常のパラフィン包埋標本における適切な固定の重要性が混同される可能性があります。
- 2. 正解。組織の固定が完了した後、病理診断に適した大きさや厚さに整えるために切り出し(肉眼診断、grossing)を行います。この作業により、固定液の均一な浸透が促され、その後の脱水、透明化、パラフィン浸透、薄切といった各工程が円滑に進み、適切な診断部位の確保にも繋がります。
- 3. 脱水は切り出し後に行われる工程であり、切り出し自体は組織の形状を整える目的で行われるため、脱水が終わった段階では遅すぎます。正しくは:固定が完了した後に行われます。選びやすい理由:各工程の順序が曖昧な場合、脱水も中間段階の処理であるため、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:脱水は固定液を置換してパラフィン浸透に備える過程であり、組織の形態を整える切り出しとは目的が異なります。
- 4. 一般的なパラフィン包埋標本作製工程において、脱脂は必須の工程ではありません。特殊な組織(脂肪組織が多い場合など)で一部行われることはありますが、通常のルーチンワークでは脱脂を切り出しのタイミングとして考慮することは稀です。正しくは:固定が完了した後に行われます。選びやすい理由:脂肪組織の処理について考えた際に、脱脂という工程を連想し、そのタイミングと混同する可能性があります。混同注意:特殊な前処理と通常のルーチンワークの混同。
- 5. パラフィン包埋は、切り出しによって整えられた組織を薄切するために固める最終工程の一つです。包埋後に組織を切り出すと、既にブロック状になっているため、薄切の準備としては遅すぎ、組織の形態を整えるという切り出しの目的とは異なります。包埋後に行われるのは、ミクロトームでの薄切作業です。正しくは:固定が完了した後に行われます。選びやすい理由:パラフィンブロックをさらに小さく調整する作業(トリミング)と混同する可能性があります。しかし、設問の「切り出し」はマクロ的な組織の切り出しを指します。混同注意:「切り出し(grossing)」と、パラフィンブロックの「面出し(trimming)」の混同。
国試ポイント
組織標本作製における各工程の順序と、それぞれの工程の目的や意義を理解しているかが問われます。特に、固定、切り出し、脱水、透明化、パラフィン浸透、包埋、薄切、染色の流れを正確に把握しておく必要があります。
混同注意
「切り出し」という言葉が、マクロ的な組織の切り出し(grossing)と、パラフィンブロックを薄切用に整えるミクロ的なトリミング(面出し)のどちらを指すのか混同しやすいです。この問題では前者を指しています。また、各工程の目的とタイミングの混同も生じやすいです。
次に同じ論点が出たら
この論点が再度問われる場合、他の工程(固定、脱水、透明化、包埋、薄切など)の目的や、それぞれの工程がどの順序で行われるか、または各工程で用いられる主な試薬や装置について問われる可能性があります。また、迅速診断など、特殊な状況下での標本作製手順との違いも比較対象となりえます。
関連知識
組織標本作製における主要な工程と試薬について理解が必要です。(例:固定とホルマリン、脱水とアルコール、透明化とキシレン、パラフィン浸透・包埋、薄切とミクロトーム、染色とHE染色など)