電子顕微鏡標本作製時の工程と用いる試薬との組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
電子顕微鏡標本作製における脱水工程では、組織中の水分を完全に除去し、その後の樹脂との置換をスムーズに行うために、エタノールやアセトンなどの有機溶媒が段階的に使用されます。この選択肢は正しい組み合わせです。
選択肢ごとの解説
- 1. オスミウム酸液は主に後固定や電子染色に用いられる試薬です。組織を最初に固定する前固定には、主にグルタルアルデヒド液が使用されます。正しくは:前固定とグルタルアルデヒド液選びやすい理由:オスミウム酸が固定液として使われることは事実であり、電子顕微鏡標本作製において重要な試薬であるため、選択肢として魅力的です。混同注意:前固定と後固定の役割と、それぞれに適した固定液(グルタルアルデヒドとオスミウム酸)の使い分け。
- 2. グルタルアルデヒド液は、組織の微細構造を速やかに固定するため、主に前固定に用いられます。後固定には、脂質を固定しコントラストを向上させる目的でオスミウム酸液が使用されます。正しくは:後固定とオスミウム酸液選びやすい理由:グルタルアルデヒドが強力な固定液であるため、固定の工程で使用されること自体は正しいという点で迷う可能性があります。混同注意:前固定と後固定の役割と、それぞれに適した固定液(グルタルアルデヒドとオスミウム酸)の使い分け。
- 3. 正解。電子顕微鏡の標本作製では、樹脂包埋を行う前に組織中の水分を完全に除去する必要があります。そのため、エタノールやアセトンなどの有機溶媒を段階的に濃度を上げて使用し、脱水処理を行います。この組み合わせは正しいです。
- 4. 電子顕微鏡標本の脱水後の置換(中間剤処理)には、一般的にプロピレンオキシドが用いられます。キシレンは、光学顕微鏡におけるパラフィン包埋の際の脱パラフィンや透徹剤として用いられることが多く、電子顕微鏡の包埋前処理には通常使用されません。正しくは:置換とプロピレンオキシド選びやすい理由:光学顕微鏡の標本作製におけるキシレンの用途を知っている場合、置換剤として選んでしまう可能性があります。混同注意:光学顕微鏡と電子顕微鏡の標本作製プロセスの違い、特に中間剤(置換剤)の種類。
- 5. 電子顕微鏡標本の包埋には、超薄切片の作成に耐えうる硬度を持つエポキシ樹脂(例:Epon、Araldite)やアクリル樹脂が使用されます。カーボワックス(ポリエチレングリコール)は水溶性の包埋剤であり、主に光学顕微鏡の用途で用いられます。正しくは:包埋とエポキシ樹脂(Eponなど)選びやすい理由:カーボワックスが包埋剤の一種であることは事実ですが、用途が電子顕微鏡ではないため、知識が不完全だと誤って選ぶ可能性があります。混同注意:光学顕微鏡と電子顕微鏡で用いられる包埋剤の種類と特性。
国試ポイント
電子顕微鏡の標本作製工程は、前固定、後固定、脱水、置換、包埋、超薄切、染色という一連の流れと、それぞれの工程で用いられる主要な試薬の組み合わせが頻出です。特に、光学顕微鏡標本作製との違いを理解しているかが問われます。
混同注意
光学顕微鏡と電子顕微鏡の標本作製における各工程で使用される試薬の違い(特に固定液、中間剤、包埋剤)が混同されやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各工程の目的や、各試薬が細胞のどの成分に作用し、どのような効果をもたらすか(例:グルタルアルデヒドはタンパク質、オスミウム酸は脂質を固定し、それぞれどのような構造を保持するか)といった詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
前固定:グルタルアルデヒド(タンパク質固定)、後固定:オスミウム酸(脂質固定、コントラスト向上)、脱水:エタノール・アセトン、置換(中間剤):プロピレンオキシド、包埋:エポキシ樹脂・アクリル樹脂、染色:酢酸ウラニル・クエン酸鉛。