心筋梗塞の診断におけるトロポニンTについて誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番(いずれも正解)
解説
【公式の取扱い】この問題は1つを選ぶ形式ですが、公式の正答表では2・4のいずれも正解とされています。 トロポニンTは心筋細胞特異性が高く、心筋障害の早期診断に有用ですが、腎臓からの排泄経路も持つため、腎機能が低下していると血中濃度が持続的に高値を示し、心筋梗塞以外の原因で上昇することがあります。また、トロポニンTは発症早期から上昇しますが、心筋梗塞発症後も比較的長期間高値を維持し、通常1週間以上持続することが多く、約1週間で正常化するという記述は誤りです。急性心筋炎でも心筋障害が起こるため、トロポニンTが上昇し鑑別が必要となります。
選択肢ごとの解説
- 1. トロポニンTは心筋特異性が非常に高く、微小な心筋損傷でも検出できるため、感度が高いです。選びやすい理由:正しい記述であるため、選択肢として違和感がない。混同注意:ミオグロビンなどの他のマーカーとの感度の比較。
- 2. 正解。トロポニンTは腎臓から排泄されるため、腎機能が低下している腎不全患者では血中濃度が上昇し、持続的な高値を示すことがあります。これは心筋梗塞の診断を難しくする要因となります。選びやすい理由:正しい記述であるため、選択肢として違和感がない。混同注意:CK-MBは腎不全の影響を受けにくいため、その違いと混同しやすい。
- 3. 心筋梗塞発症後、トロポニンTは数時間以内(通常3〜6時間)に上昇を開始するため、発症早期から診断に有用です。選びやすい理由:正しい記述であるため、選択肢として違和感がない。混同注意:ミオグロビンとトロポニンの上昇開始時間のわずかな差。
- 4. 正解。トロポニンTは心筋梗塞発症後、数時間で上昇し、ピークに達した後も高値が持続します。通常、10日から14日程度高値が持続することが多く、約1週間で正常化するという記述は誤りです。正しくは:発症後約1週間ではなく、約10〜14日で正常化する。選びやすい理由:正常化するまでの期間について、正確な知識がないと正しいか誤りか判断しにくいため。混同注意:CK-MBが数日で正常化するのと混同しやすい。
- 5. 急性心筋炎でも心筋細胞が障害されるため、トロポニンTは上昇します。したがって、心筋梗塞との鑑別診断が重要となります。選びやすい理由:正しい記述であるため、選択肢として違和感がない。混同注意:他の心筋障害を引き起こす疾患との鑑別の重要性。
国試ポイント
心筋逸脱酵素の動態、特にトロポニンTの特性(心筋特異性、感度、上昇・正常化までの時間、腎機能の影響、鑑別疾患)を正確に理解することが重要です。
混同注意
CK-MBとトロポニンTのピーク時間や正常化までの時間、また、腎不全がCK-MBには影響しないがトロポニンTには影響すること。
次に同じ論点が出たら
トロポニンTのピーク時間と正常化までの期間、腎不全時の動態、そして他の心筋逸脱酵素との比較点に着目して判断します。
関連知識
心筋梗塞診断マーカーとして、ミオグロビン(最も早期に上昇、特異性低い)、CK-MB(比較的早期に上昇、特異性やや高い)、トロポニンI/T(早期に上昇、特異性・感度高い、長期にわたり高値持続)の動態を比較して覚える。急性心筋炎や心不全、腎不全などでもトロポニンが上昇しうるため、鑑別診断の重要性も理解する。