成人の腰椎穿刺による脳脊髄液検査所見で正常なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
正常な脳脊髄液のクロール濃度は、血清クロール濃度よりもやや高く、118〜132mEq/Lが一般的な基準範囲とされています。提示された123mEq/Lはこの範囲内であるため、正常な所見です。他の選択肢は、それぞれ正常範囲外の異常な所見を示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正常な脳脊髄液は通常、無色透明です。淡黄色を呈する場合、ビリルビンによる黄変(キサントクロミー)が疑われ、これは脳出血や髄膜炎などの異常を示唆します。正しくは:外観は無色透明である。選びやすい理由:「淡い」という表現から軽微な異常と捉えがちですが、無色透明が正常です。混同注意:血液が混入した新鮮出血の場合と、時間の経過でビリルビンが生成され黄変した場合の区別。
- 2. 成人正常の脳脊髄液では、細胞数は通常5/μL以下です。11/μLという値は、髄膜炎などの炎症性疾患を示唆する軽度から中程度の増加です。正しくは:細胞数は5/μL以下である。選びやすい理由:少数の増加と見過ごされがちですが、基準値は非常に低いです。混同注意:白血球数が多い疾患(細菌性髄膜炎など)と、少ない疾患(ウイルス性髄膜炎初期など)の区別。
- 3. 成人正常の脳脊髄液中の総蛋白質濃度は、通常15〜45mg/dLです。65mg/dLは基準値を超えており、これは出血、炎症、腫瘍、ギラン・バレー症候群などの異常を示唆します。正しくは:蛋白質は15〜45mg/dLである。選びやすい理由:血漿中の蛋白質濃度に比べれば低いですが、CSFの基準値としては高値です。混同注意:血漿中の蛋白質濃度(約6.0〜8.0g/dL)とCSF中の濃度を混同しやすい。
- 4. 正解。成人正常の脳脊髄液中のクロール濃度は、通常118〜132mEq/L程度です。123mEq/Lはこの正常範囲内にあり、正常な所見と言えます。選びやすい理由:他の項目が異常値であるため、この値も異常値ではないかと疑う可能性があります。混同注意:血清クロール値(約98〜107mEq/L)とCSFクロール値を混同しやすい。CSFクロール値は血清よりも高値を示すのが特徴です。
- 5. 成人正常の脳脊髄液中のグルコース濃度は、血漿グルコース濃度の約2/3程度(通常50〜80mg/dL)です。30mg/dLという値は、基準値より明らかに低く、細菌性髄膜炎などで糖の消費が亢進している場合などにみられます。正しくは:グルコースは血漿グルコースの約2/3(約50〜80mg/dL)である。選びやすい理由:血糖値が低い場合にCSFグルコースも低下することから、その可能性を考慮するかもしれませんが、多くの病態で低下します。混同注意:血漿グルコース濃度とCSFグルコース濃度。また、ウイルス性髄膜炎ではCSFグルコースは正常範囲内にとどまることが多い点。
国試ポイント
この問題は、臨床検査技師として必須の知識である脳脊髄液の正常所見、特に主要な項目(外観、細胞数、蛋白質、グルコース、クロール)の基準値を正確に理解しているかを問うものです。各項目の異常が示唆する疾患についても関連付けて覚える必要があります。
混同注意
血清の基準値と脳脊髄液の基準値を混同しやすい点。特にクロールとグルコースは血清とは異なる特徴的な値を示すため注意が必要です。また、各項目が上昇・低下する代表的な疾患についても整理しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合は、CSFの各項目(外観、細胞数・種類、蛋白、糖、クロール、乳酸、ADAなど)の正常値と、主要な疾患(細菌性髄膜炎、ウイルス性髄膜炎、結核性髄膜炎、くも膜下出血、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群など)における特徴的な変動を正確に判断できるかを確認します。
関連知識
髄膜炎の種類(細菌性、ウイルス性、結核性など)ごとのCSF所見(細胞の種類と数、蛋白質、糖、ADAなど)、脳出血やクモ膜下出血時のCSF所見(キサントクロミー、赤血球数)、ギラン・バレー症候群(蛋白細胞解離)。