尿沈渣所見(別冊No. 2)を別に示す。疑われる疾患はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
尿沈渣の画像が六角板状の結晶を示している場合、これはシスチン結晶の典型的な形態です。シスチン結晶はシスチン尿症の診断に極めて重要であり、尿路結石の原因ともなります。他の選択肢の疾患は、提示された結晶形態とは異なる尿沈渣所見を示すか、尿沈渣とは直接関連がありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。シスチン尿症では、シスチン結晶が尿中に析出します。この結晶は六角板状で、光を透過する特徴があり、多くは数枚が重なって見られます。提示された画像がこの特徴を示している場合、シスチン尿症が強く疑われます。混同注意:尿酸結晶(菱形板状、樽状など)、リン酸アンモニウムマグネシウム結晶(棺の蓋状)など、他の尿中結晶と形態を混同しないように注意が必要です。
- 2. ファブリー病はライソゾーム病の一種で、α-ガラクトシダーゼAの欠損により臓器に糖脂質が蓄積する疾患です。尿中には特徴的なマルタ十字を示す脂質含有上皮細胞(腎尿細管由来)が認められることがありますが、シスチン結晶とは異なります。正しくは:ファブリー病の尿沈渣所見は、脂質含有上皮細胞(マルタ十字を示す)が特徴的です。選びやすい理由:尿沈渣に関連する遺伝性疾患として選択肢に挙げられるため、安易に選んでしまう可能性があります。混同注意:シスチン尿症でみられる六角板状結晶と、ファブリー病でみられる脂質含有上皮細胞を混同する可能性があります。
- 3. フェニルケトン尿症はアミノ酸代謝異常症の一種で、フェニルアラニン水酸化酵素の欠損により、フェニルアラニンが体内に蓄積する疾患です。尿中にはフェニルピルビン酸などが排泄され、特有の臭気や、塩化第二鉄反応陽性といった特徴がありますが、特定の結晶尿沈渣を形成するわけではありません。正しくは:フェニルケトン尿症の診断は、血液中のフェニルアラニン濃度測定や、尿中のフェニルケトン体検出によって行われます。選びやすい理由:新生児マススクリーニングの対象疾患であり、広く知られているため、関連性があるように感じられるかもしれません。混同注意:他のアミノ酸代謝異常症や、特定の尿中成分が検出される疾患と混同する可能性があります。
- 4. α-アンチトリプシン欠損症は、主に肝臓や肺に影響を及ぼす遺伝性疾患です。尿沈渣に特異的な所見は通常見られません。正しくは:α-アンチトリプシン欠損症は、血液中のα-アンチトリプシン濃度が低く、肝臓や肺の組織検査で異常が確認されます。選びやすい理由:遺伝性疾患という共通点から、関連があるように思えるかもしれません。混同注意:尿沈渣とは直接関係のない遺伝性疾患であるため、他の尿沈渣に関連する疾患と誤解する可能性があります。
- 5. アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)欠損症は、プリン代謝異常症の一つで、2,8-ジヒドロキシアデニン(2,8-DHA)が体内に蓄積し、尿中に結晶として排泄されることがあります。この結晶は特徴的な円形または卵円形で、中央に十字状の切れ込みが見られることがあります。シスチン結晶の六角板状とは形態が異なります。正しくは:APRT欠損症で排泄される結晶は2,8-ジヒドロキシアデニン結晶で、シスチン結晶とは形態が異なります。選びやすい理由:尿路結石や結晶尿の原因となる遺伝性疾患であり、選択肢1のシスチン尿症と同様に尿中結晶を伴うため、混同しやすいです。混同注意:シスチン結晶(六角板状)と2,8-DHA結晶(円形または卵円形で中央に十字状の切れ込み)の形態を混同する可能性があります。どちらも稀な遺伝性疾患で結晶尿を呈するため、特に注意が必要です。
国試ポイント
尿沈渣における結晶の形態から、関連する疾患を正確に診断できるかどうかが問われています。特に、特徴的な形態を持つシスチン結晶、リン酸アンモニウムマグネシウム結晶、尿酸結晶、そして稀な2,8-DHA結晶などを識別する知識が重要です。
混同注意
尿沈渣で認められる様々な結晶の形態(尿酸結晶、リン酸アンモニウムマグネシウム結晶、シュウ酸カルシウム結晶、2,8-DHA結晶など)と混同しやすいです。特に、同様に結晶尿を呈するAPRT欠損症(2,8-DHA結晶)との区別が重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず尿沈渣の画像を詳細に観察し、結晶の形態(形、色、大きさ、重なり方など)を正確に識別します。その上で、それぞれの結晶に関連する疾患を想起し、最も合致するものを選択します。
関連知識
シスチン尿症は、腎臓の尿細管でのシスチンの再吸収障害によってシスチンが大量に尿中に排泄される遺伝性疾患です。シスチンは水に溶けにくいため、結晶化して尿路結石の原因となります。診断には、尿中のシスチン結晶の確認やアミノ酸分析、遺伝子検査などが行われます。他の選択肢の疾患も遺伝性疾患であり、それぞれの特徴的な検査所見や症状を理解しておく必要があります。