全血を室温で放置した場合、時間とともに低下するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
全血を室温で放置すると、検体中の血球細胞(特に赤血球)が解糖系を介してグルコースを消費し続けるため、グルコース濃度は時間とともに減少します。このため、血糖値測定には迅速な血漿分離や解糖阻害剤(フッ化ナトリウムなど)の添加が重要です。他の選択肢のLD、AST、カリウムは、溶血によって赤血球内から血漿中に逸脱するため、値が上昇する傾向にあります。血清鉄は溶血によって大きく変動しません。
選択肢ごとの解説
- 1. LDは赤血球内に多く含まれるため、溶血によって血清または血漿中の値は上昇します。正しくは:LDは溶血により上昇します。選びやすい理由:酵素活性の変化と誤解しやすいですが、溶血の影響が大きいことを考慮する必要があります。混同注意:他の不安定な酵素や、温度によって活性が失われる酵素と混同する可能性があります。
- 2. ASTも赤血球内に多く含まれており、溶血により血清または血漿中の値は上昇します。正しくは:ASTは溶血により上昇します。選びやすい理由:酵素であるため不安定なイメージがあるかもしれませんが、溶血の影響が支配的です。混同注意:LDと同様に、他の酵素の安定性と混同する可能性があります。
- 3. 血清鉄は赤血球中のヘモグロビンに含まれる鉄とは異なるため、溶血によって大きく変化することはありません。また、全血放置による減少傾向はありません。正しくは:血清鉄は溶血の影響を受けにくく、全血放置で減少する主要な項目ではありません。選びやすい理由:鉄代謝に関する知識と混同して、鉄の吸収や貯蔵の変化と関連付けてしまうかもしれません。混同注意:フェリチンやトランスフェリン飽和度など、他の鉄代謝マーカーと混同する可能性があります。
- 4. カリウムは赤血球内に高濃度で存在するため、溶血が起こると血清または血漿中に流出し、その値は上昇します。正しくは:カリウムは溶血により上昇します。選びやすい理由:細胞内外のイオンバランスは複雑であるため、カリウムの挙動を誤解しやすいかもしれません。溶血の影響を忘れてしまう可能性があります。混同注意:ナトリウムなど、他の電解質と混同する可能性があります。
- 5. 正解。全血を室温で放置すると、赤血球や白血球などの血球細胞が解糖系によりグルコースを消費するため、時間とともにグルコース濃度は減少します。選びやすい理由:他の項目が溶血により増加する傾向があるため、消去法で選ばれやすいかもしれません。混同注意:グルコースの安定性を過信していると、この選択肢を誤りだと判断する可能性があります。
国試ポイント
検体管理の基本、特に全血放置による検査値への影響(特にグルコースの減少と溶血による成分の増加)を理解しているか問う問題です。溶血による影響と細胞代謝による影響の区別が重要です。
混同注意
溶血による増加と、細胞代謝による減少、そして温度による不安定性の区別。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず「全血放置」のキーワードに注目し、どの成分が細胞内にあるか、細胞の代謝(特に解糖系)によって消費されるものがあるか、溶血によって細胞外へ流出するものがあるか、を検討します。特に血糖値測定の重要性を認識しているか、フッ化ナトリウム採血管の意義を理解しているかが問われます。
関連知識
採血管の種類と添加剤(フッ化ナトリウム、ヘパリン、EDTAなど)、それぞれの作用機序。溶血が検査値に与える影響(特にLD、AST、カリウム、間接ビリルビン、CKなど)。解糖系によるグルコース消費。検体輸送・保存条件。