試験紙法で尿蛋白が陽性のとき原因として誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
尿蛋白試験紙法は、主にアルブミンに反応し、その原理はpH指示薬(テトラブロモフェノールブルーなど)が蛋白と結合すると色調が変化する現象(プロテインエラー)を利用しています。この反応はpHに影響され、強酸性尿では反応が抑制され、偽陰性となることがあります。つまり、強酸性尿は尿蛋白が陽性となる原因ではなく、むしろ陽性反応を阻害する要因となり得ます。
選択肢ごとの解説
- 1. 妊娠後期には、腎血流量の増加や体位の変化による腎圧迫などにより、生理的に軽度の蛋白尿(妊娠性蛋白尿)が出現することがあります。そのため、妊娠は試験紙法で尿蛋白が陽性となる原因となり得ます。正しくは:妊娠後期には、生理的に軽度の蛋白尿が出現することがあるため、試験紙法で尿蛋白が陽性となる原因になり得る。選びやすい理由:生理的な変化であるため、病的な原因ではないと考えるかもしれない。しかし、試験紙法では陽性反応を示す。混同注意:病的な蛋白尿と生理的な蛋白尿の区別。試験紙法は定性試験であり、生理的範囲を超える微量な蛋白尿でも陽性反応を示すことがある。
- 2. 高熱時には、全身代謝の亢進、腎血流量の変化、腎臓の透過性亢進などにより、一時的に蛋白尿が出現することがあります(熱性蛋白尿)。これは試験紙法で陽性となる原因の一つです。正しくは:高熱時には、一時的に蛋白尿が出現することがあるため、試験紙法で尿蛋白が陽性となる原因になり得る。選びやすい理由:発熱は一時的な生理的ストレス反応であり、腎臓の器質的病変とは異なるため、蛋白尿の原因ではないと誤解する可能性がある。混同注意:腎臓の病気による蛋白尿と、体調変化による機能性蛋白尿の区別。
- 3. 正解。尿蛋白試験紙法は、pH指示薬の色調変化を利用しており、pHが低い(強酸性)状態では偽陽性ではなく偽陰性を示すことがあります。特にスルホサリチル酸法など他の蛋白定性法と比較して、試験紙法はpHの影響を受けやすく、強酸性尿では反応が抑制され、実際の蛋白尿を見逃す可能性があります。選びやすい理由:酸性尿が蛋白の凝固を促進するイメージから、陽性反応を助長するように錯覚する可能性がある。混同注意:試験紙法の原理と、スルホサリチル酸法のような酸による蛋白凝固法との混同。また、強アルカリ尿で偽陽性を示すこととの混同。
- 4. 激しい運動の後は、腎臓への血流変化、筋損傷によるミオグロビン尿、脱水などにより、一時的に蛋白尿が出現することがあります(運動性蛋白尿)。これは試験紙法で陽性となる一般的な原因です。正しくは:激しい運動の後は、一時的に蛋白尿が出現することがあるため、試験紙法で尿蛋白が陽性となる原因になり得る。選びやすい理由:健康な人が行う運動であるため、蛋白尿の原因になるとは思わないかもしれない。しかし、腎臓に一時的なストレスを与えるため、蛋白尿を誘発する。混同注意:腎臓の病気による蛋白尿と、生理的ストレスによる機能性蛋白尿の区別。
- 5. 起立性蛋白尿は、臥位から立位に体位を変換した際に腎血流の分布変化により一時的に蛋白尿が出現する現象で、特に若年者に多く見られます。これは試験紙法で陽性となる原因の一つです。正しくは:起立性蛋白尿は、体位変化によって一時的に蛋白尿が出現する現象であり、試験紙法で尿蛋白が陽性となる原因になり得る。選びやすい理由:「うっ血」という言葉から病的な状態を連想しにくい、あるいは一時的なものと捉えすぎて、蛋白尿の原因とは考えにくいと誤解する可能性がある。混同注意:持続性蛋白尿と、体位変化によってのみ出現する一時的な蛋白尿の区別。
国試ポイント
尿蛋白試験紙法の原理と、生理的・機能性蛋白尿の原因、そして試験紙法に影響を与える要因(特にpH)を正確に理解しているかが問われている。偽陽性・偽陰性となる条件も重要。
混同注意
強アルカリ尿での偽陽性反応(緩衝液による指示薬の色調変化)と、強酸性尿での偽陰性反応。また、スルホサリチル酸法などの酸凝固法との混同。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、尿蛋白試験紙法の偽陽性・偽陰性となる具体的な条件、および検出原理(pH指示薬の色調変化、プロテインエラー)について確認することが重要。また、検出できない蛋白(Bence Jones蛋白など)についても把握しておく。
関連知識
尿蛋白試験紙法の特異性(主にアルブミンに反応)、感度、他の定性法(スルホサリチル酸法)との比較、病的原因による蛋白尿(腎炎、ネフローゼ症候群など)、生理的原因による蛋白尿(発熱、運動、妊娠、起立性など)の鑑別。