輸血後の血管外溶血で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
血管外溶血は、赤血球がIgG抗体や補体の一部(C3b)で感作され、主に脾臓や肝臓の網内系マクロファージによって貪食・破壊されるタイプの溶血です。この過程で赤血球内のヘモグロビンが処理され、ヘムが間接ビリルビンへと代謝されるため、血清中の間接ビリルビン濃度が上昇します。一方で、血管内溶血とは異なり、赤血球が血管内で直接破壊されるわけではないため、多量の遊離ヘモグロビンが血中に放出されることは少なく、ヘモグロビン尿やハプトグロビンの著しい低下は通常見られません。補体活性化も、完全な細胞溶解に至るほどは関与しません。ABO不適合輸血は典型的な血管内溶血を引き起こす原因です。
選択肢ごとの解説
- 1. 血管外溶血は主にマクロファージによる抗体感作赤血球の貪食が主機構であり、補体経路の完全な活性化(細胞溶解まで至る)は通常見られません。補体活性化が強く関与するのは、赤血球が直接破壊される血管内溶血です。正しくは:補体の活性化は主要な機序ではないか、限定的である。選びやすい理由:輸血反応では補体が関与する溶血性貧血もあるため、安易に選んでしまう可能性があります。混同注意:血管内溶血(ABO不適合輸血など)と混同しやすいです。
- 2. 血管外溶血では、赤血球は主に脾臓や肝臓のマクロファージによって処理されるため、大量の遊離ヘモグロビンが血中に放出されず、腎臓から排泄されてヘモグロビン尿を呈することは稀です。ヘモグロビン尿は血管内溶血の典型的な所見です。正しくは:通常、ヘモグロビン尿は認められない。選びやすい理由:溶血性貧血の症状の一つとしてヘモグロビン尿が知られているため、溶血=ヘモグロビン尿、という短絡的な思考に陥りやすいです。混同注意:血管内溶血と混同しやすいです。
- 3. ABO不適合輸血は、通常、強力な補体活性化を伴う重篤な血管内溶血反応を引き起こします。これはIgG抗体による血管外溶血とは機序が異なります。正しくは:通常、ABO不適合輸血は血管内溶血を引き起こす。選びやすい理由:輸血後の溶血反応として最も有名であり、輸血関連と聞くとまずABO不適合を連想しやすいため、選択肢として魅力的です。混同注意:輸血後の溶血反応全般と、血管内/血管外溶血の具体的な原因を混同しやすいです。特に、ABO不適合輸血が血管内溶血の代表例であることを忘れていると誤答しやすいです。
- 4. 正解。血管外溶血では、脾臓や肝臓のマクロファージが感作赤血球を貪食・破壊します。この際に赤血球内のヘモグロビンから遊離したヘムがビリルビン代謝経路を経て間接ビリルビンに変換されるため、血清中の間接ビリルビン濃度が上昇します。これは血管外溶血の主要な生化学的特徴です。
- 5. ハプトグロビンは血中の遊離ヘモグロビンと結合して肝臓で処理されるタンパク質です。そのため、血管内溶血で多量の遊離ヘモグロビンが放出された際に消費され、血中濃度が低下します。血管外溶血では、赤血球は主に網内系で処理されるため、遊離ヘモグロビンの血中への放出は少なく、ハプトグロビンの著しい低下は通常見られないか、軽度であると考えられます。正しくは:血中ハプトグロビン値は著しく低下しない、あるいは軽度の低下にとどまる。選びやすい理由:溶血性貧血=ハプトグロビン低下、という知識の丸暗記から、血管内と血管外の区別をせず選択してしまう可能性があります。混同注意:血管内溶血と混同しやすいです。
国試ポイント
輸血反応を含む溶血性疾患において、血管内溶血と血管外溶血の鑑別は非常に重要です。特に、それぞれの溶血様式で特徴的にみられる検査所見(ビリルビン、ハプトグロビン、ヘモグロビン尿の有無、補体活性化の程度、直接クームス試験の結果など)の違いが頻繁に問われます。
混同注意
血管内溶血と血管外溶血の生化学的・病態生理学的所見の混同が最も注意すべき点です。特に、ハプトグロビン低下、ヘモグロビン尿、補体活性化、ABO不適合輸血の関連が血管内溶血の典型であり、血管外溶血とは異なることを正確に理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
溶血性疾患の鑑別において、血管内溶血と血管外溶血の代表的な原因、機序、そして検査所見(遊離ヘモグロビン、ハプトグロビン、ビリルビン、尿中ウロビリノーゲン、赤血球の形態など)の違いを区別できるように学習することが求められます。
関連知識
溶血性貧血の分類(血管内/血管外、先天性/後天性)、ビリルビン代謝経路、ハプトグロビンの生理的役割、直接クームス試験、間接クームス試験、輸血副作用の種類と原因。