膵臓の透過型電子顕微鏡写真(別冊No. 11)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
提示された電子顕微鏡写真の矢印は、二重膜構造と内膜のひだ状の突起(クリステ)を明瞭に示しており、これはミトコンドリアの典型的な形態学的特徴です。ミトコンドリアは細胞のエネルギー産生(ATP合成)を担うオルガネラであり、膵臓細胞のように代謝が活発な細胞では多数観察されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 核は細胞の遺伝情報を格納する大きなオルガネラで、一般的に電子顕微鏡写真では二重膜と内部のクロマチンが観察されます。この画像で矢印が指している構造とは異なります。正しくは:核は、通常より大きく、内部にクロマチンが見られる構造です。選びやすい理由:細胞内で最も目立つオルガネラの一つですが、特徴的な形状が異なります。混同注意:ミトコンドリアと核は形状と内部構造が全く異なるため、混同することは稀です。
- 2. 核小体は核内に存在する構造で、リボソームRNAの合成に関与します。通常、電子顕微鏡では高電子密度の顆粒状に見えますが、この画像で矢印が指している構造は核小体ではありません。正しくは:核小体は核内に存在する電子密度の高い顆粒状の構造です。選びやすい理由:核の近くにある構造として連想されやすいですが、形状が異なります。混同注意:核小体は核内構造であり、細胞質にあるミトコンドリアとは場所が異なります。
- 3. 滑面小胞体は膜状のネットワーク構造で、ステロイドホルモン合成や薬物解毒などに関わります。リボソームが付着しないため滑らかに見えますが、この画像で矢印が指している構造の内部に見られるクリステ構造は滑面小胞体の特徴ではありません。正しくは:滑面小胞体はリボソームが付着しない網状の膜構造です。選びやすい理由:細胞質に広く分布するため、他の細胞小器官と見間違える可能性があります。混同注意:ミトコンドリアのクリステと、滑面小胞体の管状構造を混同する可能性があります。
- 4. 正解。矢印が指しているのは、二重膜構造を持ち、内膜が内部にひだ状に突き出したクリステと呼ばれる構造が特徴的なミトコンドリアです。膵臓の外分泌細胞では、活発なタンパク質合成と分泌活動を支えるために多くのエネルギーが必要とされるため、ミトコンドリアが豊富に存在します。正しくは:記載の通り、ミトコンドリアは二重膜を持ち、内膜がひだ状に突き出してクリステを形成する構造です。
- 5. ゴルジ装置は、扁平な膜袋(シスterna)が積み重なった構造で、タンパク質や脂質の修飾・選別・輸送に関与します。この画像で矢印が指している構造は、クリステ構造を持つためゴルジ装置ではありません。正しくは:ゴルジ装置は扁平な膜袋が層状に重なった構造です。選びやすい理由:膵臓の外分泌細胞では、消化酵素の分泌に関与するためゴルジ装置も発達していますが、形状が異なります。混同注意:ミトコンドリアとゴルジ装置は、その特徴的な内部構造(クリステ vs シスterna)によって明確に区別できます。
国試ポイント
透過型電子顕微鏡写真を見て、主要な細胞小器官の形態学的特徴を識別できるかどうかが問われています。特に、ミトコンドリアの二重膜構造とクリステの存在は、非常に重要な識別点です。
混同注意
他の細胞小器官、特に核、小胞体、ゴルジ装置など。それぞれの特徴的な形態、特に膜構造や内部構造(例: 核のクロマチン、小胞体のリボソーム、ゴルジ装置のシスterna)を正確に理解しておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に出題される際は、他の細胞小器官の電子顕微鏡写真が提示されるか、あるいは特定の疾患における細胞小器官の形態変化を識別させる問題が出題される可能性があります。また、各細胞小器官の機能と形態を結びつける理解が問われることも考えられます。
関連知識
細胞の基本構造、細胞小器官の機能(特にミトコンドリアのATP産生、ゴルジ装置のタンパク質修飾・選別、核の遺伝情報保持など)、透過型電子顕微鏡の原理と像の解釈。