糖尿病で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
糖尿病でインスリン作用が不足すると、糖の細胞内取り込みが低下し、エネルギー源として脂肪分解が促進されます。この脂肪酸の代謝産物として肝臓でケトン体が過剰に生成され、血中濃度が上昇します。特にインスリン欠乏が著しい1型糖尿病や、2型糖尿病でも高度のインスリン抵抗性がある場合に顕著になります。
選択肢ごとの解説
- 1. 糖尿病ではインスリン作用の不足により、細胞内へのグルコース取り込みや利用が低下するため、解糖系はむしろ抑制されます。正しくは:解糖系が抑制される。選びやすい理由:「糖」という言葉から、糖を分解する解糖系が活性化されると誤解する可能性がありますが、インスリン作用不足下では糖の利用が低下します。混同注意:インスリンが十分に作用している正常な状態での糖代謝。
- 2. 糖尿病ではインスリン作用の不足に加え、グルカゴンなどの拮抗ホルモンの作用が相対的に優位になるため、肝臓での糖新生はむしろ亢進します。これが高血糖の一因となります。正しくは:糖新生が亢進する。選びやすい理由:糖の産生が抑制されると血糖値が上がらないため、抑制されると考えるかもしれませんが、実際にはインスリン抵抗性やインスリン作用不足により肝臓での糖新生は促進されます。混同注意:インスリンの働きが正常な場合の糖新生の調節。
- 3. 糖尿病の病初期から高血糖状態が続くと、腎臓の糸球体で濾過されるグルコース量が増え、尿細管での再吸収能を超えると、浸透圧利尿により尿量が増加します(多尿)。正しくは:病初期から尿量が増加する。選びやすい理由:「糖尿病」という病名から、漠然と腎機能障害による尿量減少を連想してしまうかもしれませんが、病初期の多尿は高血糖による浸透圧利尿が原因です。混同注意:糖尿病の進行期における腎不全による尿量減少。
- 4. 正解。糖尿病ではインスリン作用が不足し、糖をエネルギー源として利用できないため、脂肪組織から脂肪酸が動員され、肝臓でケトン体生成が活発になります。選びやすい理由:糖尿病の代謝異常の代表的な現象であり、高血糖と並ぶ重要な病態生理です。
- 5. 2型糖尿病はインスリン抵抗性とインスリン分泌能低下が主な原因であり、膵臓のβ細胞が自己免疫により破壊されるのは1型糖尿病の特徴です。正しくは:1型糖尿病は膵臓のβ細胞が破壊されることで発症する。選びやすい理由:糖尿病は膵臓の異常であるという認識は正しいですが、1型と2型でβ細胞破壊の有無や機序が異なることを混同しやすいです。混同注意:1型糖尿病の発症機序。
国試ポイント
糖尿病におけるインスリン作用不足時の代謝経路の変化(糖、脂質代謝)と、その結果として生じるケトン体生成亢進のメカニズムを理解することが重要です。
混同注意
ケトン体生成は主にインスリン作用不足による糖利用障害が原因であり、単なる飢餓状態でのケトン体生成とは病態が異なります。特に糖尿病性ケトアシドーシスとの関連で理解が必要です。
次に同じ論点が出たら
糖尿病の代謝異常に関する問題が出た場合、インスリン作用の有無や程度が、糖代謝(解糖系、糖新生)だけでなく、脂質代謝(脂肪分解、ケトン体生成)にもどのように影響するかを総合的に判断します。
関連知識
1型糖尿病ではインスリンの絶対的不足によりケトン体生成が顕著で、糖尿病性ケトアシドーシスを来しやすいです。2型糖尿病でもシックデイなどでインスリン作用が著しく低下するとケトン体が増加することがあります。ケトン体は酸性物質であるため、過剰に蓄積すると代謝性アシドーシスを引き起こします。