培地と使用目的の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
ボルデ・ジェンゴー培地は百日咳菌の選択分離に用いられ、ミュラー・ヒントン寒天培地は薬剤感受性試験の標準培地として使用されるため、1と5の組み合わせが正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ボルデ・ジェンゴー培地は、百日咳の病原体である百日咳菌(Bordetella pertussis)を選択的に分離・培養するために用いられる特殊培地です。グリセリン、ジャガイモ抽出液、血液、そして抗生剤(ペニシリンなど)を含み、他の常在菌の発育を抑制しつつ、百日咳菌の発育を促進します。したがって、使用目的と合致しています。
- 2. キャリー・ブレア培地は、便検体中の腸管系病原菌(サルモネラ菌、シゲラ菌など)を検体採取から検査室への輸送中に、生存状態を良好に保ちながら過剰な増殖を抑えるための輸送培地です。菌の生化学的性状を確認する目的には使用されません。正しくは:キャリー・ブレア培地 - 検体の輸送・保存選びやすい理由:「培地」という言葉から、何らかの検査に使用されると漠然と捉え、生化学的性状確認も検査の一種であるため、誤って正しいと判断してしまう可能性があります。混同注意:輸送培地と、分離した菌の性状を確認するための鑑別培地や生化学的検査培地と混同しやすいです。
- 3. キングA培地(King's A medium)は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)が産生する色素、特にピオシアニン(青色色素)の産生能を促進・確認するための鑑別培地です。検体の輸送や保存には適しておらず、そのような目的では使用されません。正しくは:キングA培地 - 緑膿菌の色素産生能確認選びやすい理由:培地の種類が非常に多いため、それぞれの詳細な用途を覚えていない場合、適当に選択肢を選んでしまう可能性があります。輸送培地の名前(例: Stuart培地、Amies培地、Cary-Blair培地)と混同するかもしれません。混同注意:輸送培地(例: スチュアート培地、アミーズ培地)や、他の鑑別培地と混同しやすいです。
- 4. LIM培地(Lysine Iron Agar Medium)は、主に腸内細菌のリジン脱炭酸酵素活性、リジン脱アミノ酵素活性、および硫化水素(H2S)産生能を確認し、菌種を鑑別するために用いられる鑑別培地です。特定の標的菌を選択的に増殖させることを主目的とする増菌培地ではありません。正しくは:LIM培地 - 腸内細菌の同定(リジン脱炭酸・脱アミノ酵素活性、硫化水素産生能の確認)選びやすい理由:「選択的」という言葉と「増殖(増菌)」という言葉が結びつきやすく、この組み合わせが正しいのではないかと誤解する可能性があります。しかし、LIM培地は鑑別が主目的です。混同注意:増菌培地(例: セレナイト培地、GN培地)や、他の鑑別培地(例: TSI培地、SIM培地)と混同しやすいです。
- 5. 正解。ミュラー・ヒントン寒天培地は、ディスク拡散法や希釈法といった抗菌薬感受性試験において、世界的に標準培地として推奨されています。多くの細菌の良好な発育を支持し、抗菌薬の安定性や寒天中の拡散性に優れているため、信頼性の高い感受性結果を得るのに適しています。したがって、使用目的と合致しています。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、主要な培養培地の名称と、その最も代表的な使用目的(選択分離、増菌、鑑別、輸送、薬剤感受性など)の組み合わせの正誤を問う問題が頻出します。特に、特定の菌種の分離培地や、標準的に使われる検査培地の知識が問われます。
混同注意
培地の名前が似ていたり、機能の一部が重なることで混同しやすいです。例えば、選択培地と鑑別培地、増菌培地と分離培地、輸送培地と分離・鑑別培地など。また、特定の菌種名を連想させる培地名であっても、その具体的な用途を誤解しやすい場合があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、主要な病原菌(サルモネラ、シゲラ、緑膿菌、腸管出血性大腸菌、百日咳菌、ブドウ球菌など)に対応する選択培地、鑑別培地、増菌培地、そして標準的に用いられる検査培地(薬剤感受性試験、血液培養など)の具体的な名称と目的を正確に把握しているかを確認する問題が予想されます。特に「選択分離」「増菌」「鑑別」「輸送」といった機能を表す用語の厳密な意味と、各培地がどの機能を持つかを問われることが多いです。
関連知識
選択培地は特定の菌の発育を促進またはそれ以外の菌の発育を抑制する培地。増菌培地は目的菌の量を増加させる培地。鑑別培地は菌の生化学的性状や代謝産物を利用して菌種を鑑別する培地。輸送培地は検体中の菌の生存を維持しつつ、増殖を抑える培地。百日咳菌の培養にはボルデ・ジェンゴー培地の他にレーガン・ロウ培地も使用されます。緑膿菌の色素産生確認にはキングA培地(ピオシアニン)、キングB培地(フルオレセイン)があります。腸内細菌の同定にはLIM培地の他にもTSI培地、SIM培地、VP培地、MR培地、クエン酸塩培地などがあります。