マイヤー〈Mayer〉とカラッチ〈Carazzi〉のヘマトキシリン液のどちらにも用いられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
Mayerヘマトキシリン液とCarazziヘマトキシリン液は、いずれもヘマトキシリンを主成分とし、媒染剤としてミョウバン(カリウムミョウバンまたはアンモニウムミョウバン)を使用するミョウバンヘマトキシリンの一種です。ミョウバンはヘマトキシリンを酸化してヘマテインにし、さらにヘマテインと結合して色素を安定させ、組織の核に選択的に染色させる役割を果たします。その他の選択肢は、どちらか一方にしか含まれないか、あるいはヘマトキシリン染色液とは全く異なる目的で使用される試薬です。
選択肢ごとの解説
- 1. クエン酸は、一部のヘマトキシリン液(例: GILLヘマトキシリン液)の核染調整剤として用いられることがあるが、Mayer液やCarazzi液には通常含まれません。正しくは:GILLヘマトキシリン液に含まれることがあります。選びやすい理由:ヘマトキシリン液のpH調整や分化に関わる酸の一種であるため、含まれるのではないかと誤解しやすいです。混同注意:GILLヘマトキシリン液などの分化調整剤。
- 2. 過ヨウ素酸は、PAS染色においてグリコーゲンなどを酸化しアルデヒド基を生成するために用いられる試薬であり、ヘマトキシリン液の成分ではありません。正しくは:PAS染色の前処理に用いられます。選びやすい理由:組織染色に関連する試薬であるため、混同される可能性があります。混同注意:PAS染色における酸化剤。
- 3. グリセリンは、組織学的封入剤や、一部の特殊な染色液の保存剤・湿潤剤として用いられることがありますが、Mayer液やCarazzi液の基本成分ではありません。正しくは:組織学的封入剤や一部染色液の保存剤として用いられます。選びやすい理由:一般的な試薬であり、何らかの目的で配合される可能性があると考える人がいるかもしれません。混同注意:封入剤や一部の特殊染色液の添加物。
- 4. 抱水クロラールは、Carazziのヘマトキシリン液には安定剤として加えられますが、Mayerのヘマトキシリン液には含まれません。Mayer液は、一般に抱水クロラールを含まず、保存性を高めるために熱処理やチモールを加える場合があります。正しくは:Carazziのヘマトキシリン液に安定剤として含まれます。選びやすい理由:Carazzi液には含まれるため、「どちらにも」という条件を見落とすと、Mayer液にも含まれると勘違いしやすいです。混同注意:Carazziヘマトキシリン液の安定剤。
- 5. 正解。カリウムミョウバン(またはアンモニウムミョウバン)は、Mayerヘマトキシリン液とCarazziヘマトキシリン液の両方において、ヘマトキシリン色素を組織に結合させるための媒染剤(色素定着剤)として必須の成分です。
国試ポイント
ヘマトキシリン染色液の種類と、それぞれの主要な構成成分、特に媒染剤、酸化剤、安定剤、pH調整剤などの役割を正確に理解しているかを問う問題です。複数の染色液に共通する成分を識別する能力が求められます。
混同注意
ミョウバン以外の試薬(例: 抱水クロラール、クエン酸、過ヨウ素酸ナトリウム)が特定のヘマトキシリン液(例: Carazzi液、GILL液、Weigert液)に含まれることを知っていても、「どちらにも」という条件を見落とすと誤答につながります。また、ヘマトキシリン液の酸化剤と媒染剤の区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず問題文が「どちらにも」「どちらか一方にのみ」「特定の染色液にのみ」のどれを求めているかを確認します。次に、各ヘマトキシリン液の主要な構成成分(特に媒染剤、酸化剤、安定剤)をリストアップし、共通点や相違点を比較します。特に、MayerとCarazziはミョウバンヘマトキシリンであり、抱水クロラールはCarazzi液のみ、GILL液はクエン酸を含むなど、特徴的な成分に注目します。
関連知識
ヘマトキシリン染色液の種類(Mayer, Carazzi, GILL, Harris, Ehrlich, Weigertなど)とそれぞれの特徴的な成分、調製法、用途。媒染剤(ミョウバン、鉄塩など)の役割。ヘマトキシリンの酸化(ヘマテインへの変換)とその促進剤(酸化剤)。染色液の安定剤(抱水クロラール、グリセリンなど)や保存剤。PAS染色など他の基本的な組織染色法の主要試薬。