疾患とその診断に有用な染色法との組合せで誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
選択肢3の「ヘモジデローシスとトルイジンブルー染色」の組み合わせが不適切です。ヘモジデローシスは鉄含有色素であるヘモジデリンが組織に沈着した状態であり、ヘモジデリンの検出には鉄を青く染め出すベルリン青染色(Perls' Prussian blue染色)が特異的に用いられます。一方、トルイジンブルー染色は、肥満細胞の顆粒や酸性ムコ多糖類を異染性で染め出すための染色法であり、ヘモジデリンの検出には適しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 渡辺の鍍銀法は、肝臓のコラーゲン線維(特に細い線維)を銀で黒く染色するため、肝硬変における線維化の程度の評価に非常に有用な方法です。病理診断で広く用いられます。
- 2. アザン染色は、結合組織(コラーゲン線維)を青色に、心筋細胞を赤色に染め分けることができる多色染色法です。心筋梗塞後の瘢痕組織(線維化)の検出に非常に役立ちます。
- 3. 正解。トルイジンブルー染色は、肥満細胞の顆粒(ヒスタミン、ヘパリンなど)や酸性ムコ多糖類を異染性(メタクロマジー)で青紫色に染め出すための染色法です。ヘモジデリン(鉄沈着)の検出には特異性がなく、不適切な組み合わせです。正しくは:ヘモジデローシスとベルリン青染色(Perls' Prussian blue染色)選びやすい理由:どちらも体内色素や沈着物を検出する染色法であるため、漠然とした知識では選んでしまいやすいかもしれません。また、トルイジンブルーも青系の色に染まるため、鉄を青く染めるベルリン青染色と混同する可能性もあります。混同注意:ヘモジデリンの検出に用いられるベルリン青染色(Perls' Prussian blue染色)と混同しやすいです。また、他の内因性色素(リポフスチン、メラニンなど)の染色法と混同する可能性もあります。
- 4. PAM染色(過ヨウ素酸メセナミン銀染色)は、腎臓の糸球体基底膜やメサンギウム基質を黒色に染色し、その構造変化を非常に明瞭に観察できるため、慢性糸球体腎炎をはじめとする腎疾患の診断に不可欠な染色法です。
- 5. ビクトリアブルー染色は、B型肝炎ウイルス感染によって肝細胞内に蓄積するHBs抗原(B型肝炎表面抗原)を特異的に青く染め出すことができ、B型肝炎の診断や病態評価に有用です。
国試ポイント
この問題は、主要な疾患の病理診断に用いられる特殊染色法の目的と、それが検出する組織成分や色素を正確に理解しているかを問うものです。特に、各種疾患でキーとなる病理学的変化(線維化、色素沈着、ウイルス抗原など)を可視化するための染色法と、その特異性に関する知識が重要となります。
混同注意
トルイジンブルー染色とベルリン青染色(Perls' Prussian blue染色)の目的が混同されやすいです。トルイジンブルーは肥満細胞の顆粒や酸性ムコ多糖類(異染性)、ベルリン青は鉄(ヘモジデリン)を検出します。また、類似する他の内因性色素(リポフスチン、メラニンなど)の検出法との区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出題された場合、まず疾患の病態や病理学的特徴を考え、どのような組織成分や沈着物を検出する必要があるかを特定します。その上で、その目的を最も特異的かつ効果的に達成できる特殊染色法は何かを判断します。
関連知識
鉄色素(ヘモジデリン)の染色にはベルリン青染色が、アミロイドの染色にはコンゴーレッド染色(偏光下で緑色偏光)が、ムチンや酸性ムコ多糖類にはアルシアンブルー染色やPAS染色が、弾性線維にはエラスチカ・ワンギーソン染色やオルセイン染色が、細菌にはグラム染色やチール・ネルゼン染色がそれぞれ用いられることを理解しておく必要があります。