Mycobacterium属について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
M.fortuitumは迅速発育性抗酸菌(RGM)に分類され、培養開始から7日以内にコロニーを形成することが特徴です。他の選択肢は、M.lepraeの非培養性、M.aviumの硝酸塩還元試験陰性、M.marinumの低至適発育温度、M.tuberculosisとM.bovisのPCRによる鑑別困難性という点で誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. M.leprae(らい菌)は偏性細胞内寄生菌であり、小川培地を含む通常の人工培地では培養できません。生体内の細胞(例: マウスの足底、アルマジロ)でのみ増殖します。正しくは:M.lepraeは通常の人工培地では増殖しない。選びやすい理由:結核菌などが小川培地で培養できるため、同じMycobacterium属であれば培養可能と誤解しやすいため。混同注意:M.tuberculosisなど、人工培地で発育する他のMycobacterium属菌と混同しやすい。
- 2. M.avium(非結核性抗酸菌の一種)は硝酸塩還元試験において陰性を示します。この試験は結核菌群の鑑別に用いられる重要な生化学的性状の一つです。正しくは:M.aviumは硝酸塩を還元する能力を持たない(硝酸塩還元試験陰性である)。選びやすい理由:多くの細菌が硝酸塩還元能を持つため、特段の知識がないと陽性と思ってしまう。混同注意:M.kansasiiやM.tuberculosis(どちらも硝酸塩還元試験陽性)など、他の抗酸菌と混同しやすい。
- 3. M.marinum(マリン菌)の至適発育温度は28~32℃であり、37℃ではありません。この菌は水生環境に生息し、ヒトでは主に皮膚感染症(プール肉芽腫など)を引き起こします。正しくは:M.marinumが最もよく増殖する温度は28~32℃である。選びやすい理由:人体温である37℃が多くの病原菌の至適温度であるため、特に温度に関する情報が不足していると選びやすい。混同注意:M.tuberculosisなど、37℃が至適温度である他の病原性抗酸菌と混同しやすい。
- 4. 正解。M.fortuitumは迅速発育性抗酸菌(RGM: Rapidly Growing Mycobacteria)に分類され、通常、培養7日以内(多くは3~5日)に肉眼で判別できる集落を形成します。これは非迅速発育性抗酸菌(結核菌群や他の非結核性抗酸菌)と比較した重要な特徴です。
- 5. M.tuberculosisとM.bovisはともにMycobacterium tuberculosis complex (MTBC) に属し、遺伝子配列が非常に類似しています。このため、一般的な結核菌検出用PCR試薬では両者を区別することは困難であり、鑑別には特定の遺伝子領域(例: RD領域の欠失分析)を標的としたPCRや遺伝子シーケンス解析が必要です。正しくは:M.tuberculosisとM.bovisは、一般的な結核菌検出用PCR検査では明確に区別できない。選びやすい理由:PCRが遺伝子レベルでの検出・鑑別に優れる検査法であるため、何でも鑑別できると誤解しやすいため。混同注意:複数の菌種を一挙に検出・鑑別できるマルチプレックスPCRなど、より高度な遺伝子検査技術と混同しやすい。
国試ポイント
本問題は、Mycobacterium属における主要な菌種(特にM.tuberculosis complex、非結核性抗酸菌、迅速発育性抗酸菌)の基本的な生物学的特性、培養性状、生化学的性状、および検査法に関する知識を問うています。特に各菌種に特有な性質(培養温度、増殖速度、生化学的反応、遺伝学的特徴)の正確な理解が求められます。
混同注意
各Mycobacterium属菌種の特徴(培養条件、増殖速度、生化学的性状、遺伝学的特徴)が多岐にわたるため、それぞれの菌種固有の性質を他の菌種のものと混同しやすいです。例えば、M.tuberculosisの増殖性状と迅速発育性抗酸菌の増殖性状、硝酸塩還元試験の結果など。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、各Mycobacterium属菌種の以下の点に注目して判断する。1. 増殖速度(迅速発育性か否か、7日以内の増殖の有無)。2. 至適培養温度(37℃か、それより低いか、高いか)。3. 人工培地での培養の可否。4. 主要な生化学的性状試験(硝酸塩還元試験、カタラーゼ試験など)の結果。5. 特定の遺伝子検査での鑑別能力(特にMTBC内の菌種)。
関連知識
Mycobacterium属菌の分類(結核菌群、非結核性抗酸菌 - NTM/MOTT、迅速発育性抗酸菌 - RGM、非迅速発育性抗酸菌)。各主要菌種(M.tuberculosis, M.leprae, M.avium, M.kansasii, M.marinum, M.fortuitumなど)の病原性、臨床的特徴。抗酸菌の培養法(小川培地、液体培地など)、培養条件(温度、期間)。生化学的性状試験(硝酸塩還元試験、カタラーゼ試験、アリルスルファターゼ試験など)とその結果。分子生物学的検査(PCR, DNA-DNAハイブリダイゼーションなど)の原理と適用範囲。結核菌群(MTBC)の構成菌種(M.tuberculosis, M.bovis, M.africanum, M.microtiなど)。