ABO血液型が後天的変化を示す原因はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
急性骨髄性白血病(AML)では、悪性化した造血幹細胞から分化する赤血球において、ABO血液型抗原の生合成酵素の活性低下や異常が生じることがあります。これにより、本来持っているA抗原やB抗原の発現が弱まったり、欠損したりして、血液型が変化したように見えたり、O型に近い反応を示すことがあります。特にA型患者でA抗原の減少(Acquired B antigenのように『B抗原獲得』ではなくA抗原の『弱化』が起こる場合も含まれる)やB型患者でB抗原の減少が見られます。これは、糖鎖合成酵素の遺伝子変異や発現異常が原因と考えられています。
選択肢ごとの解説
- 1. 血友病は凝固因子の先天的な欠乏による疾患であり、ABO血液型の後天的変化とは直接関係ありません。正しくは:血友病は遺伝性の凝固異常症であり、血液型変化の原因ではありません。選びやすい理由:血液疾患という点で関連があるように見えるかもしれませんが、直接的な原因ではありません。混同注意:血液凝固系の疾患と、赤血球表面抗原の変化が混同される可能性があります。
- 2. 赤芽球癆は赤血球前駆細胞の産生不全による貧血ですが、ABO血液型抗原の質的変化や喪失を引き起こすことは通常ありません。正しくは:赤芽球癆は赤血球産生の問題であり、血液型抗原の変化とは異なります。選びやすい理由:赤血球に関連する疾患であるため、関連があるように思えるかもしれません。混同注意:赤血球の数的な異常と、赤血球表面抗原の質的な異常が混同される可能性があります。
- 3. 鉄欠乏性貧血は、ヘモグロビン合成に必要な鉄が不足することで起こる貧血であり、ABO血液型抗原の後天的変化とは直接関係ありません。正しくは:鉄欠乏性貧血は鉄代謝の異常によるもので、ABO血液型抗原の変化を引き起こしません。選びやすい理由:最も一般的な貧血の一つであるため、知識として思い浮かびやすいかもしれませんが、この問題の論点とは異なります。混同注意:貧血全般と、血液型抗原の後天的変化が混同される可能性があります。
- 4. 正解。急性骨髄性白血病(AML)では、造血幹細胞に異常が生じ、赤血球系細胞の成熟異常や抗原発現異常が起こることがあります。特に、A型やB型の患者が、異常な赤血球でA抗原やB抗原の発現が低下し、O型に近く判定される、あるいはH抗原が増強されるなど、血液型が後天的に変化したように見えるケースが報告されています。選びやすい理由:白血病は全身の血液細胞に影響を与えるため、血液型にも影響を与える可能性があると直感的に理解しやすいかもしれません。
- 5. 自己免疫性溶血性貧血は、自己抗体によって赤血球が破壊される疾患ですが、ABO血液型抗原そのものが後天的に変化するわけではありません。ただし、抗体の影響で型判定が困難になることはあります。正しくは:自己免疫性溶血性貧血は赤血球破壊が主で、抗原自体の変化は起こりません。選びやすい理由:血液型判定の困難さという点で関連があるように見えるかもしれませんが、抗原そのものの変化ではありません。混同注意:血液型『判定』の困難さと、血液型『抗原』の後天的変化が混同される可能性があります。
国試ポイント
ABO血液型の後天的変化を引き起こす病態に関する知識が問われています。特に、白血病などの造血器腫瘍が、赤血球表面抗原の発現に影響を与える可能性を理解しているかが重要です。この現象は、『獲得B抗原』などとも関連しますが、より広範な血液型抗原の後天的変化として認識されています。
混同注意
自己免疫性溶血性貧血のように、型判定が困難になる病態と、実際に血液型抗原が変化する病態との区別が曖昧になりがちです。また、他の一般的な血液疾患と混同される可能性もあります。
次に同じ論点が出たら
この問題で理解すべきは、造血幹細胞の異常が赤血球表面抗原の発現に影響を与え、結果としてABO血液型が後天的に変化する可能性があるという点です。次に類問が出た際には、造血器疾患、特に骨髄系の異常が関与する疾患に注目してください。
関連知識
獲得B抗原(Acquired B antigen):主に大腸菌などの細菌感染によって産生される酵素(デアセチラーゼ)が、A型赤血球のA抗原の一部をB抗原に似た構造に変化させる現象。消化器疾患や敗血症などで見られることがあります。また、骨髄異形成症候群(MDS)や急性骨髄性白血病(AML)でも同様にABO抗原の異常発現が見られることがあります。