カラム凝集像(別冊No. 16)の結果を別に示す。考えられるのはどれか。2つ選べ。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
カラム凝集法で弱い凝集像が見られた場合、原因としてABO亜型や新生児のABO抗原の未熟性が考えられます。亜型は抗原量が少ないため、新生児は抗原発達が不十分なため、どちらも標準的な反応よりも弱い凝集として検出されることがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ABO亜型は、抗原量が少ないため、標準血球に対する凝集反応が弱くなることがあります。カラム凝集法では、部分的な凝集として反応が弱く、カラムの底に沈殿が見られるパターンを示すことがあります。特にA2B型などではH抗原に対する抗Hが検出されることもあり、通常のABO型判定では見過ごされやすいです。
- 2. 正解。新生児はABO抗原の発達が未熟なため、凝集反応が弱く出ることがあります。また、出生直後からABO抗原は存在しますが、生後3〜6ヶ月頃までは抗体産生能が十分でないため、カラム凝集法においても弱い反応や非典型的な結果を示すことがあります。
- 3. 血液型キメラは、異なる血液型の細胞が混在している状態であり、通常、二峰性の凝集像(例:2+と4+が混在する)や、複数の抗原に対する反応が混在する形で観察されることが多いです。部分的な弱い凝集像とは異なるパターンを示します。正しくは:血液型キメラの場合、通常は異なる凝集強度を示す複数の細胞集団が混在するため、カラム全体にわたって複数の凝集帯が見られたり、凝集度が不均一になったりします。選びやすい理由:血液型の例外的なパターンであるため、選択肢として魅力的ですが、カラム凝集の典型的な弱い凝集像とは異なります。混同注意:ABO型の例外的なケース全般と混同しやすいですが、キメラは混合凝集として特徴的なパターンを示します。
- 4. 寒冷凝集素は低温で反応が強くなる自己抗体であり、通常は全ての検査血球(特に自己血球も含む)に対して強く反応し、特に室温や冷蔵条件下で強い凝集を引き起こします。カラム凝集法では、コントロールが陽性となり、ほぼ全てのカラムで凝集が観察される、もしくは非特異的な強い凝集として現れます。弱い凝集とは異なるパターンです。正しくは:寒冷凝集素が原因の場合、自己血球を含め全ての試験管で凝集が見られるか、あるいは非特異的な強い凝集反応として現れます。特に低温で顕著です。選びやすい理由:非特異的な反応を引き起こす因子として知られているため、選択肢として考えやすいですが、その凝集パターンが異なります。混同注意:不規則抗体や自己抗体の一般的な概念と混同しやすいですが、寒冷凝集素は反応温度に特徴があります。
- 5. 不規則抗体はABO型以外の赤血球抗原に対する抗体で、通常は特異的な抗原を持つ血球にのみ凝集反応を起こします。特定のカラム(例:間接抗グロブリン試験)で陽性となるか、特定のスクリーニング血球または同定用血球に対してのみ反応します。弱い凝集が『汎反応』として観察されるケースは稀で、今回の提示されたような弱い凝集像とは直接関連しにくいです。正しくは:不規則抗体が原因の場合、抗体スクリーニングや交差適合試験で特定の反応を示したり、間接抗グロブリン試験の陽性として検出されたりすることが多いです。全てのカラムで弱い反応を示すとは限りません。選びやすい理由:輸血検査における一般的な問題の一つであるため、選択肢として考えやすいですが、その凝集パターンが異なります。混同注意:自己抗体や、特異性の低い抗体と混同しやすいですが、不規則抗体は通常、より特異的な抗原と反応します。
国試ポイント
本問題は、カラム凝集法における非典型的な反応パターンから、その原因を特定する能力を問うものです。特に、ABO亜型や新生児の抗原量の違いが、凝集反応の強さにどう影響するかを理解しているかが重要です。臨床検査技師国家試験では、凝集反応の基本原理と、特殊な状況下での反応の特徴を正確に把握していることが求められます。
混同注意
通常の強い凝集反応と弱い凝集反応の違い、および非特異的反応(寒冷凝集素など)との鑑別。また、ABO亜型とABOキメラなど、見かけ上似たような稀な血液型表現型との鑑別も重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出たら、まず『凝集反応の強さ』と『反応が見られる試験管の種類(汎反応か特異反応か)』に注目します。弱い凝集が汎的に見られる場合は亜型や新生児を、特定の試験管のみで反応する場合は不規則抗体を、低温で強い反応が見られる場合は寒冷凝集素を疑うというように、パターン認識で判断します。また、画像から得られる凝集の形態(例えば、凝集塊の大きさや位置、溶血の有無など)も重要な判断材料となります。
関連知識
ABO式血液型の遺伝と抗原の発現、新生児の血液学的特徴、カラム凝集法の原理と判定基準、不規則抗体の種類と検出方法、寒冷凝集素の病態と検査への影響。