PCR産物のアガロースゲル電気泳動で非特異的なバンドが見られた場合、対応法として試みるべきなのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
PCRにおける非特異的なバンドの出現は、プライマーが目的配列以外の場所に結合して増幅してしまうことで起こります。アニーリング温度を上げることで、プライマーと鋳型DNAの結合に必要な相補性を高め、ミスマッチな結合を排除できます。これにより、プライマーが目的配列にのみ特異的に結合しやすくなり、非特異的な増幅が抑制されます。
選択肢ごとの解説
- 1. サイクル数を増やすと、非特異的な増幅も促進されるため、非特異バンドがより強く現れる可能性があり、解決策にはなりません。正しくは:サイクル数を減らすか、最適化を検討する。選びやすい理由:増幅が少ない場合に考えがちですが、非特異バンドが存在する場合は逆効果です。混同注意:増幅効率が低い場合と、非特異増幅がある場合のごっちゃ混ぜ。
- 2. Mgイオン濃度の上昇は、Taqポリメラーゼの活性を高めると同時に、プライマーと鋳型DNAの非特異的な結合を促進し、結果として非特異バンドを増加させる可能性があります。正しくは:Mgイオン濃度を最適化するか、必要であれば下げることを検討する。選びやすい理由:MgイオンがPCR反応に必須であることから、上げれば効率が上がると誤解しがちです。混同注意:PCRの至適条件と非特異増幅抑制条件の混同。
- 3. 鋳型DNAの量を増やすと、目的の増幅産物が増えるだけでなく、非特異的な増幅の機会も増加するため、非特異バンドがより顕著になる可能性があります。正しくは:鋳型DNAの量を最適化するか、必要であれば減らすことを検討する。選びやすい理由:シグナルが弱い場合に有効な手段ですが、非特異バンドがある状況では悪化させる可能性があります。混同注意:目的産物の収量増加と非特異増幅抑制の区別。
- 4. プライマー量を増やすと、Taqポリメラーゼが非特異的な部位に結合する確率が高まり、プライマーダイマー形成や非特異的増幅を促進し、非特異バンドを増加させる原因となります。正しくは:プライマー量を最適化するか、必要であれば減らすことを検討する。選びやすい理由:プライマーが少なすぎると増幅効率が落ちるため、増やせば良いと短絡的に考えがちです。混同注意:プライマーの至適濃度と非特異増幅抑制条件の混同。
- 5. 正解。アニーリング温度を高くすることで、プライマーと鋳型DNA間のミスマッチな結合(非特異的な結合)が解離しやすくなり、特異的な結合のみが維持されるため、非特異的な増幅が抑制され、非特異バンドの減少が期待できます。選びやすい理由:温度を上げると反応が進まなくなるのではないかと懸念する人もいるかもしれませんが、これは特異性を高めるための重要な調整です。混同注意:PCRの各ステップの役割や、プライマーのTm値の重要性についての理解が不十分な場合。
国試ポイント
PCR反応の最適化、特に非特異的増幅の抑制方法に関する知識が問われています。各パラメータ(サイクル数、Mgイオン濃度、サンプル量、プライマー量、アニーリング温度)がPCR反応に与える影響を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
各PCRパラメータの増減が、増幅効率と特異性のどちらに影響するかを混同しやすい。特に、Mgイオン濃度やプライマー量は、適正範囲を超えると増幅効率を低下させるだけでなく、特異性も損なうという二面性があるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合は、非特異的な増幅を抑制するための方法(アニーリング温度の調整、Mgイオン濃度の最適化、プライマー濃度の最適化、プライマー設計の見直しなど)に焦点を当てて選択肢を吟味する。
関連知識
PCRの原理、プライマー設計、Tm値の計算、ホットスタートPCR、グラジエントPCR、ネストPCRなど、PCRに関する応用的な知識。