蛋白漏出性胃腸症の診断に有用な糞便検査はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
蛋白漏出性胃腸症は、血漿タンパク質が消化管内に異常に漏出し、便中に排泄される疾患です。α1-アンチトリプシンは、消化管内で分解されにくい性質を持つ血漿タンパク質であるため、その便中排泄量が増加していることは、血漿タンパク質の消化管からの漏出、すなわち蛋白漏出性胃腸症の診断に極めて特異的かつ有用な指標となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 便pHは、消化管内の微生物叢の状態や特定の吸収不良症候群の評価に用いられますが、蛋白漏出性胃腸症の直接的な診断指標ではありません。正しくは:便pHは、消化吸収機能や腸内細菌叢の異常を評価する際に測定されます。選びやすい理由:一般的な便検査項目の一つであるため、知識が曖昧だと選びやすいかもしれません。混同注意:乳糖不耐症などの吸収不良と混同しやすいです。
- 2. 便ヘモグロビンは消化管出血のスクリーニングや診断に用いられますが、蛋白漏出性胃腸症でみられる血漿蛋白の漏出を直接評価するものではありません。正しくは:便ヘモグロビンは消化管からの出血の有無を確認する指標です。選びやすい理由:消化管の異常を広く考える際に、出血がある場合を想定して選んでしまう可能性があります。混同注意:蛋白漏出ではなく、消化管出血のマーカーである点で混同しやすいです。
- 3. 便カルプロテクチンは消化管の炎症マーカーであり、炎症性腸疾患の活動性評価などに用いられますが、血漿蛋白の漏出そのものを評価するものではありません。正しくは:便カルプロテクチンは消化管の炎症の有無や程度を示すマーカーです。選びやすい理由:炎症性腸疾患も消化管疾患であり、蛋白漏出性胃腸症と関連があるように見えやすいですが、直接の診断マーカーではありません。混同注意:炎症性疾患のマーカーと、漏出性疾患のマーカーとを混同しやすいです。
- 4. 便トランスフェリンも消化管出血の有無を評価する検査項目であり、特に下部消化管からの出血を検出するのに有用ですが、蛋白漏出性胃腸症の直接的な診断には使用されません。正しくは:便トランスフェリンは消化管からの出血、特に下部消化管出血のマーカーとして使用されます。選びやすい理由:ヘモグロビンと同様に、消化管異常のマーカーとして選択肢にあると誤解しやすいです。混同注意:便ヘモグロビンと同様に、出血のマーカーである点で混同しやすいです。
- 5. 正解。α1-アンチトリプシンは消化酵素で分解されにくく、血漿中の濃度が高いタンパク質です。消化管から漏出した場合、便中に排泄されるため、便中α1-アンチトリプシン濃度は蛋白漏出性胃腸症の診断に非常に有用な指標となります。
国試ポイント
蛋白漏出性胃腸症の病態生理と、その診断に特異的に用いられる検査項目(特に便中α1-アンチトリプシン)の知識が問われています。一般的な消化管疾患の検査項目と混同しないことが重要です。
混同注意
便ヘモグロビン、便カルプロテクチンなど、他の消化管疾患に関連する便検査項目と混同しやすいです。それぞれの検査がどのような病態を反映しているのかを正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、蛋白漏出性胃腸症以外の消化管疾患(例:炎症性腸疾患、吸収不良症候群、消化管出血)に対する便検査項目や、これらの疾患の診断に用いられる血清マーカーについても確認してください。
関連知識
蛋白漏出性胃腸症の原因疾患(メニエール病、クローン病、潰瘍性大腸炎、リンパ管拡張症など)、血清アルブミン値の低下、浮腫の出現など、疾患全体の理解。便中クリアランス試験の概念。