血中LD/AST比が1のとき、最も考えられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
急性肝炎では、肝細胞内に存在するLDとASTがともに細胞障害によって血中に逸脱します。これらの酵素の半減期や逸脱様式が類似しているため、LD/AST比が約1となることが知られています。特に肝炎の回復期においてはこの比率が特徴的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 白血病ではLDが高値を示すことがありますが、ASTの上昇はLDほど顕著ではなく、LD/AST比が1になることは稀です。正しくは:白血病ではLD/AST比は通常1よりかなり大きくなります。選びやすい理由:LDが高値になる疾患として認識されやすいですが、ASTとの比率を考慮すると選択肢としては不適切です。混同注意:LDが高値になる他の疾患(例:悪性腫瘍、溶血性貧血)と混同しやすいです。
- 2. 正解。急性肝炎では、肝細胞の破壊によりASTとLDがともに逸脱酵素として血中に大量に放出されます。肝臓のAST/LD比が約1であり、逸脱様式が類似しているため、血中のLD/AST比も概ね1に近くなることが知られています。特に肝炎の回復期ではLDとASTの逸脱パターンが類似しているため、LD/AST比が1に近づくことが多いです。
- 3. 心筋梗塞ではLDとASTが上昇しますが、一般的にASTは発症後早期にピークを迎え、LDはやや遅れてピークに達します。また、心筋組織におけるLDアイソザイム(LD1, LD2)の割合が高く、LDの逸脱がASTよりも持続的であるため、LD/AST比は通常1より高くなることが多いです。正しくは:心筋梗塞では、LD/AST比は一般的に1より大きくなります(特にASTが下降し始める時期)。選びやすい理由:ASTとLDが両方とも上昇する疾患として重要ですが、比率を考えると不適切です。混同注意:LDとASTが上昇する代表的な疾患であるため、迷いやすいですが、それぞれのピークや半減期の違いから比率が異なります。
- 4. 多発性筋炎では筋細胞の破壊によりLDが上昇しますが、ASTの上昇はLDほど顕著ではありません。また、クレアチンキナーゼ(CK)が著しく高値になることが特徴的であり、LD/AST比が1になることは稀です。正しくは:多発性筋炎ではCKが著しく高値となり、LD/AST比は通常1より大きくなります。選びやすい理由:筋肉由来の酵素上昇を伴うため、LDの上昇から連想されやすいですが、比率が異なります。混同注意:CKやLDが高値を示す他の筋疾患と混同しやすいです。
- 5. 溶血性貧血では赤血球中のLDが大量に放出されるため、LDが著しく高値を示します。しかし、赤血球にはASTはほとんど存在しないため、ASTは上昇しません。したがって、LD/AST比は非常に高値となります。正しくは:溶血性貧血では、LD/AST比は非常に大きくなります。選びやすい理由:LDが非常に高値になる代表的な疾患であるため、LDというキーワードから選択しやすいですが、ASTの上昇を伴わない点で比率が異なります。混同注意:LDが高値になる他の疾患(例:心筋梗塞、悪性腫瘍)と混同しやすいです。
国試ポイント
LDとASTは様々な疾患で上昇しますが、それぞれの組織分布、逸脱パターン、半減期の違いによって、疾患ごとの特徴的な比率を示すことがあります。この問題では、特にLD/AST比「1」がどの疾患に特徴的であるかを問うことで、鑑別診断の知識を試しています。各酵素の特性と、特定の疾患における両者の関係性を理解しているかが重要です。
混同注意
LDとASTが両方上昇する疾患として心筋梗塞、急性肝炎、多発性筋炎などが挙げられますが、それぞれの疾患におけるLDとASTのピークの時間差、アイソザイムの分布、およびその他の関連酵素(CK, ALP, γ-GTPなど)の動態を考慮して鑑別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、各酵素の組織分布、血中半減期、および疾患ごとの逸脱パターンを詳細に確認し、特定の酵素比率がどの疾患に特徴的であるかを判断します。特に複数の酵素が同時に上昇する病態においては、それらの比率が鑑別診断に役立つことが多いことを理解しておく必要があります。
関連知識
LDアイソザイムの各疾患における特徴(例:心筋梗塞でLD1, LD2上昇、肝疾患でLD4, LD5上昇)。急性肝炎ではALT/AST比が1を超えることが多いこと。CK, CK-MB, トロポニンTなどの心筋逸脱酵素。ALP, γ-GTPなどの胆道系酵素。肝逸脱酵素(AST, ALT, LD)の半減期。