欠乏すると巨赤芽球性貧血を引き起こすのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
巨赤芽球性貧血は、DNA合成障害によって赤芽球の成熟が阻害されることで発症します。DNA合成には、葉酸とビタミンB12が不可欠な補酵素として関与しています。葉酸は直接的にDNAの構成成分であるヌクレオチド(特にチミジル酸)の合成に関与し、ビタミンB12は葉酸がDNA合成に利用される活性型(テトラヒドロ葉酸)に変換される過程を助けることで間接的にDNA合成に関与しています。したがって、これらのいずれかのビタミンが欠乏すると、DNA合成が滞り、巨赤芽球性貧血を来します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。葉酸は、DNAの構成成分であるヌクレオチド(特にチミジル酸)の合成に不可欠な補酵素です。このため、葉酸が不足するとDNA合成が障害され、赤芽球の核成熟に異常が生じ、細胞分裂が遅延することで、核と細胞質の成熟に乖離が生じ、巨大な未熟な赤芽球(巨赤芽球)が増加し、巨赤芽球性貧血が引き起こされます。
- 2. ビタミンB6(ピリドキシン)は、ヘム合成に必要な酵素の補酵素として機能します。その欠乏は鉄利用障害を引き起こし、鉄芽球性貧血や小球性貧血の原因となりますが、巨赤芽球性貧血とは関連しません。正しくは:ビタミンB6の欠乏は、鉄芽球性貧血や小球性貧血を引き起こします。選びやすい理由:ビタミンB群の一つであり、貧血と関連するビタミンであるため、巨赤芽球性貧血の原因と誤解されやすいかもしれません。混同注意:鉄芽球性貧血、小球性貧血。
- 3. 正解。ビタミンB12(コバラミン)は、葉酸代謝において非常に重要な役割を果たします。特に、メチルテトラヒドロ葉酸からDNA合成に必要なテトラヒドロ葉酸への変換を触媒する酵素の補酵素です。ビタミンB12が不足すると、この反応が滞り、葉酸が利用可能な形で存在できなくなり(葉酸トラップ)、結果的にDNA合成障害による巨赤芽球性貧血を引き起こします。
- 4. ビタミンC(アスコルビン酸)はコラーゲン合成、抗酸化作用、鉄の吸収促進などに関与します。その欠乏は壊血病を引き起こし、貧血を伴うこともありますが、巨赤芽球性貧血の直接の原因ではありません。正しくは:ビタミンCの欠乏は、壊血病を引き起こします。選びやすい理由:鉄の吸収を助ける働きがあるため、貧血一般と関連付けて誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:鉄欠乏性貧血(間接的な関連はあるが、直接の原因ではない)。
- 5. ビタミンKは、血液凝固因子の合成(プロトロンビン、第VII因子、第IX因子、第X因子など)に必要なビタミンです。その欠乏は出血傾向(凝固障害)を引き起こしますが、巨赤芽球性貧血とは直接的な関連がありません。正しくは:ビタミンKの欠乏は、血液凝固異常や出血傾向を引き起こします。選びやすい理由:他のビタミンと同様に生命維持に不可欠な栄養素であり、欠乏すると何らかの病態を招くため、貧血と結びつけるかもしれません。混同注意:凝固障害。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、貧血の種類と原因物質、特に巨赤芽球性貧血の原因である葉酸とビタミンB12の働きや、それぞれの欠乏による病態が頻繁に問われます。他のビタミンの欠乏症や、それぞれの貧血の形態学的特徴(大球性、小球性、正球性など)との関連も重要です。
混同注意
鉄欠乏性貧血(小球性低色素性)、溶血性貧血(網赤血球増加を伴う)、再生不良性貧血(汎血球減少を伴う)など、他の種類の貧血と原因物質や検査所見を混同しないように注意が必要です。また、ビタミンB群の中でもB6欠乏は鉄芽球性貧血を引き起こすため、巨赤芽球性貧血の原因とは区別して覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
この論点が出題された場合、まず「DNA合成障害」がキーワードであることを確認し、その後にDNA合成に関わるビタミン(葉酸とビタミンB12)を想起します。さらに、それぞれのビタミン欠乏の原因や、他のビタミン欠乏による貧血の種類(例:B6欠乏による鉄芽球性貧血)との違いを正確に識別できるかが問われるでしょう。
関連知識
葉酸欠乏の原因としては栄養摂取不足、吸収障害(例:セリアック病)、利用亢進(例:妊娠、溶血性貧血)、薬剤(例:メトトレキサート)などがあります。ビタミンB12欠乏の原因としては、吸収障害(例:悪性貧血、胃全摘術後、回腸切除)、菜食主義などがあります。悪性貧血は自己免疫により内因子が欠乏し、ビタミンB12の吸収が阻害される病態です。診断には血中ビタミン濃度測定の他、末梢血塗抹標本での特徴的な所見(大球性、過分葉好中球など)や骨髄検査が重要です。