高エネルギー化合物で最も高いエネルギーをもつのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ホスホエノールピルビン酸は、提示された高エネルギー化合物の中で最も高い標準加水分解ギブズ自由エネルギー(約-61.9 kJ/mol)を持つため、正答となります。この高いエネルギーは、解糖系の最終段階でADPをATPに変換する際に利用されます。ATPの約2倍のエネルギーに相当します。
選択肢ごとの解説
- 1. ATPは生命活動の主要なエネルギー通貨であり、加水分解によって多くのエネルギーを放出しますが、その標準加水分解ギブズ自由エネルギーは約-30.5 kJ/molであり、ホスホエノールピルビン酸よりは低い値です。正しくは:ホスホエノールピルビン酸と比較すると、最も高いエネルギーを持つわけではありません。選びやすい理由:ATPは「細胞のエネルギー通貨」として最も広く知られているため、最も高いエネルギーを持つと誤解しやすいです。混同注意:他の高エネルギーリン酸化合物との相対的なエネルギー量を混同しやすいです。
- 2. ピロリン酸も高エネルギー結合を有しますが、その加水分解エネルギー(約-19.2 kJ/mol)は、ATPや他の主要な高エネルギーリン酸化合物よりも低いです。正しくは:ピロリン酸の加水分解エネルギーは、提示された選択肢の中で最も高い値ではありません。選びやすい理由:リン酸結合を持つため、高エネルギー化合物の一つであることは正しいですが、そのエネルギーレベルが最も高いと誤解する可能性があります。混同注意:リン酸結合全般が高エネルギー結合であるという認識と、個々のリン酸結合のエネルギーレベルの違いを混同しやすいです。
- 3. アセチルCoAはチオエステル結合を持ち、加水分解時に比較的大きなエネルギー(約-31.4 kJ/mol)を放出しますが、これはATPと同程度かやや高い程度であり、ホスホエノールピルビン酸よりは低い値です。正しくは:アセチルCoAが持つエネルギーは、ホスホエノールピルビン酸のエネルギーには及びません。選びやすい理由:ATPと同程度の高いエネルギーを持つため、選択肢として有力に見えるかもしれません。混同注意:リン酸結合を持つ高エネルギー化合物と、チオエステル結合を持つ高エネルギー化合物のエネルギー量の相対的な比較を混同しやすいです。
- 4. クレアチンリン酸は、筋肉などでATPの再生に利用される重要な高エネルギーリン酸化合物であり、その加水分解ギブズ自由エネルギーは約-43 kJ/molです。これはATPよりも高いですが、ホスホエノールピルビン酸よりは低い値です。正しくは:クレアチンリン酸が持つエネルギーは、ホスホエノールピルビン酸のエネルギーには及びません。選びやすい理由:ATPよりも高いエネルギーを持つため、最も高いと誤解しやすいです。特に運動時の迅速なエネルギー供給源としての重要性から、印象に残りやすい化合物です。混同注意:ATPとの相対的なエネルギー量を混同しやすいです。
- 5. 正解。ホスホエノールピルビン酸は、生体内で最も高いリン酸転移ポテンシャルを持つ化合物の一つであり、その標準加水分解ギブズ自由エネルギーは約-61.9 kJ/molです。これは選択肢の中で最も高い値を示し、解糖系においてADPをATPに変換する反応(基質レベルのリン酸化)で重要な役割を果たします。
国試ポイント
高エネルギーリン酸化合物の種類と、それぞれの標準加水分解ギブズ自由エネルギー(リン酸転移ポテンシャル)の相対的な大小関係が問われています。特に、ATP、クレアチンリン酸、ホスホエノールピルビン酸の比較は頻出事項です。
混同注意
各高エネルギー化合物の絶対的なエネルギー量ではなく、相対的な大小関係の理解が重要です。特に、ATPが「細胞のエネルギー通貨」であるため、最も高いエネルギーを持つと誤解しやすい点がひっかけとなることがあります。
次に同じ論点が出たら
次回、同様の論点が出題された場合、他の高エネルギー化合物(例:1,3-ビスホスホグリセリン酸など)や、高エネルギーリン酸結合以外の高エネルギー結合(例:チオエステル結合、アシルリン酸結合など)を持つ化合物のエネルギー量についても確認し、生体内での役割と関連付けて深く理解することが求められます。
関連知識
高エネルギーリン酸結合の定義、リン酸転移ポテンシャル、解糖系における基質レベルのリン酸化、クレアチンリン酸シャトル、アセチルCoAのチオエステル結合など、生体内での各化合物の役割と関連付けて理解することが重要です。