抗HLA抗体が関与する疾患または病態はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
血小板輸血不応(PTR)は、輸血を繰り返した患者や多経産婦などで、ドナーのHLA型に対する抗体(抗HLA抗体)が産生されることが主な原因です。この抗体が輸血された血小板を速やかに破壊するため、血小板数の上昇が見られなくなります。HLA適合血小板の輸血やHLA抗体の吸着除去療法が検討されます。
選択肢ごとの解説
- 1. PTPは、主に血小板特異抗体(HPA-1aなど)が関与する自己免疫機序によって引き起こされます。HLA抗体は主な原因ではありません。正しくは:PTPは血小板特異抗体(HPA抗体)が原因で発症します。選びやすい理由:輸血に関連する病態であるため、HLA抗体も関与するのではと推測しやすいかもしれません。混同注意:血小板減少を伴うため、血小板輸血不応(PTR)と混同されやすいですが、関与する抗体の種類が異なります。PTPは自己の血小板も破壊対象となるため、輸血された血小板だけでなく、自己の血小板も減少します。
- 2. 正解。血小板輸血不応の主な原因の一つは、患者が以前の輸血や妊娠によって感作され、ドナーのHLA型に対する抗体(抗HLA抗体)を産生していることです。これにより、輸血された血小板が速やかに破壊され、十分な血小板数の上昇が見られなくなります。
- 3. AIHAは、赤血球表面抗原に対する自己抗体(主にIgGやIgM)が赤血球を破壊することで起こる貧血です。HLA抗体は直接関与しません。正しくは:AIHAは赤血球に対する自己抗体が原因で発生します。選びやすい理由:「自己免疫性」という言葉から、様々な免疫学的異常を想起させ、HLA抗体も関与すると誤解しやすいかもしれません。混同注意:免疫性疾患である点では共通しますが、標的となる細胞(赤血球 vs 血小板/白血球)や抗体の種類が異なります。
- 4. ITPは、血小板表面糖タンパク質に対する自己抗体(主に抗GpIIb/IIIa抗体など)が血小板を破壊することで生じる疾患です。HLA抗体は直接関与しません。正しくは:ITPは血小板表面糖タンパク質に対する自己抗体が原因で発症します。選びやすい理由:血小板減少を伴う疾患であるため、血小板輸血不応(PTR)と混同しやすく、HLA抗体との関連を想像してしまうかもしれません。混同注意:血小板減少を来す点ではPTPやPTRと共通しますが、原因となる抗体の種類が大きく異なります。ITPは自己抗体(血小板特異的)による自己の血小板破壊です。
- 5. TTPは、ADAMTS13という酵素の活性低下により超高分子量のフォン・ヴィレブランド因子(vWF)が分解されず、血小板血栓が形成されることで起こる疾患です。HLA抗体は関与しません。正しくは:TTPはADAMTS13酵素の活性低下が原因で発生します。選びやすい理由:血小板減少と紫斑を特徴とするため、他の血小板関連疾患と混同されやすいです。混同注意:他の血小板減少性紫斑病(PTP, ITP)とは病態が全く異なります。TTPはADAMTS13の異常が中心であり、免疫学的機序(特に抗HLA抗体)とは直接的な関連性が薄いです。
国試ポイント
輸血に関連する免疫学的合併症と、それぞれの病態に関わる抗体の種類(HLA抗体、HPA抗体、赤血球抗体など)を正確に理解しているかが問われます。特に、血小板減少をきたす様々な疾患(PTP, PTR, ITP, TTP)の原因と鑑別が重要です。
混同注意
血小板輸血不応(PTR)は、輸血後紫斑病(PTP)や特発性血小板減少性紫斑病(ITP)など、他の血小板減少を伴う病態と混同されやすいです。それぞれ原因となる抗体(HLA抗体 vs HPA抗体 vs 抗GpIIb/IIIa抗体など)や病態機序が異なります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、関与する「抗体の種類」と「標的細胞・抗原」の組み合わせが正しいかを確認することが重要です。特に、HLA抗体が関与する他の病態(例:骨髄移植後のGVHD、臓器移植拒絶反応など)についても知識を広げておくことが役立ちます。
関連知識
HLA(ヒト白血球型抗原)の遺伝と機能、および輸血・移植における重要性。輸血による免疫感作の機序。他の輸血副作用(GVHD、発熱性非溶血性輸血反応など)とそれらに関わる因子。血小板関連疾患の分類と病態生理。