播種性血管内凝固〈DIC〉で上昇するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
播種性血管内凝固症候群(DIC)は、全身性の凝固亢進とそれに続く二次線溶の亢進を特徴とします。D-ダイマーは、血栓を構成するフィブリンがプラスミンによって分解された際に生成される特異的なフィブリン分解産物であり、凝固と線溶の両方が活性化しているDICの病態を最も鋭敏に反映し、その血中濃度は顕著に上昇します。
選択肢ごとの解説
- 1. PIVKA-ⅡはビタミンK依存性凝固因子の産生異常を示すマーカーであり、DICの主要な病態である凝固線溶系の異常とは直接関連して上昇するものではありません。正しくは:PIVKA-Ⅱは、ビタミンKの欠乏や拮抗薬(ワーファリンなど)の使用時に上昇します。選びやすい理由:凝固系の異常全般を疑う場合に検査項目として挙げられることがあるため、DICの検査項目の一つと勘違いしやすいかもしれません。混同注意:プロトロンビン時間(PT)の延長と混同しやすいですが、PT延長の原因は多岐にわたります。
- 2. 正解。DICでは、全身で微小血栓が形成され(凝固亢進)、その血栓を溶解しようとする二次線溶系が活性化されます。D-ダイマーは、架橋化フィブリンがプラスミンによって分解される際に生成される特異的なフィブリン分解産物であり、凝固と線溶が同時に亢進しているDICの病態を強く反映して上昇します。
- 3. プロテインCは主要な生理的抗凝固因子であり、DICの病態では過剰な凝固反応により消費されてしまうため、血中濃度は低下します。正しくは:プロテインCはDICでは消費されるため、低下します。選びやすい理由:凝固異常の検査項目として知られているため、何らかの変化があると誤解しやすいかもしれません。混同注意:凝固促進因子と混同し、活性が上がると誤解する可能性があります。
- 4. アンチトロンビンも強力な生理的抗凝固因子で、トロンビンをはじめとする複数の凝固因子を不活性化します。DICでは、血管内で大量のトロンビンが産生されるため、アンチトロンビンは消費され、血中濃度は低下します。正しくは:アンチトロンビンはDICでは消費されるため、低下します。選びやすい理由:抗凝固作用があるため、凝固が亢進するDICではその機能が活性化されると勘違いするかもしれません。混同注意:ヘパリンによる抗凝固療法でその効果が増強されることと混同しやすいです。
- 5. プラスミンインヒビターは、線溶反応の主役であるプラスミンの働きを抑制する因子です。DICでは、二次線溶が亢進してプラスミンが大量に生成されるため、それを抑制しようとプラスミンインヒビターも消費され、その血中濃度は低下します。正しくは:プラスミンインヒビターはDICでは消費されるため、低下します。選びやすい理由:線溶が亢進する状況で、その抑制因子が何らかの形で関与すると考え、上昇すると誤解するかもしれません。混同注意:プラスミン自体の活性亢進と混同しやすいです。
国試ポイント
DICの診断基準や病態生理、検査所見は臨床検査技師国家試験で頻出の重要項目です。特にD-ダイマーはDICを強く示唆するマーカーとして、その意義を正確に理解しておく必要があります。
混同注意
DICで上昇する検査項目(D-ダイマー、FDPなど)と、消費されて低下する検査項目(プロトロンビン、フィブリノゲン、アンチトロンビン、プロテインCなど)を混同しやすいので注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
DIC患者の検査データを見て、どの項目が上昇し、どの項目が低下しているかを正確に判断できるか。また、DICの治療薬(ヘパリン、アンチトロンビン製剤など)が、どの凝固・線溶因子に作用するかを理解しているかが問われる可能性があります。
関連知識
DICの診断基準(JSTHスコア、厚生労働省診断基準など)、凝固・線溶系の各因子の役割、および関連する血液凝固検査全般について知識を深めておくことが重要です。