FISH法で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法は、蛍光標識されたDNAプローブを細胞や組織標本の核酸にハイブリダイズさせることで、特定の遺伝子や染色体の異常を直接視覚的に検出する分子細胞遺伝学的検査です。特に、遺伝子のコピー数異常(増幅や欠失)や染色体構造異常(転座、逆位など)の検出に非常に有用です。
選択肢ごとの解説
- 1. FISH法に用いられる蛍光色素は時間経過とともに退色する性質があるため、作製した標本は一般的に永久保存には適していません。正しくは:作製した標本は永久保存には適さない。選びやすい理由:通常のH-E染色標本などが永久保存可能であるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:通常の病理組織標本の保存性(長期安定性)と、蛍光染色標本の退色性。
- 2. 正解。FISH法は、特定の蛍光標識プローブを用いて細胞内の特定のDNA配列を直接視覚化するため、HER2遺伝子増幅などの遺伝子コピー数異常の検出に広く用いられます。
- 3. 正解。染色体転座特異的なプローブ(例:融合プローブ)を使用することで、異なる染色体間のDNAが再編成される染色体転座を視覚的に同定でき、BCR-ABL融合遺伝子のような疾患関連転座の検出に不可欠です。
- 4. FISH法は蛍光標識されたプローブのシグナルを検出するため、観察には蛍光物質を励起・検出するための蛍光顕微鏡を使用します。偏光顕微鏡は結晶構造や複屈折性を持つ物質の観察に用いられます。正しくは:観察には蛍光顕微鏡を使用する。選びやすい理由:「顕微鏡を使用する」という点で、漠然と正しいと感じるかもしれません。混同注意:蛍光顕微鏡と偏光顕微鏡の用途の違い。
- 5. FITCは蛍光標識物質の一つであり、FISHプローブ自体や二次抗体などの標識に用いられますが、核全体を染色する対比染色にはDAPI(4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)が一般的に使用されます。DAPIは青色蛍光を発します。正しくは:核はDAPIなどで対比染色する。選びやすい理由:FITCが蛍光物質であるため、FISH法と関連が深いと感じてしまう可能性があります。混同注意:FITCの用途(プローブの標識)と、核の対比染色に用いられる蛍光色素(DAPIなど)の役割。
国試ポイント
FISH法の原理、検出可能な異常の種類(遺伝子増幅、欠失、転座など)、使用する機器(蛍光顕微鏡)、標本の特性(長期保存不可)、および対比染色の種類(DAPIなど)に関する知識が複合的に問われます。臨床検査の具体的な応用例と合わせて理解することが重要です。
混同注意
他の遺伝子・染色体検査法(例:Gバンド染色、PCR、CGH)との検出対象や原理の違い。また、蛍光顕微鏡とその他の顕微鏡(光学顕微鏡、偏光顕微鏡)の使い分けも混同しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次にFISH法に関する問題が出題された場合、より具体的な疾患名と、その疾患で検出される遺伝子・染色体異常の組み合わせ、あるいは多色FISHなどの応用技術の原理について問われる可能性があります。
関連知識
FISH法には、特定の染色体セントロメアを標的とするCEPプローブ、特定の遺伝子座を標的とするLSIプローブ、特定の染色体全体を標識するWCPプローブなど、様々な種類のプローブが存在し、それぞれ異なる異常の検出に用いられます。代表的な臨床応用例としては、HER2遺伝子増幅の検出(乳癌)、BCR-ABL融合遺伝子の検出(慢性骨髄性白血病)、ALK遺伝子転座の検出(肺癌)などがあります。