末梢血の好中球数が増加するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
副腎皮質ステロイド薬の投与は、好中球の脱辺縁化(血管壁に付着していた好中球が血中に放出される)と、組織への遊走抑制によって、末梢血中の好中球数を増加させます。これはステロイド性好中球増多として知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 慢性的なアルコール中毒では、骨髄抑制により好中球の産生が低下し、好中球減少を示すことがあります。正しくは:好中球数は減少するか、正常範囲内であることが多いです。選びやすい理由:急性期のアルコール摂取による炎症反応などから、一時的な好中球増加を連想する可能性も考えられます。混同注意:急性細菌感染症などの炎症反応による好中球増多。
- 2. 伝染性単核球症はウイルス感染症であり、末梢血では異型リンパ球の著しい増加が特徴です。好中球数は通常増加せず、むしろ相対的に減少することがあります。正しくは:リンパ球、特に異型リンパ球が増加します。選びやすい理由:「ウイルス感染症でも白血球が増える」という一般的な知識から誤解するかもしれません。混同注意:細菌感染症(好中球増多)とウイルス感染症(リンパ球増多)。
- 3. アレルギー反応では、主に好酸球が関与し、末梢血中の好酸球数が増加します。好中球数は通常増加しません。正しくは:好酸球が増加します。選びやすい理由:「炎症」という言葉から、漠然と白血球全体が増加すると考えるかもしれません。混同注意:細菌感染症(好中球増多)とアレルギー反応(好酸球増多)。
- 4. 急性骨髄性白血病では、骨髄中で未熟な白血球(芽球)が異常に増殖し、正常な造血が阻害されます。このため、成熟した好中球の産生は抑制され、末梢血中の好中球数は減少することが多いです。正しくは:未熟な芽球が増加しますが、成熟好中球は減少傾向を示します。選びやすい理由:「白血病=白血球が増える」という連想から、好中球も増えると考えてしまう可能性があります。しかし、増えるのは未熟な芽球であり、成熟好中球ではありません。混同注意:白血球総数の増加と、成熟好中球数の増加。また、慢性骨髄性白血病(成熟好中球が増加する)と混同。
- 5. 正解。副腎皮質ステロイド薬は、好中球が血管壁に付着している状態(辺縁プール)から血中へ移動させる作用(脱辺縁化)や、好中球の組織への遊走を抑制する作用があります。これにより、末梢血中の好中球数が増加します(ステロイド性好中球増多)。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、疾患や薬剤が末梢血中の各白血球分画(好中球、リンパ球、好酸球など)にどのような影響を与えるかを問う問題が頻出します。特に、好中球増多・減少の原因となる主要な病態や薬物について、正確な知識が求められます。
混同注意
白血球総数の増加と、特定の白血球分画の増加(特に好中球)を混同しやすいです。また、急性炎症反応(好中球増多)、ウイルス感染症(リンパ球増多)、アレルギー反応(好酸球増多)など、病態ごとの特徴的な白血球の変化を混同しやすい点も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、好中球だけでなく、リンパ球、好酸球、好塩基球、単球といった他の白血球分画についても、それぞれの細胞がどのような状況で増減するかを正確に確認する視点を持つと良いでしょう。特に、感染症の種類(細菌性、ウイルス性、寄生虫性)と白血球分画の変化、特定の薬剤による影響、血液疾患の特徴的な細胞形態変化に注目してください。
関連知識
好中球増多をきたす主な要因には、細菌感染症、炎症、組織破壊、急性出血、悪性腫瘍、ストレス、副腎皮質ステロイド薬投与などがあります。一方、好中球減少をきたす要因としては、ウイルス感染症、薬剤性(抗がん剤など)、骨髄抑制、自己免疫疾患などが挙げられます。各分画の生理的・病理的変動を包括的に理解しておくことが重要です。