選択物質として抗菌薬を含むのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
選択培地とは、特定の微生物の増殖を促進または抑制することで、目的とする微生物を選択的に分離・培養するための培地です。本問題で問われているのは、その選択性を実現するために「抗菌薬」を使用している培地である。Skirrow寒天培地はカンピロバクターの分離に用いられ、ポリミキシンB、バンコマイシン、トリメトプリム、セファロチンなどの抗菌薬が含まれている。Thayer-Martin寒天培地は淋菌の分離に用いられ、バシトラシン、コリスチン、ナイスタチン、バンコマイシン、トリメトプリム(VCNTT)などの抗菌薬が含まれている。これに対し、SS寒天培地は胆汁酸塩やブリリアントグリーン、TCBS寒天培地は高濃度のチオ硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、胆汁酸塩、BCYEα寒天培地は活性炭、酵母エキス、L-システイン、ピロリン酸第二鉄などを選択剤として使用し、抗菌薬は含まれていない。
選択肢ごとの解説
- 1. SS寒天培地(Salmonella-Shigella agar)はサルモネラやシゲラ菌の分離に用いられますが、選択剤として胆汁酸塩やブリリアントグリーンが使用され、抗菌薬は含まれません。正しくは:SS寒天培地には抗菌薬は含まれず、胆汁酸塩やブリリアントグリーンが含まれる。選びやすい理由:腸内細菌の選択分離培地として広く知られているため、抗菌薬が含まれていると誤解しやすい。混同注意:他の選択培地に含まれる抗菌薬と混同しやすい。
- 2. TCBS寒天培地(Thiosulfate Citrate Bile Salts Sucrose agar)は腸炎ビブリオなどのビブリオ属菌の分離に特化しており、選択剤として高濃度のチオ硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、胆汁酸塩が用いられますが、抗菌薬は含まれていません。正しくは:TCBS寒天培地には抗菌薬は含まれず、高濃度のチオ硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、胆汁酸塩が含まれる。選びやすい理由:ビブリオ菌の選択培地として有名であるため、特殊な成分として抗菌薬を連想しやすい。混同注意:他の選択培地に含まれる抗菌薬と混同しやすい。
- 3. 正解。Skirrow寒天培地はCampylobacter jejuni(カンピロバクター・ジェジュニ)の分離に用いられる選択培地であり、ポリミキシンB、バンコマイシン、トリメトプリム、セファロチンなどの抗菌薬が添加されています。これらの抗菌薬は、カンピロバクター以外の雑菌の増殖を抑制するために利用されます。
- 4. BCYEα寒天培地(Buffered Charcoal Yeast Extract agar with alpha-ketoglutarate)はレジオネラ菌の分離に用いられる培地ですが、選択剤としては活性炭、酵母エキス、L-システイン、ピロリン酸第二鉄などが含まれ、抗菌薬は通常添加されません。α-ケトグルタル酸は発育促進因子です。正しくは:BCYEα寒天培地には抗菌薬は含まれず、活性炭、酵母エキス、L-システイン、ピロリン酸第二鉄などが含まれる。選びやすい理由:レジオネラ菌という特殊な菌の培地であるため、抗菌薬が含まれると誤解しやすい。混同注意:レジオネラ菌の特殊な発育条件と、抗菌薬による選択作用を混同しやすい。
- 5. 正解。Thayer-Martin寒天培地は淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の分離に特化した培地です。バシトラシン、コリスチン、ナイスタチン、バンコマイシン、トリメトプリム(VCNTT)などの抗菌薬が添加されており、これらは淋菌以外の他の菌(特に常在菌)の増殖を抑制し、目的菌の分離を容易にします。
国試ポイント
特定の病原菌の分離に用いられる選択培地の名称と、その選択性を付与する成分(特に抗菌薬の有無と種類)を理解しているかが問われる。主要な病原菌と、それに対応する選択培地の組み合わせを正確に覚えることが重要。
混同注意
多くの選択培地は特定の成分で雑菌を抑制するが、その抑制成分が「抗菌薬」であるか、あるいは胆汁酸塩などの他の選択剤であるかを混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、各選択培地がどの微生物の分離に用いられるか、またその選択剤が何であるか(特に抗菌薬の有無)を正確に確認する。
関連知識
各選択培地の由来、ターゲット菌、主要な選択剤(抗菌薬、色素、塩類など)の知識。選択培地の分類(単純選択培地、鑑別選択培地など)。