心電図別冊No.32を別に示す。正しいのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
心電図において、下壁誘導(II、III、aVF)でST上昇が見られる場合、下壁心筋梗塞が示唆されます。特にIII誘導とaVF誘導で顕著なST上昇が確認でき、これは右冠動脈閉塞による下壁心筋虚血を強く示唆する所見です。虚血により心筋細胞の再分極異常が生じ、ST部分が基線から上昇します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。II、III、aVF誘導でST上昇を認めます。これらの誘導は心臓の下壁を反映しており、ST上昇は急性心筋梗塞の典型的な所見です。特にIII誘導とaVF誘導のST上昇が顕著であることから、下壁梗塞と診断されます。選びやすい理由:直接的な心電図所見に基づいているため、最も妥当な選択肢です。混同注意:他の誘導のST上昇を伴う心筋梗塞や、ST上昇を呈する他の疾患(早期再分極、心膜炎など)。
- 2. 側壁梗塞の場合、I、aVL、V5、V6誘導でST上昇を認めます。本心電図ではこれらの誘導に特異的なST上昇は見られません。正しくは:I、aVL、V5、V6誘導でST上昇が認められる場合、側壁梗塞と判断します。選びやすい理由:心筋梗塞の一種であるため、他の部位の梗塞と混同しやすいです。混同注意:下壁梗塞、前壁中隔梗塞。
- 3. 前壁中隔梗塞の場合、V1〜V4誘導でST上昇を認めます。本心電図ではこれらの誘導に特異的なST上昇は見られません。正しくは:V1〜V4誘導でST上昇が認められる場合、前壁中隔梗塞と判断します。選びやすい理由:心筋梗塞の一種であるため、他の部位の梗塞と混同しやすいです。混同注意:下壁梗塞、側壁梗塞。
- 4. Brugada症候群は、V1〜V3誘導で特徴的なcoved型またはsaddle-back型のST上昇を呈しますが、本心電図ではこれらの所見は見られません。特にII、III、aVF誘導のST上昇はBrugada症候群の典型的な心電図ではありません。正しくは:V1〜V3誘導でcoved型またはsaddle-back型のST上昇、不完全右脚ブロック、右室流出路の異常電位などを認める場合にBrugada症候群と診断します。選びやすい理由:ST上昇を伴う疾患であるため、鑑別疾患として考える可能性があります。混同注意:急性心筋梗塞、特に前壁中隔梗塞。
- 5. 四肢電極の付け間違いがあった場合、特徴的な心電図変化(例えば、aVR誘導でのP波・QRS波・T波の陽転化、他の誘導での逆転など)が見られますが、本心電図ではそのような所見は見られず、むしろ一貫したST上昇が確認できます。正しくは:四肢電極の付け間違いを示す典型的な心電図所見(例えば、I誘導とaVR誘導が反転、II誘導とaVL誘導が反転など)がないことを確認します。選びやすい理由:心電図判読において、まず付け間違いがないかを確認することは重要ですが、本症例の心電図変化は特定の疾患を示唆しているため、鑑別は容易です。混同注意:通常の心電図異常と、測定ミスによる異常。
国試ポイント
心筋梗塞の部位診断と心電図所見の対応を正確に覚えることが重要です。特に、主要な誘導におけるST上昇のパターンと梗塞部位の関係は頻出です。
混同注意
ST上昇を伴う心電図変化は急性心筋梗塞のほか、Brugada症候群や早期再分極、心膜炎などでも見られるため、他の誘導の所見や臨床症状と総合的に判断する必要があります。特にIII誘導とaVF誘導のST上昇は下壁梗塞を強く示唆しますが、V1-V3誘導のST上昇は前壁中隔梗塞やBrugada症候群で鑑別が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まずST上昇の有無と、ST上昇が見られる誘導の組み合わせを確認し、梗塞部位を特定します。特にII、III、aVF誘導のST上昇は下壁梗塞、V1-V4誘導のST上昇は前壁中隔梗塞、I、aVL、V5、V6誘導のST上昇は側壁梗塞を示唆します。
関連知識
心筋梗塞の部位診断は、虚血が起こる冠動脈の支配領域と密接に関連しています。下壁梗塞は主に右冠動脈の閉塞が原因であり、側壁梗塞は回旋枝、前壁中隔梗塞は左前下行枝の閉塞が原因であることが多いです。また、梗塞の超急性期にはT波の増高(テント状T波)、急性期にはST上昇と異常Q波の出現、亜急性期にはST下降と冠性T波の陰転化、慢性期には異常Q波の残存が特徴的な変化として知られています。