骨髄穿刺液のMay-Giemsa染色標本(別冊No. 8)を別に示す。矢印の細胞について誤っているのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
下図の矢印が示す細胞は、核の偏在と豊富な細胞質、しばしば空胞が見られる特徴からマクロファージ系細胞(組織球)と判断できます。マクロファージは貪食作用、抗原提示、サイトカイン産生、動脈硬化形成への関与といった多くの機能を有しますが、免疫グロブリンを直接産生することはありません。免疫グロブリンを産生するのはB細胞が分化した形質細胞です。
選択肢ごとの解説
- 1. 矢印の細胞はマクロファージ系細胞と判断でき、マクロファージは貪食作用を持つ重要な細胞です。選びやすい理由:マクロファージの基本的な機能として認識されやすい。
- 2. マクロファージは代表的な抗原提示細胞の一つであり、T細胞への抗原提示を通じて免疫応答を活性化させます。選びやすい理由:免疫系の主要な役割として正しい知識。混同注意:樹状細胞との違いなどで迷う可能性があるが、マクロファージも抗原提示を行う。
- 3. マクロファージは、炎症性サイトカイン(IL-1, TNF-αなど)や抗炎症性サイトカイン、成長因子などを産生し、免疫応答や組織修復に重要な役割を果たします。選びやすい理由:免疫細胞の共通した機能として正しい認識。
- 4. マクロファージは、LDLなどの脂質を取り込み泡状細胞となり、動脈硬化巣の形成と進展に深く関与することが知られています。選びやすい理由:病理学的な知識として正しい。
- 5. 正解。免疫グロブリン(抗体)を産生するのは形質細胞(B細胞が分化したもの)であり、マクロファージの機能ではありません。正しくは:免疫グロブリンを産生するのは形質細胞です。選びやすい理由:免疫系の細胞であるため、全体として免疫機能に関与するという誤解から選択肢が正しいと誤認する可能性がある。混同注意:マクロファージが抗原提示を行うことから、抗体産生にも直接関与すると混同しやすいが、抗体産生は形質細胞の役割である。
国試ポイント
骨髄穿刺液中の細胞形態鑑別能力と、その細胞の基本的な生理機能・病理学的役割に関する知識を問う問題です。特に、主要な免疫細胞の機能分担を正確に理解しているかが重要となります。画像から細胞の種類を正しく識別し、各選択肢の記述がその細胞の機能として適切か否かを判断する複合的な能力が求められます。
混同注意
免疫グロブリンの産生が「免疫細胞」全般の機能であると誤解し、マクロファージもそれに含まれると考えてしまう可能性があります。また、マクロファージが免疫応答の様々な段階で重要な役割を果たすため、抗体産生という特定の機能も持つと混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず下図の細胞が何であるかを形態学的に正確に鑑別します。次に、その鑑別した細胞が持つ主要な機能や役割について、選択肢の内容と照らし合わせて判断します。特に、特定の分子の産生や特定のエフェクター機能(例:抗体産生、細胞傷害性)が、どの細胞に特異的なものかを確認することが重要です。
関連知識
マクロファージの他の機能(例:死細胞や異物の除去、鉄代謝への関与、創傷治癒への関与)や、形質細胞の形態的特徴と機能(抗体産生)についても関連知識として押さえておく必要があります。また、主要な免疫細胞(リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球など)の各機能と形態も重要です。