肺の特殊染色標本(別冊No. 5)を別に示す。染色法はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
画像では、真菌の細胞壁が黒く染まり、菌糸や酵母様真菌が明瞭に描出されています。これはグロコット染色(Grocott染色、Gomori's Methenamine Silver stain)の典型的な所見であり、真菌の検出に特異性の高い染色法です。
選択肢ごとの解説
- 1. グラム染色は細菌の分類に用いられる染色法であり、細胞壁の構造の違いによってグラム陽性菌は青紫色、グラム陰性菌は赤色に染まります。画像のような真菌の形態を黒く染め出すものではありません。正しくは:グラム染色は細菌の同定に用いられ、真菌の染色には適していません。選びやすい理由:グラム染色は微生物学で最も基本的な染色法の一つであり、微生物を検出する目的の染色法として選択肢に挙げられやすいです。混同注意:グラム陽性菌・陰性菌の鑑別。真菌と細菌の形態的特徴の混同。
- 2. オルセイン染色は弾性線維の検出に用いられる染色法であり、弾性線維を赤褐色~黒褐色に染め出します。画像に示されるような真菌の細胞壁を黒く染め出す目的には使用されません。正しくは:オルセイン染色は弾性線維の染色に用いられます。選びやすい理由:特殊染色の一つではあるため、他の特殊染色と混同しやすい可能性があります。混同注意:弾性線維染色。グロコット染色との目的の違い。
- 3. ギムザ染色は血液細胞やマラリア原虫などの寄生虫、ヘリコバクター・ピロリなどの細菌の検出に用いられ、細胞の核や特定の細胞質顆粒を青紫色に染め出します。画像のような真菌の細胞壁を黒く染めるものではありません。正しくは:ギムザ染色は血液細胞、寄生虫、一部の細菌の検出に用いられます。選びやすい理由:微生物や細胞成分を染める染色法として、一般的な特殊染色と混同しやすいです。混同注意:血液塗抹標本や骨髄穿刺標本の染色。真菌と寄生虫・細菌の形態の混同。
- 4. 正解。画像では、球状の酵母様真菌と細長い菌糸が背景の淡い緑色に対して黒色に明瞭に染め出されています。これはグロコット染色(Grocott染色、Gomori's Methenamine Silver stain)の典型的な所見であり、真菌の細胞壁に含まれる多糖類を銀で還元し黒色に染めるため、真菌の検出に非常に有用です。選びやすい理由:真菌の検出に特異的な染色法であるため、画像所見と合致すれば迷わず選択できます。混同注意:PAS染色。両者とも真菌染色に用いられるが、染め出す色調が異なります。
- 5. ムチカルミン染色は酸性ムコ多糖や中性ムコ多糖(特に上皮性ムチン)の検出に用いられる染色法で、これらを赤色に染め出します。クリプトコックスの莢膜など一部の真菌多糖体も赤く染まりますが、画像のような真菌の細胞壁全体を黒く染め出すものではありません。正しくは:ムチカルミン染色はムチンなどの多糖類や、クリプトコックスの莢膜などを赤色に染め出します。選びやすい理由:クリプトコックスなど一部の真菌の莢膜を染めるため、真菌関連の染色法として選択肢に挙げられやすいです。混同注意:真菌の細胞壁染色とクリプトコックス莢膜染色。
国試ポイント
真菌の検出に用いられる特殊染色法の種類と、それぞれの染色標本における特徴的な所見を理解しているか。
混同注意
PAS染色も真菌を染めますが、PAS染色では真菌が赤紫色に染まるのに対し、グロコット染色では黒色に染まる点で明確に区別できます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の画像問題が出題された際は、菌体の色調(黒色か赤紫色かなど)と背景の色調(緑色やピンク色など)に着目し、それぞれの染色法の典型的な所見と照合して判断します。
関連知識
グロコット染色とPAS染色は、いずれも真菌の細胞壁を構成する多糖類を検出する染色法ですが、グロコット染色は銀塩を用いた還元反応により黒色に染めるのに対し、PAS染色は過ヨウ素酸による酸化とシッフ試薬による発色を利用します。また、抗酸菌の検出にはチール・ネルゼン染色、スピロヘータの検出にはワルチン・スターリー染色などが用いられます。