走査型電子顕微鏡標本の作製過程に含まれないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
走査型電子顕微鏡(SEM)は試料の表面構造を観察するものであり、電子線が試料を透過する必要がないため、超薄切片の作成は行いません。超薄切片は、電子線が試料を透過する必要がある透過型電子顕微鏡(TEM)で試料の内部構造を観察するために用いられる手法です。
選択肢ごとの解説
- 1. 走査型電子顕微鏡観察では、観察対象となる組織を適切なサイズに細断する工程が必要です。正しくは:走査型電子顕微鏡用の標本作製過程に含まれます。選びやすい理由:光学顕微鏡と異なり、より大きな標本を観察できるイメージがあるため、細断が不要と誤解する可能性があります。しかし、SEMでも試料の大きさには限界があり、特定の部位を観察するためには細断が必要です。混同注意:透過型電子顕微鏡の超薄切と混同し、細断の必要性を過小評価するかもしれません。
- 2. 細胞や組織の形態を維持するため、走査型電子顕微鏡の標本作製では化学固定が不可欠な工程です。正しくは:走査型電子顕微鏡用の標本作製過程に含まれます。選びやすい理由:新鮮な状態での観察をイメージし、固定が不要と考えるかもしれませんが、SEMは真空下での観察となるため、細胞構造の維持には固定が必要です。混同注意:光学顕微鏡や一部のライブイメージング手法で固定を行わない場合と混同し、SEMでも同様と誤解する可能性があります。
- 3. 正解。超薄切片の作成は、試料内部を透過させて観察する透過型電子顕微鏡(TEM)の標本作製に特有の工程であり、表面構造を観察する走査型電子顕微鏡(SEM)では通常行いません。選びやすい理由:電子顕微鏡全般で薄切が必要という漠然とした知識から、超薄切も含まれると誤解しやすいです。混同注意:走査型電子顕微鏡と透過型電子顕微鏡の観察原理の違いが理解できていない場合、両者の標本作製法を混同する可能性があります。特に、薄切という言葉から、電子顕微鏡には必ず必要だと誤解しやすいです。
- 4. 試料表面の帯電を防ぎ、より鮮明な画像を得るために、走査型電子顕微鏡の標本作製では導電染色(オスミウムなど)が行われます。正しくは:走査型電子顕微鏡用の標本作製過程に含まれます。選びやすい理由:一般的な染色(H-E染色など)と異なり、導電染色という特殊な用語に馴染みがなく、含まれないと判断してしまう可能性があります。混同注意:光学顕微鏡の染色法と混同し、電子顕微鏡では不要、あるいは全く異なる方法だと誤解する可能性があります。
- 5. 試料表面の導電性を高め、良好な二次電子像を得るために、走査型電子顕微鏡の標本作製では金や白金などの金属を蒸着させる工程が必須です。正しくは:走査型電子顕微鏡用の標本作製過程に含まれます。選びやすい理由:物理的なコーティングが、生物試料の観察と結びつきにくいと感じ、含まれないと誤解する可能性があります。混同注意:導電染色との違いが曖昧な場合や、光学顕微鏡にはない物理的な処理であるため、重要性を認識しにくい場合があります。
国試ポイント
この問題は、走査型電子顕微鏡(SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM)の観察原理と、それに伴う標本作製方法の違いを正確に理解しているかを問うています。特に、それぞれの顕微鏡に特有の標本作製工程を識別できるかがポイントです。
混同注意
透過型電子顕微鏡(TEM)と走査型電子顕微鏡(SEM)の標本作製方法全般。特に、「薄切」という言葉が電子顕微鏡観察に不可欠という誤解から、両者の違いを見失いやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、まず「どの種類の電子顕微鏡か」を明確にし、その顕微鏡が「何を観察するか(表面か内部か)」に基づいて、必要な標本作製工程を判断する。特に、透過か反射(表面)かで、試料の物理的な処理(厚さなど)が大きく異なる点に注目する。
関連知識
走査型電子顕微鏡の観察原理(二次電子、反射電子)、透過型電子顕微鏡の観察原理(透過電子)、両者の解像度や観察対象の違い、それぞれの標本作製における各工程の目的。