プラスミドによる耐性遺伝子の伝播に該当するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
接合伝達は、プラスミド(特にFプラスミドやRプラスミド)を介して細菌間で遺伝子(薬剤耐性遺伝子など)が直接的に伝達される現象です。ドナー菌が性線毛を形成し、レシピエント菌にプラスミドを複製しながら送ることで行われます。
選択肢ごとの解説
- 1. 形質転換は、細菌が周囲のDNA断片(プラスミドではなく、主に直線状の染色体DNA断片)を取り込み、自身のゲノムに組み込むことで形質が変化する現象です。正しくは:形質転換は、環境中の遊離DNAを取り込む現象です。選びやすい理由:遺伝子の取り込みという点で関連があるように見えますが、プラスミドが媒介する伝播の主要なメカニズムではありません。混同注意:形質導入や接合伝達といった他の遺伝子水平伝播様式と混同しやすいです。それぞれDNAの供給源と伝播経路が異なります。
- 2. 形質導入は、バクテリオファージ(ウイルス)を介して遺伝子が細菌間で伝達される現象です。プラスミドが直接関与するわけではありません。正しくは:形質導入は、バクテリオファージによって遺伝子が運ばれる現象です。選びやすい理由:遺伝子の移動という点で関連がありますが、媒介するものがウイルスである点が異なります。混同注意:形質転換や接合伝達と混同しやすいですが、介在する因子(ファージ)が異なります。
- 3. 抗原変異は、細菌やウイルスが持つ抗原性が変化する現象で、主に突然変異によって引き起こされます。遺伝子の水平伝播とは異なる概念です。正しくは:抗原変異は、病原体の抗原性が変化する現象です。選びやすい理由:病原性の変化に関連する用語であるため、誤って選んでしまう可能性がありますが、遺伝子伝播のメカニズムではありません。混同注意:遺伝子の変化という点で、他の遺伝子伝播様式と概念的に混同する可能性がありますが、抗原変異はあくまで抗原性の変化であり、遺伝子の伝播そのものではありません。
- 4. 正解。接合伝達は、Fプラスミドなどのプラスミドを持つドナー菌が性線毛を介してレシピエント菌と接触し、プラスミドを複製してレシピエント菌に直接伝達する現象です。薬剤耐性遺伝子の水平伝播において最も重要なメカニズムの一つです。
- 5. 非相同組換えは、相同性のないDNA配列間で組換えが起こる現象を指し、新しい遺伝子の組み合わせを作る機構の一つですが、プラスミドが細菌間で伝達される主要なメカニズムそのものではありません。伝達されたプラスミドが宿主染色体と組換えを起こすことはありますが、伝達様式としては異なります。正しくは:非相同組換えは、DNA断片が互いに相同性のない領域で組み込まれる遺伝子再編成の一種です。選びやすい理由:遺伝子の再編成という点で関連があるように見えますが、プラスミドが細菌間で移動する直接的な方法ではありません。混同注意:遺伝子組換え一般と混同しやすいですが、これはDNAの結合様式であり、プラスミドの伝達メカニズムそのものではありません。
国試ポイント
細菌の遺伝子水平伝播の主要なメカニズム(接合伝達、形質転換、形質導入)とその特徴を正確に区別できるか、特にプラスミドの関与について理解しているかが問われています。
混同注意
形質転換(環境DNAの取り込み)、形質導入(ファージによる伝達)と混同しやすいですが、プラスミドを介した直接的な細胞間のDNA伝達は接合伝達です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、各伝播様式において『何が(DNA断片、プラスミド、ファージDNA)、何を介して(細胞外、性線毛、ファージ)、どのように移動するか』を明確に区別して判断する必要があります。
関連知識
プラスミドの種類(Fプラスミド、Rプラスミド)、性線毛の機能、細菌の薬剤耐性獲得機構、遺伝子組換えの種類(相同組換え、非相同組換え)